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荻窪圭の“這いつくばって猫に近づけ” 第211回

熱海猫撮り紀行その1――漁港で刺身を待つ猫

2011年08月05日 12時00分更新

文● 荻窪圭/猫写真家

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超新鮮なお刺身を……贅沢な夕食なんて
つゆほども思ってなさそう

桟橋に出てきた2匹。近づいても逃げないので、レンズを25mmF1.4につけかえて撮影。目が真剣(2011年7月 パナソニック DMC-G3)

桟橋に出てきた2匹。近づいても逃げないので、レンズを25mmF1.4につけかえて撮影。目が真剣(2011年7月 パナソニック DMC-G3)

 なぜ猫が逃げ場のない船の上でくつろいでいるかというと、朝ご飯をもらうためである。

 漁師さんが漁から帰ってくると、余った魚をその場でさばいて猫に分けてあげているのだ。猫たちはそれを期待して桟橋で待っているのである。

 朝ご飯の時間が近づくと船から桟橋へ降りてきて、期待に満ちた目でじーーっと漁師さんを見ている。

 「早くくれないかな、わくわく」と顔に書いてあるくらい。

 6時40分。いよいよ片付けを終えた漁師さんが船から降りてきて、桟橋で余った魚をさばきはじめたのだった。

桟橋で魚をさばく漁師さんとそれをじーっと待ってる猫。今にも飛びつきそう(2011年7月 パナソニック DMC-G3)

桟橋で魚をさばく漁師さんとそれをじーっと待ってる猫。今にも飛びつきそう(2011年7月 パナソニック DMC-G3)

 さすがプロって感じでざくざくと包丁を入れ始めると、猫たちはわくわくそわそわし、特にこいつはギリギリまで近づいてじーーっと切り身ができるのを待ってる。

切り身をもらったらすかさず咥えて、落ち着いて食べられる場所へ持って行くのだ(2011年7月 パナソニック DMC-G3)

切り身をもらったらすかさず咥えて、落ち着いて食べられる場所へ持って行くのだ(2011年7月 パナソニック DMC-G3)

 まだかな、まだかな。もらえた。ぱくっ。くわえたら一目散にその場を離れ、じっくりかぶりつくのだった。

 ああ、ついさっき捕ってきたばかりの超新鮮な魚をお刺身で食べられるなんて、うらやましすぎ。当人は(いや当猫は)贅沢しているなんてつゆほども思ってないだろうな、というところがまたニクい。

お刺身は顔を横にして、横から食べるところが猫。舌がちょっとはみ出ているとこがおかしい。それにしても、いい身分すぎ(2011年7月 パナソニック DMC-G3)

お刺身は顔を横にして、横から食べるところが猫。舌がちょっとはみ出ているとこがおかしい。それにしても、いい身分すぎ(2011年7月 パナソニック DMC-G3)

 そういえば、うちの「大五郎」も刺身をあげると、こうして顔を倒して、横から食べるんだよね。あれってなぜなんだろう。構造上の問題かな。大物は横からの方が食べやすいとか。

もう1匹の猫は普通に正面からぱくっとくいついてた(2011年7月 パナソニック DMC-G3)

もう1匹の猫は普通に正面からぱくっとくいついてた(2011年7月 パナソニック DMC-G3)

 でももう1匹の猫は普通に正面からかぶりついて食べている。その違いはどこからくるのか不思議だったりする。

 ちなみに、うちの「かふか」は刺身を食べるのが下手。うまく食べられなくて口からぽろぽろとこぼし、大五郎に横からさらわれたりしている。キャットフードしか食べずに育っていると、大きな切り身の食べ方を身につけられないのかもしれない。

 かくして猫は1匹1匹違っていて面白いのだ。来週も夏休み特別企画ってことで、熱海猫撮影の話です。


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筆者紹介─荻窪圭


著者近影 荻窪圭

老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメのレビューをしている。趣味はネコと自転車で、天気がいい日は自転車で都内を走りながらネコを見つけては撮影する日々。最近の単行本は『デジカメ撮影のネタ帳 シーン別ベストショットの撮り方』(MdN)、『デジカメ撮影の知恵』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫。2010年4月27日発売)。Twitterアカウントは@ogikubokei。ときどき猫動画をアップするYouTubeのアカウントもogikubokei


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