ドイツ・ベルリンで開催中の「IFA 2011」は、薄型テレビやモバイルデバイス、白物家電までを網羅する巨大ショーであり、年末から来年にかけてのトレンドが最初に現れる機会だ。デジタルAV関連を中心として、会場の大きな流れと目玉となるトピックを取り上げて解説していきたい。
東芝は4K2Kパネルによる裸眼3Dテレビを発表
AV機器関連で目玉となる製品が、東芝が欧州向けに発表した「Glasses-less 3D REGZA」の「ZL2」シリーズだ。昨年から日本でも試作機が展示され、CESでも展示されていたので存在を知っている人も多いかと思うが、欧州向けに年内、日本向けにも2011年度内発売の予定となった。
画面前面にレンチキュラーレンズと呼ばれるシートを貼り付け、9視差に対して画像を表示することで立体視を可能とするもの。欧州での価格は8000ユーロを予定している。日本では仕様が変更されるとのことで、全番組録画などが盛り込まれると考えてよさそうだ。
ただし、REGZAに追随して裸眼3Dテレビを作るメーカーは見られなかった(デモ展示はPHILIPSSも実施)。裸眼3D関連のテクノロジー自体は、東芝「Qosmio」と、ソニー「VAIO」用の後付けオプションとして製品が展示されていたので、PCユーザーには身近なものになるかもしれない。
Glasses-less 3D REGZAは、裸眼3Dよりも4K2K液晶パネルの搭載の方が重要、という声も大きい。4K2Kパネルは3840×2160ドット(QFHD)と、フルHDの実に4倍。純粋に考えても圧倒的な画質向上に繋がるのは間違いない。
ZL2は「CEVO ENGINE」による超解像技術でフルHDをアップコンバートできるので、すぐに高画質化の恩恵を受けられる。
なお、会場全体の流れとしては4K2Kについても追従する動きはなく、ほかの展示では4K2K対応ビデオカメラ(発売未定)がある程度で、若干の先走り感はある。ただし、年末に向けて日本でCEATECがあるだけに、国内で初披露される製品もあるかもしれない。
3Dへのムーブメントは継続
「3D」全体への態度はというと、パナソニックがロンドン五輪の3D中継を開始していたりと継続してデモ展示が行なわれている。3Dテクノロジー自体は薄型テレビの標準機能として定着しているため、機能デモは少ないが、様々な関連製品が会場を盛り上げている。
その1つであるソニーの3Dヘッドマウントディスプレー「HMZ-T1」は会場でも人気を集めていた。有機ELのHDパネル搭載で600ユーロという価格により、パーソナル3Dの注目度は高い。
フルHD 3Dプロジェクターも各社新モデルを展開。パナソニック、エプソン、三菱、ソニーが展示し、明るさがネックになっていた3Dプロジェクターも第二世代に入っている。
製品数として最も盛り上がっていたのはビデオカメラだ。業務用、コンシューマ用ともども3Dカメラは各社何かしらをラインナップしているような状態だった。
もう1つ、例外的に3Dを大いに盛り上げているメーカーとして韓国のLG電子を挙げたい。「CINEMA 3D」として偏光タイプの3Dをアピールしており、参加者全員に3Dメガネを配り、何とブース丸ごと3D対応。ほかにもPC用液晶まで3Dという気配の入りようだ。