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鳥居一豊の「最新AVプロダクツ一刀両断」 第41回

ソニーが放つ至高のBDレコ「BDZ-AX2700T」をチェック

2011年11月16日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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 ソニーでは、これまでも映画やスポーツ、アニメなど、番組のジャンルに合わせて最適なエンコードを行なう仕組みを持っていたが、これに加え、人物/人物+夜景/動き/マクロ/風景/夕景/夜景/ソリッドカラーといった、シーンごとの特徴に合わせてエンコード処理をする機能が加わった。

 人物については以前から「顔認識技術」で顔を抽出し、注目部分をクリアに再現できるようにしていたが、新たに背景の解析も加え、画面全体をよりきれいに再現できるようになった。

 濱田:「画質にこだわる人は、長時間モードは画質劣化があるから嫌だと言う人もいますが、比較的レートの高いXR(平均16.3Mbps 1.4倍相当)やXSR(平均11.1Mbps 2倍相当)では、ノイズ低減効果などにより、放送そのままのDR録画よりも質感豊かな再現ができることを目指しています。ぜひともエンコーダーの進化を確かめてほしいですね」

 MPEG-2の17Mbpsでエンコードされている地デジ放送は、放送そのままでもノイズが目立つことが少なくないが、MPEG-4 AVCは同程度の画質ならMPEG-2に比べて約半分の情報量に圧縮できるほど効率がいいので、十分なビットレートがあるXRモードやXSRモードでは、地デジ特有のノイズが低減されることもあり、すっきりと鮮明な画質になっていると感じる。

 また、もう少し圧縮率の高いSR(平均8.5Mbps 3倍相当)モードでも、MPEG-4で目立ちやすい周期的にノイズパターンが変化するリフレッシングノイズがまったく気にならなくなる。

 さらに、LSR(平均4.2Mbps 5.5倍相当)になると、さすがに映像全体の解像感は甘く感じるようにはなるが、人物の顔が潰れずにはっきりと再現されているので、あまり劣化したようには見えない。

 長時間モードに関しては、各社とも10倍超えで一段落した様子で、現在はむしろ実用度の高い4~6倍相当の長時間モードの画質劣化を抑える方向に進んでいる。BDZ-AX2700Tでも長時間モードはさらに進化していることが確認できた。

とことんまで画質を追い込める!
調整機能がさらに充実した「CREAS Pro」

BDZ-AX2700Tの画質調整項目は極めて数が多く、自分で好みの映像に追い込みたいという人には挑戦しがいがある

BDZ-AX2700Tの画質調整項目は極めて数が多く、自分で好みの映像に追い込みたいという人には挑戦しがいがある

 そして、デコードされた信号を高画質化する「CREAS Pro」は、名称こそ従来機に搭載されていたものと同じだが、内部的にはかなり強化されている。

 16bit高画質化回路であるCREAS Proは、BDZ-AX2700Tだけに搭載される専用LSIだ。そのほかのモデルに搭載される「CREAS」も、「クリアブラック」や「超解像」などの調整項目はあるのだが、CREAS Proになるとそれが倍増と言っていいほど調整項目数が増える。今回新たにフィーチャーされたのは、「コントラストリマスター3D」と「3Dエンハンス」だ。

濱田:「今回はCREAS Proの高画質処理で3Dの立体感向上を実現させることが大きなテーマでした。それに合わせて、従来からあるコントラストリマスターも3D対応に合わせて設計から新規にやり直しています」

 「コントラストリマスター」は、映像のコントラスト感を改善する機能だが、一般的なガンマ補正の調整とは異なる(ガンマ補正に近い動作をする機能はクリアブラック)。映像のヒストグラムなどを分析し、映像のダイナミックレンジを十分に使い切っていないシーンで明暗の幅を拡大するといった動作をする。

「コントラストリマスター」の画質比較。左が0(オフ)で、右が4(最大)。映像のコントラスト感は高まっているが、黒潰れや白飛びなどの発生が少ないことが特徴

 従来は黒浮きの改善が主体だったのだが、今回は白沈みの改善も積極的に行なうようになっており、より明暗の幅が広い映像を再現できる。これは3D映像の陰影を強め、立体感を高めることが目的だが、3Dメガネを通過することで明るさが低減して元気のない映像に感じてしまう点を改善する効果もある。

 明るさのピークを拡張することで、3D映像でも明るく見やすい映像が再現できるようになったというわけだ。もちろん白飛びが発生してしまうようなことも少ない。

3Dエンハンスの調整画面。0(オフ)/1/2/3/4の4段階で、効果の度合いを調整できる

3Dエンハンスの調整画面。0(オフ)/1/2/3/4の4段階で、効果の度合いを調整できる

 そして3Dエンハンスは3D映像の左右の映像を比較し、被写体が前に出て、ぼやけた背景が奥に引っ込むような典型的なシーンで、前に出る被写体だけを鮮明に再現することで、ぼやけた背景との立体感をより明瞭に再現するもの。

 コントラストマスター3Dにも言えることだが、基本的に元の映像の不足を補う方向で処理が行なわれるため、コントラストが強すぎてギラギラするとか、不自然に飛び出し感が強調されるようなことはない。あくまでも自然な映像の質感を維持したまま、映像の表現力が広がる印象だ。

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