ニコニコ動画らしい機能も満載
狙いとなるインターネットライブのため、ステージは最適化されている。
モーションキャプチャーとAR(拡張現実)用のカメラが設置され、CGがステージに立っている人の動きに合わせて共演しているような映像をリアルタイムで合成できる。記者会見のステージでは、ボーカロイドの美少女キャラクター「GUMI」が、ギタリストやダンサーと一緒にステージで踊り、手を振り、4枚の壁面を左から右へ飛びまわっていた。
ニコニコ動画らしく“機能”も多い。流れるコメントを蛍光色にする「サイリウムコメント」機能、ネットライブを見ているユーザーのプロフィール画像を会場にずらりと並べる「ネット観客」機能、デジタル画像として“花束”を贈れる「デジタル花」機能などがある(花はなぜか日比谷花壇から注文するそうだ)。
ドワンゴ取締役の夏野剛氏はステージに立ち、「黒字の見通し立ってませんが、もういいです」と興奮気味に話した。「世界で初めてだと思いました。こんなのやっちゃっていいのかなというくらい。ぼくはお金にうるさい人間だけど、これならいいやって思える出来になった」と話し、自身でもCGのドラゴンとライトセーバーで戦うARのデモを実演した。
AKB48、東方神起、ぽこた、Gero、蛇足――
実際にこれからステージに立つのは、東方神起やAKB48、GIRL NEXT DOORといったアイドルミュージシャン、陣内智則や千原ジュニアなどのお笑い芸人、映画「コクリコ坂から」主題歌を歌う手嶌葵など。そして、ニコニコ動画で人気のあるユーザーたちだ。
注目はやはり、ニコニコ動画の「ぽこた」「Gero」「蛇足」といったイケメン“歌い手”。若い女性に人気で、毎回のコンサートには長蛇の列ができている。ちょっとしたジャニーズ状態だ。規模こそまだ小さいが、ネットを通じて彼らの成長を見守っているような身近さが魅力になっている。ニコファーレは彼らが登場するステージとしても機能することになる。
だが、この“小さなバブル”に、ユーザーたちはなかなか手厳しい。ニコファーレの公式PVには「ニコ動が遠のいていく」「そんなことやらずに鯖(サーバー)強化しろや」といったコメントが集まっている。とはいえ記者会見の会場に流れたコメントでは「期待」「いきたああああい」と好意的な声も寄せられ、賛否両論どちらも熱を帯びている状態だ。
現在、ニコニコ動画のユーザー数(ID登録者数)は2253万人、うちプレミアム会員は132万人。そのほとんどが10~20代の若者だ。トランスやパラパラ、ユーロビートなど、90年代に社会現象となるブームを育てたのは、かつてのディスコやクラブで遊んだ若者だった。ニコファーレはインターネットと社会をつなぎ、新しいブームを作れるのだろうか。