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2050年に実用化は間に合うのか!?

目指せ宇宙! 宇宙エレベーター技術競技会開催!

2011年08月29日 12時00分更新

文● 秋山文野

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年々レベルも上昇距離も上がる
宇宙エレベーター技術競技会

 今年も宇宙エレベーター技術のシーズンがやってきた。見渡すかぎり何もない富士の裾野、静岡県富士宮市 大沢扇状地という競技場で、8月4日から8月8日までの5日間、第3回宇宙エレベーター技術競技会「JSETEC2011」が開催された。

 これは、2007年にアメリカのスペースワード財団が開始した、宇宙エレベーターの昇降機を模した実験機の性能をコンテスト形式で競う大会。アメリカでは2009年で一旦競技会は終了し、ヨーロッパではこの8月から競技会が始まる。宇宙エレベーターを研究する人にとっては、日本のJSETECが現在継続している最も大きな規模の大会になっている。

 今年度の競技のポイントは、高さ600m昇降へのチャレンジ。一昨年の150mが昨年300mになった段階で参加チームが大いに苦戦し、昇降できないクライマー(昇降機)が続出したことを考えると、その倍の600mでは一体どうなってしまうのか? 今年度の参加者は、大学の工学系研究室を始め16チームとなった。

 宇宙エレベーターのケーブルに見立てたテザー(ひも)を、幾つかのローラーで挟み、昇降するというクライマーの基本は今年も同じ。悪影響を及ぼすのは、テザーに伝わる振動、熱、刻々と変化するテザーの張力と、宇宙エレベーターを取り巻く自然条件そのものだ。

 そして今年は、昨年までと同じ幅50mmのベルト状テザーに加え、米国競技会と同じロープ状のテザーも走路に加わり、どちら向けのクライマーで参戦しても良いということになった。薄いがローラーとの接触面積が大きいベルトか、振動や風の影響がやや少ない点では有利なロープか。参加チームの選択も注目点となった。

 ベルトテザーは、幅50mmのアラミド繊維製を使用。繊維が強靭、クライマーのローラーに巻きつけたウレタンゴムなどの滑り止めをゴリゴリ削りとっていってしまう。また、昨年より薄くリボン状に近くなったため、まるでビニール紐の様によじれてローラーに挟まったりして噛み込みやすいという、走路そのものが障害のような過酷な競技となった。

 ベルトテザー競技で初の安定した走行を行なったのは、神奈川大学工学部機械工学科江上研Bチーム。325mまで上がったバルーンに対し、プログラムで140m設定の走行を実現。正しく制御し、プログラムされた降下モードを実現した。

 昨年までのラジコン式は、600m昇降の場合は電波が届かないため通用しない。クライマーは自律制御が可能なように設計するべき、という大会技術委員会の方針を受け、各チームとも昇降の目標距離や帰投のきっかけなどをプログラムでコントロールする機体を制作している。その第1弾として正しく動作したのがこのチームだった。

今年度強豪校のひとつ、神奈川大学江上研チーム。ベルト、ロープ合わせて4台のクライマーで参加し、各機成績を残した。これは140mの走行を実現したクライマーB

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