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Azureストレージ利用のアプリケーション配布などが可能に

クラウドによるPC管理「Windows Intune」が機能アップ!

2011年10月19日 06時00分更新

文● TECH.ASCII.jp

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 10月18日、日本マイクロソフトはクラウド型のPC管理サービス「Windows Intune」の機能アップを発表した。

クラウドからPCを管理する「Windows Intune」

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 Windows Intuneは4月20日に始まったサービス(ワールドワイドでは3月開始)。管理対象のPCにエージェントモジュールを導入し、クラウド上の管理用Webサイトにアクセスするだけで、更新プログラム(セキュリティパッチ)の管理やマルウェア対策、資産管理、リモートコントロール、ドライブの暗号化などが行なえる。管理対象のOSは、

  • Windows XP Professional SP3
  • Windows Vista Business/Enterprise/Ultimate
  • Windows 7 Professional/Enterprise/Ultimate

で、管理コンソールはSilverlight 4.0をサポートするWebブラウザとなっている。PC1台あたり月額1230円で、Windows 7 Enterpriseへのアップグレード権(Windowsのソフトウェアアシュアランス)が付属する。

「Windows Intune」のおもな機能とは

 管理サーバーがクラウド(インターネット)上にあるため、社内に管理サーバーを構築する必要がなく、また社内ネットワークの範囲外にあるPCの管理が可能な点が大きな特徴だ。加えて、管理コンソールは、高度な知識を持たなくても利用できるよう配慮したインターフェイスとなっている。

 こうしたことから、専任管理者がいないSOHOや中小中堅企業での導入が進んでいる。さらに、Active DirectoryやSystem CenterなどのPCを集中管理できる仕組みを持つ大企業であっても、その管理の対象外となってしまう海外出張者や在宅勤務者のPC、本社と広帯域ネットワークでの接続が行なえない拠点のPCなどの管理に、Windows Intuneを利用するケースもあるという。

Windows Updateのパッチも管理できる

 今回の機能アップでは、ソフトウェアの配布と展開機能の追加、マルウェア対策や資産管理機能の強化などが行なわれている。

 ソフトウェアの配布と展開は、管理者が登録したアプリケーション(EXE/MSI/MSPファイル)を管理対象のPCにリモートでインストールする機能だ。同様の機能を提供する管理製品は珍しくないが、Windows Intuneの優れた点は、アプリケーションの配布もクラウドから行なえる点だ。

「ソフトウェアの配布と展開」は新機能の1つだ

 Windows Intuneを契約すると、同社のクラウドサービス「Windows Azure」上に1顧客あたり20GBのストレージが提供される。アプリケーションをこのストレージにアップロードすると、PCに対してWindows Azureから直接配布が行なわれる。多くの管理製品が持つソフトウェア配布機能は、配布用のサーバーを社内に用意する必要がある。そのため、社外のPCに配布するには、VPNなどの仕組みを構築しなければならない。Windows Intuneなら、こうした手間が不要になるというわけだ。

 続くマルウェア対策では、リモートからのスキャンやマルウェア定義ファイル更新の強制実行が可能となった。Windows Intuneのマルウェア対策はこれまで、スキャンや定義更新のスケジュールをポリシーで設定することはできた。しかし、「今すぐスキャンを行なう」ための機能はなかった。

今すぐにマルウェアスキャンを行なうことも可能に

 今回の強制実行機能により、たとえばフルスキャンを毎週金曜に設定している企業で、「月曜日に一部PCでウイルス感染が発見されたので、他のPCでも念のためのフルスキャンを臨時に行なう」といったことが可能になったわけだ。

 Windows Intuneが搭載する機能の柱の1つが、PCのハードウェアやソフトウェアの構成情報を収集する資産管理だ。特にマイクロソフトのボリュームライセンス製品の管理機能が強力で、PCへのインストール状況の自動収集だけでなく、ボリュームライセンスのサイトから契約情報をダウンロードし、所有ライセンスとインストール状況との照合を行なう機能も持っている。

 今回の機能アップでは、マイクロソフトのパッケージ製品やプレインストール製品(OEM版)、さらに他社製品のライセンス管理が可能となった。ボリュームライセンス製品のような契約情報のダウンロードは行なえないが、ライセンス情報の入力を途中まで行なうと候補がリストアップされるオートコンプリート機能が提供される。完全な手動入力ではタイプミスや表記の揺れなどが生じ、インストール状況との正しい照合が行なえない危険性があるが、オートコンプリーにより、そうした事態を防ぐことが可能だ。

ソフトウェアライセンス管理機能が、マイクロソフトのボリュームライセンス製品以外にも対応

 残念なのは、オートコンプリートに使うカタログ情報が米国のマイクロソフト本社で管理されており、日本語で表記された日本独自のソフトウェアが登録されていない点だ。これは早急に対応してもらいたいところだ。

 他にも、稼働監視ではアラート受信のカスタマイズが可能となり、ファイルダウンロード時の帯域幅の制御機能、大企業での管理分散に便利な読み取り専用管理者権限の設定など、多くの機能強化がなされている。

 数年の間隔を開けてのバージョンアップが多いマイクロソフト製品の中で、製品提供開始からわずか半年での機能強化は珍しいという。これも、機能強化のための作業がマイクロソフトの管理するサーバー側で行なうだけで済むクラウドサービスならではのメリットといえるだろう。

 Windows Intuneの提供は、PC1台あたり月額単位で設定される「デバイスサブスクリプションライセンス(DSL)」となる。基本価格は前述の通り1230円/月だが、250台以上の購入ではボリュームディスカウントが提供される。また、すでにWindowsのソフトウェアアシュアランス(SA)を所有する場合、その対象となるデバイスに対してはSA相当額を割り引いた価格で購入が可能だ。

「Windows Intune」の価格

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