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子供を「ネットいじめ」から守るために

2011年08月12日 16時30分更新

文● McAfee

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 現在、日本で深刻な問題となりつつあるネットいじめは、Webサイトやオンライン、あるいはメール、携帯電話などの場で行われるいじめです。個人を傷つける誹謗中傷がネット上に記録されてしまうため、多くの被害者は長い間、傷が癒えずに苦しむことになります。特に、いわゆる「学校裏サイト」と呼ばれる、学生が管理するブログや掲示板は、ネットいじめの温床になっていると言われています。その一方で、多くの親がネットいじめを経験したことがないため、その苦痛をリアルに理解することが難しく、具体的な対策を打てていないのが実状です。今回は、このような「新たな」形態の精神的虐待から自分の子供を守ろうとしている親を支援するために、ネットいじめの主な特徴と親が気付いてあげるべきネットいじめの「主な兆候」について、紹介します。

  そもそも「ネットいじめ」とは、どのようないじめのことを指すのでしょうか。様々な定義がありますが、ネットいじめとは、「PCや携帯電話などの電子デバイスを使用して、相手に対し故意に危害を加える」ことと言えるでしょう。つまり、子供がインターネットのブログや掲示板などを使用して、他の子供を脅かしたり、物笑いの種にしたり、誹謗したり、侮辱したりすれば、それはネットいじめと言えます。この兆候は世界で広がっていますが、日本の場合、多くの掲示板サイトは記録を長期間保存し続けるため、実名をあげての誹謗中傷などのログがいつまでも残り続けてしまうため、被害に遭った子供は、心に一生の傷を残すことになります。また、スマートフォンやタブレットといった最新ガジェットの普及などから、その増加傾向はより加速している状況にあります。なお、大人がこのような誹謗中傷活動に関与すると、「ネットいじめ」ではなく「サイバーハラスメント」や「サイバーストーキング」となります。

 ネットいじめの主な特徴は、以下のとおりです。

ネットいじめの主な特徴

  1. ネットいじめは、被害者も加害者も未成年である
  2. ネットいじめは、電話、ソーシャルメディア、メール、ブログ、SMS、インスタントメッセージなどを介して行われる
  3. 多くのネットいじめは、繰り返し行われる

 また、多くのネットいじめは、以下の3つの原因から引き起こされます。

ネットいじめの主な原因

書き言葉の持つ力に対する無知
10代や思春期前の子供の大半は、言葉や行動が被害者に及ぼす影響を余り自覚していません。多くの子供たちは、このような行動を単なる「いたずら心」で始めます。ふざけて友達をからかう気持ちで始めた行為が雪だるま式に膨れ上がり、最終的には子供たちがコントロールできる力を超えた「ネットいじめ」へと発展します。
匿名性と万能感
日本のソーシャルメディアの大きな特徴として、「匿名性」があげられます。ソーシャルメディアを使用することで、多くの子供が自分の身元を隠したまま、簡単に相手を攻撃することができます。また匿名性という要素で加害することで、権力意識やコントロール感が生まれ、攻撃がエスカレートしていきます。
嫉妬、恨み、仕返し
いじめの根本的な原因は、大きく変わっていません。物理的ないじめと同様に、嫉妬、恨み、仕返しは、ネットいじめの主な原因です。また、家庭で嘲りや虐待にまみれている子供や、攻撃的な不良グループに属している子供が、このような行動をとる状況も従来のいじめと同様です。

 このようなネットいじめから子供を守るためには、子どもがいじめられている徴候を早期発見することが重要です。以下は、子供がネットいじめの被害にあっている可能性を示唆する主な兆候です。

ネットいじめの兆候

  1. 電話に出ることやPCをつけることを、突然嫌がりだす
  2. ソーシャルメディアをより頻繁にチェックしている一方で、親が近づくと画面を切り替え、画面を隠そうとする
  3. 子供が突然、非社交的になり、友達や外出、パーティを避けるようになる
  4. 夜中にあるいはお風呂場で、隠れて泣いている
  5. 学校の成績が下がる
  6. 自己否定的な発言が多くなり、子供の自己評価が低くなる
  7. 憂鬱そうな様子を示したり、TVやゲームなど、以前は楽しんでいたことに集中できなかったりする

 このような徴候のいくつかは、他の要素と相互に関連している可能性があることを念頭において、子供を観察してください。子供を健全に育てるためには、親があらゆる保護を与え、ケアする必要があることを忘れないでください。

 では、こうしたいじめは、若者の心にどのような影響を与えるでしょうか。何より、皆さんは親として、こうしたネットいじめを阻止し、インターネット上で子どもを守るために何ができるでしょうか。次に、ネットいじめが子どもに与える影響をみてみます。

 ネットいじめに遭った子どもは、悪意のある投稿や嫌がらせのメール、恐ろしいメッセージに直面します。ネットいじめの狙いは、ターゲットである子どもを侮辱し、精神的に参らせ、社会から仲間外れにすることです。これらの影響は深刻であり、心の傷として長く残ります。被害者はひとりぼっちになり、うつ状態になって、自殺を考え始めることさえあり得ます。ネットいじめの主な影響は、以下のとおりです。

ネットいじめの主な影響

  • 引きこもる:被害者は人付き合いを避け、ひとりぼっちになり、常におびえて不安な様子を見せます。
  • 罪悪感:被害者は、自分が罰を与えられるようなことをしたと感じ、罪の意識を持ちます。
  • 屈辱感:被害者は、仮想世界だけでなく、実社会でも屈辱感を感じるようになります。
  • 怒り:度重なるいじめは、家庭での怒りや攻撃的行動を引き起こします。被害者が、面識のないいじめっ子に不満を抱いているためです。
  • 緊張:普通の生活が崩壊し、被害者は重度のストレスを受けます。
  • 気分の落ち込み:被害者はうつ状態になり、神経衰弱に苦しみます。

  これらの徴候が自分の子どもに見られるたら、親は何をすべきでしょうか。最も大切なことは、おびえたり落ち込んだりしている子どもの味方になり、愛情をたっぷり示すことです。子どもの信頼を獲得し、自分が知り得る問題の全てを把握するよう試みてください。もし学校の友だちにいじめられているとの見当がつくのであれば、できる限り学校当局を巻き込むのが良いでしょう。

新たにネットいじめの被害者を生まないために

 ネットいじめから子どもを守ると同時に、今後、新たなネットいじめの被害者を生まないようにするために、以下のことを子どもに教えてください。

  • 現実で知り合いではない人と友だちになったり、チャットしたりしない
  • 新たな嫌がらせの材料を与えないよう、オンラインでも礼儀とプライバシーを守る
  • いじめに絶対に反応しない
  • いじめられた場合は、そのページのスクリーンショットを撮り記録を残す
  • 友だちリストからいじめっ子を削除し、インターネット上の迷惑行為を訴える。いじめが深刻な場合は、親や先生に相談する

 万が一、自分の子どもがネットいじめの被害者になったら、IDとパスワードを変更するか、しばらくの間、子どものオンライン活動をすべてやめさせてください。また、子どもを決して長期間に渡り1人にしておかないでください。ネットいじめの被害に遭った子どもには、誰かが常にそばにいて、慰め、支えになる必要があるからです。

※この記事は、McAfeeの運営しているブログから、注目のエントリーを編集部でピックアップし、転載しているものです。

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