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元AT&TジャパンのIIJグローバルソリューションズが本格始動

WANもクラウドも海外で!IIJ、グローバル戦略を披露

2011年10月17日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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インターネットイニシアティブ(IIJ)は、IIJグループの海外戦略についての記者説明会を開始した。昨年、AT&Tジャパンの事業を買収し、設立されたIIJグローバルソリューションズをベースに、WANのみにとどまらずクラウドサービスも米国やアジアに対して展開していくという。

「ネットワークが切れる」という現場の不安に応える

 説明会の冒頭、IIJ代表取締役社長の鈴木幸一氏は、1990年代にアジア8カ国の地域を結んだAIH(ASIA Internet Holding)の取り組みを振り返った。「インターネットがアメリカ中心だった当時、AIHを立ち上げて、アジア各国との通信も重視していた。しかし、アジア内でのトラフィックはなかなか多くはなかったし、インターネットも未成熟だった。ネットワークもメッシュ型ではなく、日本を中心にしたスター型となっており、批判されたこともある」(鈴木氏)と、長年インターネット業界を見てきた同氏ならではのコメント。その後、インターネットが企業インフラとして普及し、昨今の日本企業のアジア進出が加速している中、いよいよ機が熟したということで、米国にとどまっていたグローバル展開をアジアや欧州においても本格化させると説明した。

IIJ代表取締役社長の鈴木幸一氏

 次にIIJグローバルソリューションズの岩澤利典氏が、ネットワークサービスの海外進出について、人口減少を迎える日本以外の市場開拓、製造業での生産拠点移転、サービス産業の海外展開などをその背景として挙げた。これに対して同社の「グローバルネットワークアウトソーシングサービス(GNOS)」では、海外に事業所を置く企業に対して、品質の高いネットワークサービスを提供すると説明する。

ネットワークサービスの海外展開

 岩澤氏は、アジア各国で安定したICT環境を構築するのが難しい現状を説明し、「日本に比べると、ローカルキャリアのサービスは品質面で厳しい。こうした中、現地でいかに止まらないネットワークを作るかが重要」と指摘した。これに対して、同社はローカルとグローバルのキャリアで冗長性をとるといった施策を提供し、キャリアではない強みを活かしていく。また、設計から運用まで、日、英、中の3カ国でのサポート体制も拡充していくという。

 さらに、同日付で世界200カ国と接続できる国際インターネットVPNサービス「Net de! World」を発表した。Net de! Worldでは、ルーターやアクセス回線の調達、運用・保守までをフルマネージドサービスとして提供するという。参考価格として、日本とタイを1Mbpsで接続する場合、IP-VPNだと月額約35万円かかるが、Net de! Worldだと約20万円で済むという。VPN構築において設定や運用管理を自動化するSMF(SEIL Management Framework)も海外展開を予定しており、SMFを組み込んだジュニパー製ルーターやx86ベースのソフトウェアルーターなどを現地で利用できるようにしていくという。

IIJ GIOも海外展開を目論む

 ネットワークのみならず、クラウドも海外で展開する。「最近はネットワークだけ提供してほしいというニーズはもはや少なく、セキュリティサービスやデータセンターもあわせて提供してほしいという要望が多い」(岩澤氏)とのことで、現地キャリアやSIerと協力し、セキュリティ、データセンター、運用管理などを組み込んだソリューションとして提供するという。

クラウドサービスの海外展開

 具体的には、IIJ GIOサービスを海外展開し、すでにサービスインしている米国に加え、2012年度から中国、アジア・欧州などでもサービスを展開する。現地パートナーとの提携を重視し、日系企業だけではなく、現時の企業も取り込めるようにビジネスを展開するという。データセンターに関しては海外で設置する可能性もあるが、M&Aや提携はケースバイケースだと説明した。

 海外拠点に関しては、1996年からサービス展開しているIIJ Americaのほか、2012年の2月中国にも現地法人を設立。アジア諸国にも現地法人、駐在員事務所を順次設立していくという。

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