製品とWeb、開発にかける人数は同じ
セレボではこれまでも、ネット配信に対応したデジカメ「CEREVO CAM」「CEREVO CAM live!」や、放送業者向けのUST配信デバイス「CEREVO LIVEBOX」を開発してきた。今回のライブシェルは、そのLIVEBOXの民生版といえるもの。
価格にして5万円のLIVEBOXが「予想以上の売れ行きだった」(岩佐氏)のが開発のきっかけ。受注生産のLIVEBOXには放送局などを含め、注文が殺到した。
手ごたえを感じた岩佐氏がライブシェルをつくりはじめたのは今年の2月。投資元から“シリーズB”という2段階目の投資を受けて開発をはじめた。こだわったのは、2万円台という価格帯。業務用をベースに低価格化をねらった。基本的な技術はLIVEBOXと同じものだが、思わぬ苦労を強いられた点が1つあった。HDMIへの対応だ。
「HDMI Certificationという認証試験があるんです。コンプライアンステストが厳しいんですが、これが非常にタフなんです。それを満たさないと“HDMI対応”を名乗れない。車のクラッシュテストみたいなもので、予備試験をしている業者さえあるんです」
セレボのような新興企業が、HDMIの厳しい試験をパスするのは極めてまれなこと。新しいものづくりへのこだわりと熱意を感じさせられる。
製品面だけではなく、もちろんWebの開発にも力を入れた。UST配信を始める前から、オンラインで番組のロゴを入れる位置などを調整する“放送準備”ができるようにする。セレボには現在10名の社員がいるが、Web開発、製品開発の割合は半々だ。Webも“製品”と同じ質で使いたい。その姿勢が経営にもあらわれている。
ライブシェルにはまだ使われていない端子(アップルコネクターに似た形状)が1つある。これを使い「“何らかのモノ”を付けられるようになる」(岩佐氏)というのがこれからのねらいだ。Webと端子、2つの側面から製品の使い方をアップデートしていく考えだ。
Webと家電の“次”をあざやかに示したライブシェル。年内の発売が待ち遠しい。