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編集者の眼第32回

Googleのアルゴリズム変更でSEO業者に駆け込む前に

2011年09月22日 18時37分更新

文●中野克平/Web Professional編集部

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 「グーグルが検索結果を順位付けするルールを変更し、その煽りを食った中小企業がSEO会社に駆け込んでいる。」というダイヤモンドオンラインの記事を読んで驚いた。Googleがコンテンツファーム対策として導入したいわゆるパンダアップデートが日本語版Googleでも適用された結果、アクセス数が減って困った中小企業がSEO業者に駆け込んでいる、というのだ

 コンテンツファーム(content farm:コンテンツ工場)とは、Googleのようにアルゴリズムで検索結果の順位を決める検索エンジン対策として、もともとのSEOのようにコンテンツやHTMLの書き方を変えて最適化するのではなく、アルゴリズムの特性に合わせてサイトやコンテンツを大量に作り出す業者のことだ。一部メディアのように大量のライターを雇って記事を生産する、比較的まっとうな業者から、APIやコピー&ペーストでコンテンツを自動生成する業者まで、さまざまな種類がある。

 アフィリエイト報酬が比較的高額な「クレジットカード」などのキーワードでは、いろいろなブログの「クレジットカード」を含む段落を継ぎ足しただけのページや、「クレジットカード」「プラチナカード」などの関連語を使って文章を無意味に自動生成させたサイトが、いまでも検索結果の2ページ以降に表示されることがある。Googleのアルゴリズムはコンテンツファームに勝った、とはいえない状況なのだ。

 Googleがコンテンツファームを問題視するのは、ユーザーの問題を解決できないページは、検索結果に表示されるべきでない、というGoogleの価値観に基づいている。また、無意味なコンテンツではユーザーが怒って直帰する確率も高いだろうから、たとえGoogle AdSenseを貼っていても、Googleにとってのメリットは少ない。Webの利便性が維持され、Googleの検索エンジンが価値を持ち続けることが、Googleの生存につながる

 したがって、アクセス数が減って困った中小企業が駆け込む先はSEO業者ではない。記事の最後にある「グーグルが目指すコンテンツ価値の高い情報の掲載という方向性に合致した、本質的なSEO対策が望まれる。」という結論にも違和感がある。ユーザーの問題を解決するような情報は、SEO対策では作れない。週刊ダイヤモンドの編集会議でも交わされているはずの「どうしたら読者の役に立つ記事が作れるか」という出版社的発想だけがGoogleの目指す価値の高いコンテンツを作れるのではないか。

 という思いもあり、リスティング広告のコンサルティング会社である株式会社ルグランと「Digital Marketing College」というセミナーを共催している。第2回となる次回では私自身が講師として「デジタルマーケティングの効果を最大化するWebライティング~ストーリーを作ろう~」というテーマで話すことになった。まだ席は空いているそうなので、お時間があれば来ていただきたい。

第2回 Digital Marketing College
「デジタルマーケティングの効果を最大化するWebライティング
~ストーリーを作ろう~」

日時
10月5日(水)19:00〜20:30(受付開始18:30)
主催
ルグラン、アスキー・メディア​ワークス
会場
アスキー・メディアワークス 会議室(JR飯田橋駅より徒歩3分)
定員
60名
参加費
無料
対象
企業のWeb戦略室、Web事業担当者、Webマスター​、EC事業者、宣伝・マーケティング担当者

■プログラム

デジタルマーケティングの効果を最大化するWebライティング
~ストーリーを作ろう~
アスキー・メディアワークス Web Professional編集長 中野克平
なぜ、ライティングが重要なのか?ネット先進国アメリカの最新事情
ルグラン 代表取締役 泉 浩人氏
対談:雑誌ライティングとWebライティングの違いについて
泉 浩人氏、中野克平


※詳細・申込みは、ルグランのWebページから。

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