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遅かりし由良之助?「Equalizer」もエンタープライズ市場を目指す

ADCの老舗コヨーテポイント、日本本格展開の背景

2011年09月28日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田 元

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ADC(Application Delivery Controller)専業ベンダーのコヨーテポイントが、日本法人を設立し、日本市場にコミットするという。ADC老舗の同社が、成熟市場の国内ADCに肩入れする理由とは? 米コヨーテポイント・システムズの社長のマイケル・C・ヘイズ氏、コヨーテポイント ジャパンカントリーマネージャ 小林容樹氏に話を聞いた

すでに10年選手!老舗ADC「Equalizer」

 コヨーテポイントは、1998年に設立された米国のアプライアンスベンダー。ファウンダーのCTOであるビル・キッシュ氏が、もともとオリンピックのサイトの負荷分散を担当しており、そのノウハウを盛り込んだロードバランサーが同社の主力製品「Equalizer」になる。

米コヨーテポイント・システムズの社長のマイケル・C・ヘイズ氏

 創業以降はCEO/CTOで正直こじんまりビジネスを進めていたが、2005年にファウンダーの一人であるマイケル・C・ヘイズ氏がプレジデントとして経営に本格参画し、グローバルなビジネスを本格的にスタートさせた。「北米やオーストリア、ドイツ、スペイン、インド、オーストラリア、タイなど特に強いパートナーのいるところで製品を投入している。Eコマース、政府系、教育系などの市場での顧客が多い」(ヘイズ氏)という。

 日本はすでに10年来ネットワールドがディストリビューターをつとめており、製品自体はかなり古くから導入実績がある。今回の日本法人の設立以降、より投資を進め、マーケティングやサポートなどに力を注ぐという。

機能面でも他社にひけをとらないOSの拡張

 Equalizerはアプリケーショントラフィックの最適化を実現するADCで、SMB向け製品というイメージが強い。しかし、実際はエントリレベルの「E250GX」からエンタープライズレベルの「E650GX」まで幅広くを提供している。L4~L7のロードバランシングのほか、SSLアクセラレーションやグローバルなロードバランシングや仮想化サーバーに対するロードバランシング(VLB)などの機能が載っており、各モデルは機能面で差別化されている。

 「多くのADCベンダーは、エンタープライズ市場をフォーカスし、セキュリティの機能なども追加しているが、使われていない機能も多い。コヨーテポイントはADCに特化しており、コスト効率とパフォーマンスを追求している」(ヘイズ氏)。低価格だが、『安かろう悪かろう』ではなく、エンタープライズでも十分に利用できる」とのことで、今後はエンタープライズやホスティング、ISPなどの市場を開拓していく戦略だ。

コヨーテポイントのADC「Equalizer E650GX」

 こうしたコヨーテポイントが新たに提供するソフトウェア「EQ/OS v10」では、5~7年くらい先のエンタープライズでの利用を想定し、パフォーマンスや信頼性、管理、セキュリティなどを考え、イチからコードを書き直したという。SSLの高速化や強化、HTTP圧縮、ポリシールーティング、IPv6などに対応し、エンタープライズに向け、アクティブ-アクティブのフェイルオーバー、VLANなど対応も行なった。

 また、Envoyというグローバルサーバーロードバランシングの機能を用いて、地理的に異なるサイトへのDRを行なうソリューションも用意する。「たとえば、スタンバイ側の拠点でも仮想アプライアンスを用意し、DRの際にフェイルオーバーさせるといった連携も可能だ」(ヘイズ氏)という。さらにサブスクリプションベースのEqualize OnDemandという仮想アプライアンスも提供されるほか、「新バージョンでは設定ツール等の日本語化も進められる」(コヨーテポイント ジャパンカントリーマネージャ 小林容樹氏)という。EQ/OS v10の投入により、機能面でも他社製品と引けをとらない大きな拡張になるようだ。

コヨーテポイント ジャパンカントリーマネージャ 小林容樹氏

 F5を筆頭に、A10やシトリックス、アレイ、バラクーダなどさまざまなベンダーのひしめくADCの市場だが、今回の日本法人設立でコヨーテポイントがどこまで存在感を示せるか、注目したい。

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