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NECが考える今必要なオフィスサーバーの姿 第3回

NECオフィスサーバーのコストパフォーマンスと消費電力を比べる

価格と省エネ効果を見ればサーバー買い換えは自明の理

2011年09月26日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 記事協力●NEC

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家電量販店でエアコンの宣伝を見ると、「数年前の機種に比べて圧倒的に省エネ」と書かれていることが多い。実はオフィスサーバーも、コストパフォーマンスや消費電力の点で最新機種は侮りがたい。NECの新オフィスサーバーも買い換えに値する実力を持っているだろうか?

 

今から3年前のオフィスサーバーを
最新機種に買い換えたらどれくらいお得?

 前回までの2回の記事で、現在のオフィスサーバーに必須となる要件を説明してきた。性能やコストはもちろんのこと、省スペースと省エネ、そして仮想化を前提としたスペックが重要であるという点が理解いただけただろうか? 

 

 そして、こうした要件に応えるため、水冷サーバーやスリム型、省電力型などこだわりの詰まったオフィスサーバーの開発を進めてきたのが、NECである。2011年6月には、中小企業に人気の高いタワー型を中心に、エントリ向けのオフィスサーバーを刷新。節電の機運高まる国内市場において、40℃の動作保証や徹底的な省エネ、そして仮想化対応を前提としたスペック強化など新しいオフィスサーバーの姿をユーザーに問いかけた。

 では、NECの最新サーバーは実際にどれだけお得なのか? 今回と次回の2回で検証していきたいと思う。今回の検証では、オフィス内にグループウェア、業務用のDBサーバー、ファイルサーバーの3台が設置されていると仮定。これら3台の物理サーバーをマイクロソフトの仮想化機構「Hyper-V」で仮想化し、NECの最新サーバー1台に置き換えた場合、コスト、省エネ、省スペース、そして性能という観点でどれだけ得かを調べてみる。

 

 テーマはずばり「今から3年間(2008年)に導入したオフィスサーバーを、最新モデルに買い換えたらどれだけお得なのか?」である。

 

3台から1台にすることで生まれる
圧倒的なコストパフォーマンス

 いくら省エネが優れていても、性能が優れていても、入手できる価格でなければ検討の遡上に上がらない。震災以降の経済状況を考えれば、IT導入においてコストをかけるためには、まずは安くて性能がよいという条件を満たす必要がある。そこで、まずは中小企業での製品でもっとも重要なコストパフォーマンスについて見ていこう。

 従来導入機種として検証で用いられた3台のオフィスサーバーは、2008年に発売されたタワー型の「Express5800/110Ge-S(水冷)」である。インテルXeonプロセッサー3065(2C/2.33GHz)、2GBのメモリ、2.5インチSAS HDDを3台搭載したスリム型サーバーで、3年前とはいえ水冷の導入や消費電力の削減を意識したモデルだ。こちらはOS(Windows Server 2003 R2)込みで1台あたりの標準価格が48万4000円。3台だと145万2000円になる。

 

従来導入機種と新サーバーのスペックとコスト

 一方、最新サーバーとしては2011年6月に発表されたばかりの「Express5800/GT110d」を用いた。こちらは最新のインテルXeonプロセッサー E3-1220(4C/3.10GHz)、8GBの物理メモリ、2.5インチSAS HDDを3台搭載したスタンダードサーバーだ。こちらは1台分のハードウェア価格に加え、サーバを仮想化するためのゲストOSを含めても、合計は84万9400円となる。

 両者を比較すると、最新のExpress5800/GT110dは従来のExpress5800/110Ge-S(水冷)に比べ、約4倍高速なCPUを搭載し、メモリが従来の4倍、ハードディスク容量も2倍となり、サーバー単体でみればスペックが大幅に向上していることがわかる。特にメモリの増量は仮想化環境での動作にきわめて大きな影響を与えるため、望ましいハードウェアの強化といえる。

 

 加えて、仮想化によるサーバー集約を行なうと、約42%も低価格になり、コストパフォーマンスが大幅に強化されることが一目瞭然だ。このようにコストパフォーマンスという観点では、新モデルは十分に買い換えるに値する実力を持っていることがわかる。

 

待機電力がない分
電力消費は小さくて済む

 次に、昨今大きなテーマとなっている省エネという観点で見ていこう。今年は地震直後の計画停電や電気の使用制限などがあったが、今後もこうした電力使用の制限は充分予想される。そのためIT機器の置き換えにおいては、そもそも電力消費の低い製品を導入する必要がある。

 

 まず従来機種のExpress5800/110Ge-Sは、1台あたり実測で約90~120Wの電力を消費する。待機時でも90Wは使うため、3台を合計すると、最低でも270Wの電力を消費することになるわけだ。

 

従来機種は3台合計で最低270Wは常時消費する

Express5800/GT110dの場合、待機時はきわめて低い電力消費

 一方、最新機種のExpress5800/GT110dを調べてみると、45~90Wしか消費しない。高効率電源などの省電力部材の採用に加え、マザーボード設計や冷却機構の改良など、待機時にぐっと消費電力を落とせる仕様が大きい。そもそもオフィスサーバーは、ファイルサーバーやグループウェアのように昼の就業時間に負荷がかかる用途で用いられることが多い。そのため、従業員のいない夜間はそのまま待機時間になるため、消費電力の削減は大きい。その点、最新サーバーは従来機種のExpress5800/110Ge-Sに比べて、1台あたりでは約1/2、仮想化した場合は約1/3の電力で済む。単に買い換えるだけで、エコになり、性能も上がるというのは大きいポイントだ。

 

従来機種と新サーバーの電力消費の違い

 加えて、最新機種のExpress5800/GT110dでは、動作保証温度が40℃にまで引き上げられている。そのため、オフィス内の空調温度を上げても、多少熱だまりとなるような環境に設置されても、きちんと動作することが保証されるわけだ。オフィスにおいては、IT機器と並んで空調の電力使用量も高い割合を占めるため、空調温度の設定変更で大きな節電効果が得られる。

 

 また、コストだけではなく、設置スペースの面でも、3台から1台になることの集約効果は大きい。従来機種のExpress5800/110Ge-Sを3台並べると 1079.7cm2が必要になるが、Express5800/GT110d単体に731.5cm2と32.3%のスペース減になる。ちなみに最新機種も従来機種と同じスリムサーバー「Express5800/GT110d-S」単体にすると、Express5800/GT110dに比べて約半分の359.5cm2にまで削減できる。

検証した従来導入機種と新サーバーの設置面積の違い

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 このようにコストパフォーマンスや省エネ、省スペースなどの観点で、従来のサーバーと最新サーバーを比べると、その差は歴然としていることがわかった。3年前より4倍高速で、1/3という電力消費で済むサーバーを3年前と同じ価格で導入できるというわけだ。最終回の次回は、物理サーバー3台の仮想化によって速度が落ちないか、仮想化は果たして現実的かどうかを実測してみることにする。

 

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