昨晩、ちょうど「iPhone 4S」と「Kindle Fire」、どっちがスゴい?という原稿を書いていて、ジョブズが作り出したいまのコンピュータの流れというのは、まだまだ始まったばかりだと思ったんですね。
iPhone 4Sが、基本的にいままでのアップルの流れを継承していて、iCloudもまだ始まったばかり。iOSというのは、今回もいろいろな機能が組み込まれたけれど、iCloudと融合するはず。たぶん、「同期」という言葉が消えるはずなんです。
ところが、そこにKindle Fireというものが出てきた。7型タブレットであるKindle Fireと、iPhone 4Sや9.3インチのiPadを並べて論ずること自体がヘンに見えると思うんだけど、Kindle Fireは単なる製品ではなくサービスでもあるがゆえに、そうした壁を越えてしまっている。
一方で、電車の中でも駅前の交差点でもお店の店頭でも、世の中が画面だらけになっていて、その中には確実に人々とインタラクションをするものが出てきている。それの急先鋒がKindel FireやREGZA Tabletのような目的指向端末なんだけれども、その背後には無限のニーズがある。
そのときに、アップルは、iOSをどう発展させていくのだろう? というようなことを書いたのですね。つまり、これから非常に難しい判断を必要とするタイミングにあって、この流れを作った張本人であるジョブズには、まだまだ仕事があるはずだと思ったわけです。
Androidが市場に増えてきてシェア争いが大変だとか、そういう話ではないんです。iOSという、非常に緻密に個人をブーストする機械のために設計されたものの次には、どんなものがあり得るんだろうかというようなことなんです。
つまり、ジョブズは成し遂げた、偉大なことをやり遂げた、ではなくて、本人はどこまでもやり足りていないんじゃないかと思うのです。
そんな彼の死を悼み、ここにご冥福をお祈りします。
(アスキー総合研究所所長 遠藤諭)
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