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アジア初のプレスイベントで中古IT機器の不安を払拭

新品よりいい?NHRの中古機器が15年使える理由

2011年09月13日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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ネットワーク機器のリセーラーであるNetwork Hardware Resale(以下、NHR)は、シンガポールでアジア初のプレスカンファレンスを開催した。「中古品でも悪くない」ではなく、「新品より優れている」といい切る同社の主張を見ていこう。

 

75%にのぼる運用コストを削減せよ

 NHRはネットワーク機器の中古品を販売する事業者で、シスコ製品の中古品販売では世界最大の規模を誇る。扱う製品は中古品に加え、未使用の新古品、修理の後に再出荷するリファブリッシュ品などを取り扱っている。今回のプレスカンファレンスは、まだまだ知名度の高くない同社のプレゼンスを高めるとともに、ネガティブなイメージを持つ「中古品」への理解を高める必要性があるようだ。

 

 プレスカンファレンスの冒頭、調査会社IDCのリサーチ・ディレクターであるマット・ヒーリー氏は、75%が運用コストで、新規導入に利用できる25%に過ぎない点を指摘した。この75%の運用コストを大きく減らし、新しい技術への投資へ振り分けることが重要だという。

 

2008年のIDCの調査ではどの分野でも中古品の導入経験は70%を超える

 同氏が披露したIDCの調査で意外だったのは、中古IT機器の浸透率が意外と高いという点だ。中古IT機器を購入したかという調査では、サーバー、PC、ストレージなどの分野で実に70%近くのユーザーが中古製品を導入した経験を持っているという。中古品を使っているのは、やはりあまりオープンにしたくないという考えるユーザーというのはグローバルで共通だが、特にリーマンショック以降の中古IT機器の導入率は高く、コスト削減に有効という認識が育っているようだ。

 

 続いてNHRのCEOであるマイク・シェルドン氏がNHRのコストパフォーマンスや出荷スピード、サポートなどの充実ぶりをアピールするビデオを上映したのち、NHRの会社概要について説明した。

 

NHRのCEOであるマイク・シェルドン氏

 NHRはすでに25年の歴史を持つ老舗で、1990年代の後半にネットワーク機器の中古品販売を専業で行なう会社として生まれ代わり、現在に至る。最大95%引きという圧倒的な低価格で、シスコやジュニパー、エクストリームなどのスイッチやルーター、オプションなどを販売している。

 

NHRの会社概要

 顧客は1万社を超えており、現在は本拠地のある米国だけではなく、ヨーロッパやアジア・パシフィック地域(APAC)にも進出。APACのシンガポールオフィスには50名の従業員がおり、11言語で受注やサポートを行なっている。業績も好調で、2007年に比べて300%という高い伸びを実現しているという。なお、アジアの市場としては、シンガポール、韓国、香港、タイ、オーストラリア、ニュージーランド、インド、そして日本の8カ国にフォーカスを絞ってビジネスを展開しており、シンガポールオフィスの倉庫から3日以内で出荷が行なえるという。

 

NHRの中古品は新品より優れている

 中古品というと「安かろう悪かろう」というイメージがつきまとう。そのため、NHRは低価格という点だけではなく、故障率の低い製品の提供や充実したサポートなどに力を注いでいる。逆に、こうした取り組みがなければ、中古品の持つネガティブイメージを払拭し、急成長することは難しかっただろう。同社のユニークなのは、中古品でありながら、新品よりも優れた価値を追求している点だ。

 

 まず同氏は、製品の本来持っている寿命の長さを説明する。そもそも市販されている製品のMTBFを調べると、OEM製品はきわめて長い寿命を持っている。同社が例に出したCatalyst 3750の場合、各機種のMTBFは総じて18~33年になるという。しかし、ご存じのとおり、スイッチであれば通常は6~7年くらいで更新を強いられる。つまり、本来もっと長く使えるものを、保守切れや経年劣化という理由で打ち切っているというのが同社の主張だ。

 

Catalyst 3750のMTBFの例。OEM製品は本来きわめて長い寿命を持つ

3750-24TSであれば37年持つハードウェアを6年か7年で使い終わってしまうという

 これに対して、徹底的な検査を行なった中古ハードウェアを販売・サポートしようというのがNHRのアプローチ。つまり特に延命措置を施さなくても、もともとのMTBFを考えれば15年はもつというのが同社の主張だ。NHRの提供する中古ネットワーク機器は、平均2%というOEMベンダーの故障率に比べて大幅に低い0.5%の故障率を誇るという。また、シスコの有資格者を複数抱えており、長期間サポートや検証を行なう体制が整っている。

 

 当然ながら、ネットワーク機器はハードウェアのみではなく、ソフトウェアも重要だ。シスコの機器であれば、その本質的な価値は実績の高いCisco IOSにあるといってもよいだろう。これに対して、NHRは社名からわかるとおり、完全にハードウェアの販売に特化している。安定したルーティング、スイッチングが必要で、最新の機能を用いなくてもよいという顧客は多い。こうしたユーザーがNHRのハードウェアを購入し、自己責任で利用するというのが、同社の考えた利用イメージだ。頻繁にソフトウェアのアップデートがあるセキュリティアプライアンスは、むしろ新品の購入を勧めているという。

 

 次回はこうしたNHRのビジネスを支えるシンガポールオフィスを見てみよう。

 

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