荻窪圭の“這いつくばって猫に近づけ” 第219回

夕方の鞆の浦で猫と戯れる子供たち

今度は子供たちがカメラ片手に猫撮影

私のカメラで男の子が撮った猫。猫を抱いているのが私（2011年8月 パナソニック DMC-G3）

　いつまでもそこにいられても困るので、カメラを置いて猫を抱き上げると、くだんの男の子が「俺が撮ってあげる」と私のカメラを持って1枚。

　F1.4なんていうピントのシビアなカメラを手にしながら、ちゃんと猫にピントが合っているのに感心。だから記念に掲載。

紐にぱくっと咥えつく猫。いくつになっても猫はこういうのが好き（2011年8月 パナソニック DMC-G3）

そのままおなかを上に引きずられていったのであった。いったいその紐には何が結わえてあったのか、謎（2011年8月 パナソニック DMC-G3）

　こんな狭い路地で子猫をやっていくのも大変だな、と撫でていると、また別の女の子が私を呼ぶのである。目をやると、先に何かをくくりつけた紐で猫を釣って遊んでおり、紐に釣られたその猫はそのまま路地裏のさらに裏へとずりずりと引きずられていくのであった。

　見知らぬ大人達に猫を自慢したあとは、我々が猫を撮る姿が気になってしょうが無く、カメラを貸してとうるさいので、妻に持たせていたNEX-5などを渡すと、面白がってほかの猫をカメラで追い回し始める。

子供達の興味がほかの猫に移ったので、ほっと一息して毛繕い（2011年8月 パナソニック DMC-G3）

　ふう、やっと解放された、と一息つくキジトラ猫。

　そんな風に狭い路地で子供達と大騒ぎしてると、すぐ横の開き戸がガラリと開き、すわ何事かと猫を抱いたおばあさんが登場。部屋で飼われている白黒猫はさすがにきれいで、いきなり撮影会。

玄関から猫を抱いたおばあさん登場。右上に小さく写ってるレンズは、子どもが持ってる私のNEX-5（2011年8月 パナソニック DMC-G3）

よく見ると、ちょっと爪を立てているんだけど、おばあさんはお構いなし（2011年8月 パナソニック DMC-G3）

　まあ、こんなところまで猫を撮りに来たの？　そうそう、この猫は肩に乗っけられるのよと、さんざん子どもに遊ばれていた猫をひょいと肩に担ぎ上げてくれた。

　日が暮れてくると、子供達も少しずつ路地裏の奥へ消えていき、「もっと遊んでいたい」と最後まで残った子も、お母さんに手を引っ張られて帰って行ったのである。

　かくして、日本の田舎と猫と子供達といっぺんに堪能したおおらかな夏の夕暮れは怒濤のごとく過ぎていき、怒濤感を出すべく、いつもより写真多めに掲載いたしました。

筆者紹介─荻窪圭

老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイ ン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩で、天気がいい日は自転車で都内を走りながらネコを探す日々。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい！』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』（ソフトバンク新書）。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/