通信端末を実用的に捉えているタイのユーザー
フォーチュンタウンやITスクウェアでは、ノートPC以上に携帯電話、特にスマートフォンの人気が急上昇中だ。携帯電話フロアとPCフロアでは人口密度が明らかに違うことが感じられる。統計で見ても、携帯電話の普及はPCの普及よりもずっと速いスピードで進んでいる。
前ページでは何度も「タイのIT普及の流れが中国のそれにそっくりだ」ということを書いたが、スマートフォンについてはちょっと事情が違う。中国人はPCなりスマートフォンなりが登場すると、メンツを満たすためにとりあえず見映えのいいものを購入し、購入後はネットカフェの利用実態のように、とにかくゲームをインストールしたり、音楽動画をダウンロードしたりと、エンタメマシンとして使う傾向がある。
メンツを満たすiPhoneは大人気で「iPhone以外はスマホにあらず」といった雰囲気すらある。
タイのユーザーも、特にバンコクにおいてはメンツが絡んでくるが、しかし中国よりも実用主義だ。iPhoneがナンバー1人気ではあるが、タイで今最も人気なサイトはFacebookであるため、BrackBerryもなかなかの人気。
バスよりずっと高価な移動手段の地下鉄や高架鉄道(BTS)に乗ると、スマートフォンやタブレットでFacebookを利用する人に少なからず出会うだろう。
中国よりもQWERTYキーボード搭載の携帯電話(スマートフォン含む)で、ショートメッセージを送ることがメジャーになっていることもあり、将来BrackBerryなどのQWERTYキーボード搭載のスマートフォンのシェアは高まり、FacebookなどのWebサービスをモバイルで使いこなす人が結構増えるのではないかと思われる。
タイでスマートフォンの人気が急上昇中と書いたが、東南アジア全体で売れているようだ。GFK Asiaによれば、東南アジアにおいて(メンツを満たしきれない)Androidスマートフォンの販売台数が32万7000台(2010年Q4)から57万9500台(2011年Q1)へと急激に伸びてきているという。
またニールセンのアンケートによれば、東南アジア各国で多くの人々が「1年以内に多分スマートフォンを買うだろう」と回答している。
来年末あたりにはどれだけ世界でスマートフォンユーザーがいるだろうか。そしてインターネットユーザーがどれだけ増えるのだろうか。今から楽しみだ。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。最新著作は「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)
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