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大河原克行が斬る「日本のIT業界」 第23回

この夏の節電事情 ~ 大企業から個人ができること

2011年07月06日 09時00分更新

文● 大河原克行

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節電ツールを提供するマイクロソフト

 一方、IT機器の節電も重要な取り組みのひとつだ。

新製品では性能向上に加え、省電力化も図られている

 資源エネルギー庁の推計によると、平均的なオフィスにおける用途別電力消費比率では、空調が全体の48%と最も多く、次いで照明の24%。3番目にOA機器が入り、16%を占めているという。

 また、日本マイクロソフトの試算によると、家庭におけるPCの消費電力は全体の約4%とわずかなものだが、これは一日3時間の使用を想定したものであり、使用時間の多いユーザーにおいては、消費電力の比率はさらに高まることになる。

 さらに、日本マイクロソフトによると、現在、日本国内では約7230万台のPCが利用されており、そのうち東京電力管内で使用されているPCは、約3分の1の約2455万台に達するという。東京電力管内だけで試算すれば、通常使用状態では120万kWの電力が消費されている計算になるという。

 日本マイクロソフトでは、ディスプレイの輝度を落とすなど、自動的に節電が可能になる「Windows PC自動節電プログラム」を無償で配布しており、これをインストールすれば、同管内だけで約35万kWの削減が可能になるという。一日約35万kWの節電効果は、40W電球に換算すると、2475万時間分に達する規模だという。1台あたりの削減量は少ないが、積もれば大きな削減量になるというわけだ。

 さらに、1台あたりの機種別平均消費電力は、デスクトップPCは約100w、ノートPCが約30wとなっており、ノートPCの方が消費電力が少ない。ノートPCを活用するだけで節電が可能になる。


最新機種へのリプレースも節電対策?

 しかも、最新機種の節電効果は大きい。例えば、NECの2011年夏モデルは、Windows XPの最終モデルが発売された5年前の製品と比べて、60%も消費電力が低いという結果が出ている。つまり、Windows XP搭載PCから、Windows 7搭載PCに買い換えるだけで、大幅な節電が可能になるということだ。また、最新機種には自動的に省エネ設定が可能になるECOモードを採用している製品も多く、これによってさらなる節電が図れる。

 さらに、PCサーバーの平均消費電力はが150W、ページプリンタは1000W、コピー機が1000W、複合機は2000Wと言われており、プリンタやコピー機、複合機の節電も重要だといえる。土日などの休日で長時間利用しない場合には、メインスイッチをオフにするのがいいという。

 PCの利用においては、節電利用するためのいくつかのノウハウがある。

 例えば、最も効果的なので、ディスプレーの輝度を下げることだ。ディスプレーの輝度を落とすだけで約10Wの節電可能になるという調査結果が出ているほか、ディスプレイの輝度を40%に落とすとだけで、約23%の節電が可能になるとの試算もある。Windows Vista搭載のデスクトップPCの場合、この設定変更だけで、40W電球で約47.25時間分の節電ができるという。

 また、スクリーンセーバーの設定を解除したり、背景が黒い部分が多いものに変えたりといったことでも節電が可能であるほか、「スリープ」モードや「休止」モードをこまめに使用することでも節電が可能だ。

 例えば、通常使用時には50~60Wを消費電力のPCでも、「スリープ」や「休止」時には約1~2Wで済むからだ。昼食時間や会議などで離席する際にスリープモードを多用するだけで、効果的に節電できるという。

 ただ、完全に電源をオフにする「シャットダウン」の方が、節電には効果があると思っている読者も多いだろうが、実は90分以内に再度利用するのであれば、「スリープ」や「休止」の方が節電になる。

 PCで最も電力を消費するのは、シャットダウンや起動時。そのため、短い時間にシャットダウンと起動を繰り返すと、逆に電力を消費してしまうのだという。その点で、短時間の離籍などの際に最も適しているのは「スリープ」ということになる。

 節電は細かい積み重ねが大切。東日本地域の大手企業の15%の節電義務化だけに頼らず、家庭や中小企業でもこまめな積み重ねによる節電に取り組む努力をしたい。

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