よく分かる、電子書籍端末最新事情

文●林佑樹、小説●藤春都、イラスト●木野陽

2011年10月09日 09時00分

2年目に入った「電子書籍元年」、それでも進化は終わらない!

 電子書籍元年と言われた2010年……あれっ? 気付いたら2年目も終わりそう!? そんなことを言ってはいけない。スマホやタブレット人気を横目に見ながら、そしてときには便乗しながら、着実な進化を遂げているのだ!

 特に2011年の後半はその勢いが加速中。世界市場を舞台に躍進を続けている、Kindle、iOS機、そしてReaderそれぞれに、魅力的な機能を搭載した新機種が追加されている。一方で囲い込みやプラットフォーム争いも激化。各陣営のPR担当・電子書籍少女(イーブックガールズ)も大忙しだ!

 ここでは最近の電子書籍とモバイルタブレット市場の注目トピックスを紹介。にじましい努力を続ける彼女たちの営業活動と合わせて紹介するぞ。

【PICK UP】この記事に登場する電子書籍少女

 話題の「Kindle」など、最新電子書籍端末を熱烈アピール!

 この記事の制作には、“電子書籍の最新事情”をイラスト・漫画・小説などで楽しく紹介した、自主制作誌『電子書籍にまつわるおはなし』(2010年)の皆様にご協力いただきました。同誌および続刊の『電子書籍少女 -eBook Generation』『電子書籍少女 2011年8月号』(2011年)から一部素材をご提供いただき、編集部で再構成しています。

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Kindleが海の向こうでFireに進化!?

 遠い海の向こうでは、電子書籍リーダーとしての勢力を伸ばしているKindle。その最新モデルが発表された。

 名称は「Kindle Fire」。Androidベースの独自インターフェースを採用。サイズは幅120×奥行き11.4×高さ190mmで、重量413g。7型ISP液晶を採用し、解像度は169ppi(1024×600ドット)。ゴリラガラス採用のマルチタッチ液晶を採用している。

 スペック面ではデュアルコアのTI OMAP4430、内部メモリー8GB(ユーザー領域は6GB)、Wi-Fi、USB 2.0(microUSB端子)、バッテリー駆動時間読書利用時で8時間という構成。価格は199ドル! 7型のAndroid端末としてみると、格安である。

 OSはAndroid 2.xベースだが、Amazonによるチューンがなされている模様。発表を見るに、余分な機能を取り除いている、

 また独自ブラウザ「Amazon Silk cloud-accelerated」や、クラウドで処理する高速ブラウザーがプリインストールされている。視認性の面でiPadを強く意識しているのは、プロモーションビデオや写真を見ればよくわかる。動画機能にも対応し、Amazon経由での電子書籍だけでなく、動画配信への展開も見えてきた。

 残念ながら、日本での発売は未定のままだ。

 なお姉妹機として「Kindle Touch」も発表された。従来のKindleからハードウェアボタンを排除し、タッチ操作に置き換えたもの。6型ディスプレーで、E-inkを採用している点などは変化なし。バッテリー駆動時間は2ヵ月。発売開始は11月21日。Wi-Fi版は99ドル、Wi-Fi+3Gは149ドル。

【ライター林のつぶやき】
 読書用に7型のiPadがほしいって日本人は多いんじゃないだろうかと思う。便利なのだけど、なんだかんだでiPadはデカい。それはともかく、このKindle Fire、スペックでいえば引けを取らないし、今後が楽しみ。アプリ次第といえばアプリ次第だけど、格安Android端末としてほしい人も多いんじゃ? 怪しげな中国産端末を買うくらいなら、こっちだよね……超安定動作は約束されているようなものだし。

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モテモテのiPhone、三角関係に発展か?

