ポイント2 伝統の堅牢製をタブレットにも
ThinkPadといえば、やはり“質実剛健な筐体の作り”がウリである。その堅牢製はもちろん本製品にも受け継がれている。一部はThinkPadより厳しい基準でテストされているそうなので、安心できそうだ。
まず、筐体は箱形構造で十分な強度を保った。内部は基板とのの接点を減らすことで外部からの衝撃を伝えない仕組みにしている。コーナードロップ(つまり本体の角から落下した場合の衝撃)や、鉄球落下(液晶ディスプレー面の強度)には特に配慮しており、金属プレートの追加やゴリラガラスという強化ガラスを用いるなどして、強度そのものを高めている。使用中の落下は、致命的な破損につながりやすいので、重要だろう。
評価基準という点で、より重視したのが本体の温度だ。ノートパソコン使用時にユーザーが触れるのはパームレストなど一部だが、タブレットでは本体に直接触れなければならない。そのため、放熱処理にも気を配り、液晶の裏側部分の温度なども体温より少し高い程度に収められるようにしているという。
本体内部で最も大きな空間を占めているのはバッテリー。今回は薄さのためファンを入れられず、基板と筺体の間の隙間は0.3mm程度しかないが、この空間にある熱をどう分散するかで、1度程度の温度低下が可能になったと開発者のひとりは話す。
ポイント3 防水性能にも配慮……しただけじゃない
また、ボタンの快適な押し心地を実現するために、十数回は試作を繰り返したと言うから驚きだ。スペック表にはうたわれていないが、実はThinkPad Tabletは屋外作業を想定して、防塵防滴処理が施されている。
ボタン類の内側部分には防水シートが取り付けられているのはもちろんのこと、ガラス面とベゼル面が一体化しており、隙間から浸水する心配がないとくのも特徴だ。もともとは、IECが定める「IP53」基準を目指して作られたというが、完全には対応できなかった。
ちなみにIP53の「5」は防塵性能を表している。最高レベルが6。そのひとつ下である5は「粉塵の侵入防止。若干の侵入があっても正常動作する」という意味。一方「3」は防滴性能で、こちらの最高レベルは8。本製品の3は「鉛直から60度以内の噴霧状に落下する水の影響を受けない」、つまり雨天時での使用可否に目安となる指標となっている。
さて、IP53に「完全には」対応できなかったと書いたが、実は条件を限定すればIP53相当の性能を実現できているという。端子・スイッチ類があるため、防滴性能のLevel3を満たせなかったが、雨天の屋外でも端子類を下にして縦向きに利用する際には問題ないそうだ。
面白いのは、画面ローテーション機能を利用した際、縦向き表示時の向きが必ず固定になる点だ。この向きで使用しなさいと機器側でキッチリと示すことで、浸水にトラブルを未然に防げるようにしている。気付きにくい点だが、ThinkPadらしい配慮のたまものと言える。