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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第108回

LlanoからTrinityへ 2011~2012年のAMD CPU

2011年07月04日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/

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デスクトップ向け製品の2012年

2011~2012年のAMD CPU/APUロードマップ

 最後に、2011~2012年にかけてのCPU/APUロードマップについて説明しよう。まず既存のPhenom II/Athlon IIシリーズは、いずれも2011年で終了となる。すでに「Deneb」コアの「Phenom II X4」のように、事実上の生産終了となったものもある。今はまだ、「Thuban」ベースの6コア製品から、4コア分を使う製品を用意して製品供給が続いているが、これも今年一杯である。

 これらと入れ替わるように、ハイエンドはZambeziベースのAMD FXが、メインストリームにはHuskeyベースのAMD A8/A6/A4/E2が投入されるわけだが、これらの製品も2012年ですべて生産終了になる模様だ。まずハイエンドは、「次世代Bulldozer」コアの「Komodo」を使った製品に切り替わる予定だ。

 このKomodoもプロセスは32nmのままであり、Opteron向けにはより多数のコアの製品が必要とされる関係から、ひょっとするとハイエンドには10コア構成の製品が追加されるかもしれない。だが、コア数以外は大きくは変わらず、おそらくは内部のマイナーアップデートなどに留まるであろう。

 ちなみに製品ブランドがどうなるかは、まだ不明だ。既存の「FX-8000、6000、4000」を踏襲して「FX-8200、6200、4200」になるという案と、新しく「FX-9000、7000、5000」になるという案の2つが聞こえてきているが、にわかには判断しにくい。おそらくAMD自身、まだこのあたりは決めていないだろう。

 一方メインストリーム向けだが、先述のとおりBulldozerベースの「Piledriver」コアを搭載した「Trinity」が、やはり2012年の6月前後には投入されるもようだ。AMDでは「現状のLlanoはGPUを含めたトータルパフォーマンスの観点では、Core iシリーズに対して拮抗した性能を出している」としている。だが、CPUのみのパフォーマンスでは大きく差があることはよく理解しており、Piledriverコアに切り替えることで、このギャップが埋まると期待している。

 逆にGPUコアの側は、多少の改良は施されるだろうが、まだ次世代の「Radeon HD 7000」となるコアを導入するのは、プロセス的にもダイサイズ的にも無理がある。多少の動作周波数向上やGPU向けTurbo COREの導入、若干の改善といった程度の差に留まるものと想像される。

 また、現状のAシリーズでは「Phenom II X3」の後継となる3コア製品がリリースされていないが、これは今後も導入予定はない。CPUコアは4コアか2コアで、あとは動作周波数やGPUスペックの差という展開となるようだ。

 最後にローエンドであるが、2012年には「Krishna」ベースのEシリーズが導入される。現在のE-350は40nmプロセスでの製造だが、このKrishnaは28nmプロセスでの製造になる予定で、デスクトップ向けにリリースされるかは不明だが、4コア製品も作られることはすでに明らかにされている。

 動作周波数を若干引き上げつつ2コアにするのか、それとも動作周波数を現在と同等に抑えて4コア化するのかは判断しがたいが、ある程度性能は底上げされると見ていいだろう。これはGPUに関しても同じで、プロセスの微細化によりSPも現在の80からもう少し増えるし、動作周波数もやや増えるのではないかと思われる。160SPまで増やせるかどうかは微妙で、筆者は120SP程度ではないかと考える。

 ただし意外なことに、既存のZacateベースの製品も引き続き販売されるとの話を聞いている。案外2013年あたりまでは、これを引っ張る可能性はあるかもしれない。

 こうした一方で、ローエンド向けCPU「Sempron」も、早期に消えることは間違いない。現時点では発展途上国向けが主な用途になっているSempronだが、今年中にAPU系列で完全に代替されるだろう。

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