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ゲーミングデバイスで有名なRazerに今後の展開を訊く

2011年09月26日 19時30分更新

文● 石井英男

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 Razerは、ゲーミングマウスやゲーミングキーボードなどで有名なデバイスメーカーだ。今回、東京ゲームショウ2011のブースにおいて、同社は世界で初めてXbox 360用アーケードスティックの試作品を公開した。Xbox 360用アーケードスティックについては、こちらの記事を見ていただきたいが、ここでは、Razerのプロダクトマーケティング部次長Hilmar Hann氏に、Razerの製品の特徴や、今後の展開などをお訊きできたので、その内容を紹介しよう。

Razerのプロダクトマーケティング部次長Hilmar Hann氏

プロゲーマーのフィードバックを重視した製品作りが特徴

 Razerのゲーミングデバイスは、高性能でプロゲーマー向けという印象が強いが、その秘密は、プロゲーマーが多いコミュニティーからのフィードバックを重視した製品作りにあるという。

―――Razerの製品の特徴、セールスポイントは何でしょうか?

【Hilmar】 このXbox 360用アーケードスティックのプロトタイプもそうなんですが、カスタマイズ機能が充実しており、高度なカスタマイズが可能なことがRazer製品のウリです。それから、最終製品を出す前に、コミュニティーからもらったフィードバックをすべてクリアするようにしています。フィードバックがクリアされないと製品は出せないということで、競合他社と比べて、コミュニティーのフィードバックを大事にしているというのが大きな特徴です。

―――そのコミュニティーというのは、アメリカのユーザーグループですか?

【Hilmar】 そうです。プロゲーマーのコミュニティーです。ただ、割合的にはゲーマーの上位1%くらいの、質の高いプロゲーマーたちが集まっているコミュニティーになっています。基本的に、弊社のゲーミングデバイスというのは、プロゲーマーを意識したものになっています。

Razerが開発中のXbox 360用アーケードスティック。まだ製品名も発売日も決まっていない。これから1年かけてプロゲーマーなどから意見を集め、それをフィードバックさせたものを製品化する

アーケードスティックは簡単に開くことができ、レバーやボタンを交換できるようになっている。スティックとボタンは、アーケード筐体でも採用されている三和電子製だ

競合他社が増えてきたが、Razerは十分市場で戦える

 PC自作派にとって、ThermaltakeやCoolerMasterといえば、クーラーやPCケースなどのメーカーとしてお馴染みだが、両社ともに最近は、ゲーミングデバイス分野にも積極的に進出している。例えば、Thermaltakeは、2011年7月に秋葉原でPCゲーマー向けイベント「Gaming Field」を開催しており、ゲーミングデバイス分野への本気が感じられる。こうした競合が増えてきたことについて、Razerはどう考えているのだろうか。

―――最近、ThermaltakeやCoolerMasterといった、クーラーやPCケースなどを作っているメーカーもゲーミングデバイスを発売するなど、競合が増えてきていますが、Razerはどう対抗していくのでしょうか?

【Hilmar】 競合他社が増えてきているのはわかりますが、Razerとしては常にコミュニティーのフィードバックを意識した製品作りをしていて、彼らのクオリティーを信頼しています。Facebookのコミュニティーにも100万人ほどの登録があります。そうした面も含めて、コミュニティーのクオリティーの高さと、そこから生まれる製品の質の高さは、他社は今のところはまだ追いつけないんじゃないかなと思います。

コンシューマーゲーム機用のアーケードスティックといえば、HORIとMad Catzが市場をほぼ独占している状態。そこへあえて参入する理由は、上記回答と同じ。コミュニティーと製品のクオリティーの高さで、市場で戦えるものを出す自信があるからとのこと

今回Xbox 360用としたのは、マイクロソフトからライセンスがおりるのが早かったから。USB接続なのでもちろんPCでも使用可能だ。いずれPS3用も出すかもしれないという

日本のPCゲーミング市場が伸びる可能性はまだまだある

 日本は、米国や韓国などに比べるとeSports人口が小さく、プロゲーマーと呼ばれる人もほとんどいない。また、最近は、ケータイやスマートフォンなどでのソーシャルゲーム人気に押され、PCでゲームをする人が減っているようにも感じる。そうした状況において、Razerが、日本のPCゲーミング市場に積極的にコミットしている理由について訊いてみた。

―――日本はeSports人口が小さく、プロゲーマーと呼ばれる人もほとんどいません。最近は、ケータイやスマートフォンなどでのソーシャルゲームに押され、PCでゲームをする人が減っているように思いますが、そうした状況にもかかわらず、日本市場を重視している理由はなんでしょうか?

【Hilmar】 日本のプロゲーマーというか、PCでゲームをするユーザーが少なくなっているということは十分に理解しています。ただ、日本市場の存在感というか、まだまだポテンシャルはあると感じています。日本のPCゲーミング市場はまだまだ伸びる可能性があるので、Razerとしてはこれからも積極的に、プロゲーマー向けの製品を作り続けていきたいと思っています。もちろん、日本だけではなく、グローバルに展開していきます。現時点では、大きなユーザー向けイベントを日本で開催する予定はありませんが、東京ゲームショウには、来年も再来年も出展する予定になっています。また、一般公開日の土曜日と日曜日で、一般の人の反応を見たいと思っています(筆者注:このインタビューは、ビジネスデイの金曜日に行なわれた)。

ゲーミングノートPCを投入予定

 Razerの今後の製品展開について訊ねたところ、8月に米国で発表した新製品であるゲーミングノートPC「Razer Blade」を投入する予定があるということが明らかになった。Razer Bladeは、キーボード右側にタッチパネル付きサブ液晶を搭載していることが特徴のゲーミングノートPCで、厚さ22mmというスリムなボディも魅力の製品だ。

17インチ液晶搭載のゲーマーノートPC「Razer Blade」。アルミ筐体にIntel Core i7、GeForce、8GB DDR3メモリ、320GB HDDを搭載する

厚さ2.2cm、重さ3.1kgと、従来のゲーマーノートより薄型かつ軽量なのがウリのひとつだ

キーボードの右側には液晶画面を搭載。ゲームの情報を表示したり、タッチパネルとして使用する。その上の10個のキーはコマンドを記憶するマクロキー

―――今後の製品展開について教えて下さい。

【Hilmar】 当面は、現在プロトタイプのXbox 360用アーケードスティックと、アメリカで8月に発表したRazer BladeというゲーミングノートPC、この2つに注力していきます。Razer Bladeに関しては日本でも発表する予定ですが、まだスケジュールは決まっていません。

―――年内くらいですか?

【Hilmar】 そうですね。日本のマーケットは優先されているので、そんなに遅れることはないと思います。今後は、ノートPCも含め、Razerのゲーミングシステムっていう感じで、トータルで訴求していきたいと思っています。

―――最後に、ASCII.jpの読者の皆様へのメッセージをお願いします。

【Hilmar】 東京ゲームショウへの出展は今年で2回目ですが、このXbox 360用アーケードスティックは、世界で初めてこの東京ゲームショウで発表したものです。このように、Razerは、これからも日本市場に注力していくので、さまざまな製品の登場を期待していて下さい。

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