 業界を驚かせ日本経済新聞の「auからiPhoneが出る」という報道。SNSなどを中心に一般ユーザーにも広くニュースが伝搬した。

 ご存じの通り、国内においてiPhoneは2008年からソフトバンクがほぼ独占提供してきたが、すでにアップル自体が日本以外では、当初の「1国あたり1キャリア」のエクスクルーシブな契約を解除する動きを見せていた。そのため、auやドコモからの提供もそれほど遠くはないと予想されていたが、実際に報道されてみて改めて驚いた人も多いだろう。

 それもあってか、auとソフトバンクの秋・冬モデル発表会(関連記事1関連記事2)でも、iPhoneについての質問が飛んだ。

 答えとしては当然ながら「ノーコメント」。実際には5日の発表通りの結果となった(関連記事)が、発端たる日経は直前に「でないかも」という報道をするなど、混乱気味になっていた。

 また10月に入ってからは「auの最新カタログにiPhoneの文字が」とユーザー間で話題に。「関東おススメ!」 サービスが10月21日から利用可能になるというだけのものだったが、それだけで人を右往左往させるiPhoneの人気は怖い。これ以外にも、au発表会後にAndroid auのサイトが消えたりと業界騒然の数週間であった。

 日本時間10月5日午前2時からのアップルの発表では、期待の「iPhone 5」ではなく「iPhone 4S」が登場。CPU性能と描画性能の向上、背面カメラの高画素化(フルHD動画撮影に対応)などなど。iCloudやiOS新バージョンなども登場した。

 毎年恒例だが、iPhoneは情報ひとつで世を賑わせてくれる存在だ。

【ライター林のつぶやき】
 すっぱ抜きなのか、飛ばしなのか、意図的なリークなのかは不明なままだけど、10月5日未明の発表を、大きく盛り上げたのは確かじゃないだろうか。筆者的には、秋葉原でiPhone 5用らしいジャケットが売ってるほうが気になっている。あまり話題になってないけど。どうあれ、小さい情報でも盛り上がるアップル製品は華があっていいよね。ニュース&エンタテイメントで大好き。

強気のアップル、サムスンと大喧嘩

 アップルとサムスンが訴訟バトルに突入している。

 発端は2011年4月にアップルが米国で

  • GALAXY S 4G、Epic 4G、Nexus SなどがiPhoneを模倣している
  • GALAXY TabなどもiPad 2を模倣するために発売を遅延させた

──などの理由で、サムスンをアメリカで提訴。即座にサムスンは日本と韓国、ドイツで自社特許を侵害しているとして提訴。さらに米国でも提訴を実行と序盤からガチバトルに発展した。

 アップルとサムスンはこれまでビシネスパートナーの関係にあった。iPhoneやiPadに採用されているA4/A5プロセッサー、iPhone 4のフラッシュメモリーはサムスン製だ。

 しばらく殴り合いが続いたあと、2社ともITC(米国際貿易委員会)に提訴と揉めに揉め、現在はドイツでのGALAXY Tab 10.1、オランダでGALAXY Sの発売禁止。またEU全域での販売差し止めに広がりそうな気配だ。

 というように、現在進行形で全面訴訟戦争が展開されている。iPhone 5の発売後もサムソンの攻撃的な訴訟は予想されているが、現時点ではお膝元の韓国での訴訟はしないようだ。だいぶ混迷を極めているが、結果がどうなるか、スマホ好きはチェックしておくべきだろう。もちろん、電子書籍の供給先としても多大なシェアを持つ2社の端末。業界的にも注目されている。

【ライター林のつぶやき】
 Appleは模倣といい、サムスンは特許侵害というんだけど、正直言うとGALAXY S2は似すぎだろうと思った。とくにホワイト。スレート端末は現状だと形が似通ってしまうが、それ以上の何かだった。iPhone 4Sがいよいよ発売されるけど、どうなるんだろうね。

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※小説内の記述はReaderの初代モデルを参考に書かれています。

Sony Tablet登場、Readerの立場は?

