業務用ドキュメントスキャナーで爆速取り込み
S1500は、300dpiでA4サイズの原稿を取り込む場合、毎分20枚、両面なら40面のスキャンが可能だ。これは、同価格帯のライバル機種よりも高速で、作業時間が短くて済む。しかし、毎週毎週何千枚もスキャンしていると、もっと速く取り込みたくなってくる。
そこで、業務用の「fi-6140」を取り寄せてみた。A4カラー対応のドキュメントスキャナーで、実売価格は17万8000円。読み取り性能はA4カラーの300dpiで毎分40枚80面と、S1500の2倍高速だ。
通常のドキュメントスキャナと同様、ドライバや付属ソフトをインストールしてからUSBケーブルで繋ぎ、電源オンですぐに利用できる。早速、週刊アスキーを読み込んでみる。最初の数枚が強烈なスピードで読み込まれて、笑ってしまった。しかし、すぐに失速。やっと終了してPDFを開いてみたら、片面しか取り込まれていなかった。そこで、「ScanAll PRO」の設定をチェックしたのだが、S1500と比べて非常にわかりにくい構成になっていた。
“スキャンの設定”と“スキャナの設定”がメインとなるのだが、さまざまなところに別階層の設定画面を開くボタンがあるのだ。TWAINドライバの“OK”ボタンが“了解”になっていたり、“スキャン”と“読込”といった文言の混在など、増築を繰り返した感じだ。結局すべてのメニューをチェックした。
すると、初期設定で“両面取り込み”と“マルチフィード検出”が無効になっていたので、有効にする。続いて“スキャナの設定”→“オプション”→“動作”タブの“キャッシング”でPCのメモリーを利用するように設定した。最大で200MBまで利用できるようだ。この状態でスキャンしてみたら、最初の高速読込がずっと続く。あまりの速さに笑ってしまうほど。S1500と比べて明らかに2倍は速い。200MBのキャッシュが満杯になると、かすかに遅くなる。大容量メモリーを搭載しているPCも安くなっているので、GB単位のメモリーを割り当てて高速化できたらうれしい。
手元の雑誌を裁断した144枚の紙を300dpiカラーで取り込んだところ、S1500は3分15秒、PDF化まで3分26秒かかった。fi-6140は1分40秒、PDF化までは1分50秒となった。この速度は快適だ。さまざまな用紙をスキャンしてみたが、重送や紙詰まりトラブルはゼロ。“オプション”→“回転”タブ→“自動方向き/サイズ検出”で“自動用紙サイズ検出”を有効にすれば、異なるサイズの原稿が混在してもOKだ。
拡大して画質を比較したところ、fi-6140のほうがやや眠い感じになっていた。そこで、“スキャナの設定”→“詳細”→“画質補正”タブ→“画像強調”で“輪郭強調”を有効にした。レベルは3段階あるので中を選んだところ、判別しやすい画像になった。
S1500で600dpi取り込みを行なうと1分間に5枚しかスキャンできない。そこで、fi-6140で試そうと思ったら「PC上のメモリが不足です」と表示されてしまう。ヘルプを見ながら、「スキャン時にイメージをファイルウィンドウに表示する」や「ブランクページスキップ」などの機能を無効にしたところやっと動作した。このあたりのユーザビリティは悪い。「ScanSnap」のようなビギナーに優しいUIにしてほしいところだ。
600dpiでのスキャンもやはり速く、1分間に12枚取り込めた。高解像度で取り込む人も恩恵を受けられる。ちなみに、OCRを同時に利用する場合は36ページで3分50秒と従来と変わらず。これはソフトウェアの問題なのでいたしかたない。こちらも、高速化してくれると、利便性が格段に向上するのだが。今のところはまとめてスキャンし、寝る前などにまとめてOCR処理を行なっている。
業務用のドキュメントスキャナは、UIがこなれていないものの、やっぱり爆速だった。日々利用する時間が半分になるなら、数年で元は取れそう。約18万円はさすがに高いが、毎分30枚の弟分「fi-6130」なら実売価格は11万8000円とお手頃。ドキュメントスキャナをヘビーに使っている人なら、業務用スキャナの導入を検討することをオススメする。
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筆者紹介─柳谷智宣
1972年生まれ。ネットブックからワークステーションまで、日々ありとあらゆる新製品を扱っているITライター。日経パソコンオンラインで「ビジネスPCテストルーム」、週刊SPA!で「デジペディア」を連載するほか、パソコンやIT関連の特集や連載、単行本を多数手がける。近著に「Dropbox WORKING」(翔泳社)、「仕事が3倍速くなるケータイ電話秒速スゴ技」(講談社)、「PDFビジネス徹底活用技」(技術評論社)、「Linkedln人脈活用術」(東洋経済新報社、共著)。
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