レポートを作成して分析しよう
「上位のコンテンツ」レポートを開き、「/Error/404」でフィルタ(絞り込み検索)します。
見つかったページをクリックすると、エラーページに関する各種指標とリンクが表示されます。
4.エラー離脱率:エラーページを見て何%がそのままサイトを去ったか?
この「離脱率」が、エラーページを見た後にサイトを去った「4. エラー離脱率」に相当します。
通常のページの場合、離脱率や直帰率が高くても、必ずしも悪いとは限りません。検索サイトやTwitter、Facebookなどから直接記事ページを閲覧し、満足してそのまま立ち去ることもあります。
ところが、エラーページは期待したページの代わりに表示される告知ページなので、エラーページを閲覧して目的が達成されることはありえません。何とか別のページに移動してから訪問目的を達成したり、コンバージョンに至ったりすることも少しはあるでしょう。
この、エラーを体験したにも関わらず目的を達成した割合を把握するための指標が、前回紹介した「3. エラーコンバージョン率」です。一方、そのまま去った「エラー離脱」は、訪問意図を達成することを一度あきらめたことを意味します。
次のページ:どのリンクが役に立ったか?
エラーページのコンテンツの詳細レポートから「ナビゲーションサマリー」をクリックすると、エラーページを閲覧した後にどのページに移動したかが分かります。
ナビゲーションサマリーの「次のページ」は、エラーページに掲載したリンクが役立っているかどうかを判断する材料になります。クリックされなかったリンクは掲載を止める、よくクリックされるリンクは同じようなリンクを充実させるなどの改善アクションが取れます。
ただし、ナビゲーションサマリーで分かるのは次に閲覧したページであって、その後、訪問目的が達成されたかどうかは分かりません。「どのリンクをクリックすると意図したページにたどり着けそうか?」という期待値を表す指標と言えます。
5.エラー後の再訪問率:何%の訪問者が後で再訪問したか?
エラーページを見て訪問を終了(離脱)しても、サイトやサービスに対する期待が残っていれば、あとでサイトに戻ることがあります。今回はイベントとしてトラッキングしたため、「コンテンツ」メニューの中にある「イベントのトラッキング」レポートを開き、さらに「カテゴリ」のレポートに切り替えます。
「ReturnedFromError」をクリックすると、再訪問に至ったエラーページのURLが表示されます。
この「訪問」が、エラーページ閲覧後に再訪問した回数ですので、エラーページ訪問回数の合計で割ることで「エラー後の再訪問率」※を算出できます。
※エラー発生と再訪問の間には最大7日間の時間差があるため、同じ期間内で2つの指標を割ると厳密には誤差が生じますが、実装・分析方法が複雑になると運用が難しくなるため、簡易的な実装と分析フローを確立し、増減の変化を追うのがよいでしょう。
数が少ない場合は統計的な意味はありませんが、なぜ再訪問に至ったのかのコンテクストを想像することで、エラーページ改善のヒントが得られます。
もともとリピーターがよく使う機能でエラーが発生した場合は、エラーページの工夫と再訪問率はあまり関係が無いかもしれません。一方で、新規訪問者の獲得を目的とした広告のランディングページの場合は、サイトに対する期待が低いため、再訪問に至ることが少ないかもしれません。数字と想像を組み合わせて仮説を立て、必要な場合はさらに検証します。
まとめ
前回はエラーが発生した場合の影響を把握する方法を、今回はエラーページによって影響を最少に抑えるための工夫の結果を効果測定する方法を紹介しました。最後にポイントをまとめておきます。
- 今回のポイント
- サイトや機能をなぜ提供しているのか、どのような工夫をしているのかを整理すると、改善アクションにつながる「知りたいこと」が見えてくる
- アクセス解析ツールのデフォルト設定では「知りたいこと」が分からない場合、カスタム実装すればよい
- 数字は万能ではないため、想像力や追加検証も必要
- 長続きさせるために分析方法はシンプルにする
著者:清水 誠 (しみず・まこと)
Webアナリスト。1995年国際基督教大学を卒業後、凸版印刷やScient、Razorfishにて大手企業へのWebコンサルティングとIA設計に従事した後、ウェブクルーでは開発・運用プロセス改善、日本アムウェイでは印刷物のデジタル化とCMS・PIM導入、楽天ではアクセス解析の全社展開、ギルト・グループではKPIの再定義とCRMをリード。2011年9月に渡米、マーケティング製品の品質改善に取り組む傍ら、執筆活動も続けている。サンクトガーレン社外CMO、電通レイザーフィッシュ社外フェローも務める。