 Kindle Fireが、電子書籍リーダーからタブレット扱いに変化したのを横目に見ながら、ライバルメーカーを眺めていたら、Readerの存在が危うい?ような気がしてきた。

 ソニーからも「Sony tablet S1」「Sony tablet P1」が登場し……、在庫処分のように低価格で販売。もしかして、撤退かと思いきや、Rederにも新型が登場した。

 6型Wi-Fiモデルの「PRS-T1」、6型3G+Wi-Fiモデルの「PRS-G1」のふたつ。前モデルから継続してE-inkディスプレイを採用し、文庫サイズの幅110×奥行き9.4×高さ173.3mm、重量185g。バッテリー駆動時間、約2万ページ。前モデルと外観上の差は少ないが、Wi-Fiと3Gに対応した点が大きい。

 以前はパソコンからReader Storeにアクセスし、電子書籍を購入。それからReader本体にデータを移すという、実に面倒なステップがあった。そこを解消した形だ。また3G+Wi-Fiモデルであれば、どこでも電子書籍で見つけた気になるワードの検索ができると、利便性も向上。サイトにも掲載されているが、E-inkは文字を読みやすく、文字ベースのWebコンテンツとの親和性が高い。

 Android搭載のSony tablet S1、Sony tablet P1とは違うラインを攻めるということで、Readerについてもソニーは本気と見ていいだろう。

【ライター林のつぶやき】
 読むだけなら最高に便利なReaderは、筆者も絶賛愛用中。ネットワーク対応で文字ベースのWebコンテンツをじっくり読むスタイルの提案に賛成だ。iPadも便利なんだけど、やっぱり目が痛くなるんだもん。これでまたWikiの時間泥棒っぷりが加速しそう。いちいち、パソコン側で購入が面倒だと放置していたReader Storeもチェックしておこうっと。

そしてGALAPAGOSが突然の引退宣言!?

 電子書籍ブームに乗って登場したシャープのGALAPAGOS。通常の量販店ルートではなく、コンビニでも端末を受注するなど、一風変わった販売戦略も話題となった。

 というわけで電子書籍元年を盛り上げたGALAPAGOSであったが……。2011年9月末に突然の終了宣言……!?

 と見えたが、実際にはガラパゴス端末2種類の発売を終了するのみというものだった。とはいえ、端末寿命でいえば10ヵ月と短いものであった。発売当初は、Androidベースであることを積極的にうたっておらず、利用できるアプリなどにも制限があった。その後は通常のAndroid端末としての利用を可能にするアップデートも実施されたが、こうしたテコ入れもむなしく終わった形だ。

 ちなみに発売中止になるのは、5.6型と10.8型の2モデル。イー・アクセス向けの7.0型モデルの供給は継続。またコンテンツ販売サイトのGALAPAGOS STOREは継続運営する。9月末にリニューアルを行い、パソコンやスマホのブラウザーからも閲覧可能とした。サービス面で押し返すようだ。

 なお、9月末に株式会社TSUTAYA GALAPAGOSはシャープの完全子会社となった。ストア名も「GALAPAGOS STORE」に刷新。上記しているように、電子書籍ストアサービスは継続していく。

【ライター林のつぶやき】
 サービス名と製品名が同じだから誤解を生んだんじゃないですかね、これ? 「GALAPAGOSって名称はどうよ」って正直思ってった人が多いのは事実だけど、読む端末としては優秀なので、がんばってほしいなぁ。電子書籍の場合、端末よりはサービスが大切だし。

【プロフィール】

藤春 都

 ライトノベル書き。大学で図書館情報学を学んだ後、第二回ノベルジャパン大賞佳作受賞。かつて五色iMacを欲しかったけれど買えなかった若輩者のMacユーザー。今はMacBook ProとiPhoneを好きなだけ使えて幸せ。

木野 陽

 マンガ家/イラストレーター。「飛ぶ東京 -Wandering City TOKYO-」(月刊コミックアライブ2010年9月号)にて商業誌デビュー。コミックマーケット/COMITIAなどのイベントで創作マンガも発表している。2009年、たまたま手に入った「Kindle2」を同人誌即売会で展示した際、「せっかくなら中身を」ということで描いたマンガが「Kindleちゃん」。

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