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新時代突入! 未来が内部に満ちる「iPhone 4S」(前編)

2011年10月12日 10時00分更新

文● 林信行

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iPad 2の性能をポケットの中に

ベンチマークアプリ「GeekBench」によれば、iPhone 4S搭載プロセッサー「A5」のクロック周波数は717MHzで、メモリーは505MB

 さて、そのわずかに変わった画面の向こう側には、新体験の速さが待っている。せっかく実機をいち早く使わせてもらったので、その実力を計測してみることにしよう。まずは定番の性能測定アプリ(ベンチマークアプリ)、「GeekBench」でCPUの性能を比較してみた。

 アップルによれば、iPhone 4SのCPU性能はiPhone 4の2倍、グラフィックも併せた性能で7倍近く速いという。

 GeekBenchの計測結果では、iPhone 4SはiPhone 4の約1.89倍という結果が出た。ほぼ発表通りといっていい範囲だろう。これは、今年の春に出たばかりの「iPad 2」の約94%の性能を示しており、それだけの製品をポケットの中に収めて持ち歩けるというのだから、なんともすごい。

iPhone 4Sのスピードは、ほぼiPad 2の94%にあたる。これがポケットに入るのだからすごい

 また、こうしたテストツールの結果は、必ずしも実際の体験を表わしているとは言い難いため、実際の利用に則したテストも行なってみた。

 まずは、ウェブページの表示だ。要素が多くて表示に時間がかかるページがどれだけ快適になるのか、ここASCII.jpを使って計測をしてみた。一応、電波状況がよく、アンテナがすべて立っている環境で計測をした結果が以下の表だ。

ASCII.jpを表示し終えるまでの時間(実測)
種別 iPhone 4S(iOS 5) iPhone 4(iOS 4)
3G接続時 15.4秒 27.2秒
Wi-Fi接続時 4.09秒 26.5秒

 なんといっても、iPhone 4SをWi-Fiで接続した際の速度が異常なくらいに速い(アップルの「Time Capsule」を利用した無線LAN接続、回線はフレッツ光の光ファイバー)。テストした場所はソフトバンク回線の電波状況がいいのか、iPhone 4を利用した3G接続、Wi-Fi接続のどちらでも、それほど時間に大きな差が出なかった。

 しかし、HSPAにより従来の2倍の速度で通信できるiPhone 4Sでは、3G接続で70%ほどスピードが増した。

 一方、iPhone 4とiPhone 4Sのどちらも同じ速度で接続しているWi-Fi接続の場合は、CPUによる画面のレンダリング速度の差が出たのか、iPhone 4Sが6.5倍ほど高速という結果が出た。ただ、この結果を見ていると、もしかしたら3Gでのテストで出た速さも、接続速度以上にレンダリング速度の影響が大きいのではないかと、ちょっと思える。

 アップルの製品のすごさは、よく使う機能の使い勝手を、ひとつの観点からだけでなく、さまざまな観点から改良している点だ。今回のウェブページの表示にしても、アンテナ性能の向上とHSPA対応、CPU性能の向上、グラフィックス性能の向上、ウェブブラウザー「Safari」の速度が向上していることなど、あらゆる要素が絡み合って、この結果を生み出している。

 iPhoneシリーズのようにモデル数が少なく、製品が1年に1度のペースでしか追加されない環境であれば、製品の性能向上は体験の向上につながる。

 たとえば、最近リリースされたゲーム「SHADOWGUN」では、iPhone 4Sの高いグラフィックス性能を生かし、煙幕や雲などでより細かいディテールの描き込みが行なわれるという。少し試してみた限りでは、残念ながら違いが分かるシーンまで進めなかったのだが、これはハードウェアの進化が即座に新たな表現に直結するゲームの世界ではおなじみの現象だろう。iPhone 4Sは、そんなゲームの世界のダイナミックな進化をも“モノ”にしつつある。

iPhone 4Sの優れたグラフィックスパフォーマンスを生かし、ディテール描写に差が出るというゲーム「SHADOWGUN」。残念ながら、それほど大きな差が出る場面まで進むことができなかった

 アップルがiOS 5から新たに用意したライブラリー、「GL Kit」を使って開発したアプリケーションであれば、iOS側でハードの性能を識別して、グラフィックス性能を最大限に生かした表現を行なってくれる。

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