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【所長コラム】「0(ゼロ)グラム」へようこそ 第69回

(続)スティーブ・ジョブズはどこにでもいる

2011年09月16日 11時00分更新

文● 遠藤諭/アスキー総合研究所

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Steven Jobs


 前回のコラムに引き続き。

 スティーブ・ジョブズのことで、私がどうしても連想してしまうのは、映画『地上(ここ)より何処(どこ)かで』(1999年、アメリカ)である。原作のモナ・シンプソンは、ジョブズの2歳少し下の実妹で、彼女の自伝的小説がこの映画のもとになっている。

 ストーリーは、娘を女優にするために、田舎からビバリー・ヒルズに引っ越してきた親子を軸に進んでいく。自分の思いどおりにならないと気がすまない母親と、女優になろうとはカケラも思っていない娘。ただし、養子となったジョブズにあたる人物は出てこない。

 母親はどこまでも楽観的で、強引で、癇癪持ちだが、気が利いているものが好きで、お金もないのにみんなにクリスマスプレゼントをあげてしまったりもする。あるとき、アパートの電気を止められてしまうと、彼女は、「こういうときはおじいちゃんが言っていたとおりに」などと言い出す。そして、フランス料理店に出かけるのだ(お金持ちと出会うためか、元気を出すためか)。

 どこか『ニューヨーカー短編集』(早川書房)にでも出てきそうな、誰もが成り上がりだった時代のアメリカ的メンタリティを感じさせるものがある。

 このお話で描かれているのは、たぶん、ジョブズがアップルの共同創業者であるスティーブ・ウォズニアックとカリフォルニアで出会った頃のことだろう。親子のストーリーを見ていると、勝手な話だが、ジョブズがほんの少しだけ身近な存在のように思えてくる(自伝的とはいえ、フィクションとして書かれたものではあるが)。

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