だが「モバイルキーボードドック」を付ける前提だと、Transformerの印象は一変する。キーボードを「付ける」というと「脆弱ではないか?」と思われそうだが、むしろ実際は逆だ。多くのネットブックや低価格ノートパソコンに比べてもきわめて頑丈で、価格以上にしっかりした製品だと感じる。タイプ感も非常に良質だ。この種の機器に詳しくない人に渡せば、「そこそこ良い値段で売られているモバイルノート」だと思うのではないだろうか。
分離は中央にある「ロック」をずらして行なう構造で、ディスプレー部をつかんだ程度では外れることはない。ヒンジ部でつながる構造のためか、ディスプレー部はあまり奥まで倒れない。もう15度ほど奥に倒れてくれると快適だと感じるのだが、このあたりは好みの範囲かもしれない。
タイプ感良好
あきれるほどのバッテリー動作時間
「モバイルキーボードドック」という名称になってはいるが、実際のところこのパーツは、「Transformerの欠くことのできない一部分」という印象だ。
例えば、USBコネクターやSDカード(microではなくフルサイズ)スロットは、モバイルキーボードドック側にある。電源兼用のUSBコネクターは両方に、miniHDMIとmicroSDカードスロットはタブレット側にある。要は、タブレット単体で必要な端子はタブレットに、ノートパソコン的な用途で必要になるものはモバイルキーボードドック側に、という発想である。
ご存じのように、Androidとパソコンでは、USBやSDメモリーカードを介したストレージデバイスの扱いが異なる。多くのAndroidデバイスに搭載されたmicroSDカードスロットは、事実上「本体の動作に必要なストレージデバイスとしてのフラッシュメモリー」を供給するためのものという扱いで、パソコン的なUSB外部ストレージとは異なる。だがTransformerで、特にモバイルキーボードドック側の端子類を利用した場合には、パソコンと同じように「外部ストレージ」としてシンプルに使える。
Transformerは、モバイルキーボードドックをセットした際には「できる限りストレスなく、パソコンでできていたことをそのままできるように」というコンセプトで設計された製品、といえるだろう。タッチパネルを搭載するが、キーボード側にきちんとタッチパッドを用意しているのも、キーの配列が一般的なパソコンと変わりないものになっているのもそのためだろう。
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