発売直前の最高峰ブックシェルフスピーカー
DYNAUDIO Confidence C1 Signatureを聴く (3/4)
2011年07月12日 09時00分更新
ハッキリとした輪郭でキレもある、C1サウンドがより現代的に
それでは実際に音を聴いてみよう。まだ導入して200時間ほどとのことで、「音のなじみはまだまだ」ということだが、DYNAUDIOらしい上質なサウンドを確かめることができた。
DYNAUDIOのスピーカーは、デモなどでは色彩感があって華やかなATOLLなどフランス製システムと組み合わされることが多いが、今回はカナダのハイエンドメーカーSIMAUDIOのプリメインアンプ・プレーヤーと組み合わせて試聴した。
30年以上の歴史があり、北米のハイエンド市場では一定の地位を得ているブランド。30種類以上のラインアップがあるそうだが、今回はDYNAUDIO JAPAN取り扱いの「MOON EVOLUTION」シリーズから「600i」(87万1500円)とDACトランスポート「750D」(136万5000円)の組み合わせで聴いた。
まずは出音から濃い口で輪郭がハッキリとした安心のDYNAUDIOサウンドがしっかりと受け継がれていることを確認。低音は立ち上がりよく広がり、適度な切れ味と音程感をキープしている。ボーカルや高域は、決して情報量で聞かせるタイプではないのだが、残響表現などのディティール感は損なわれず、高い潜在能力を感じた。
言うならば、しっかりとしたタッチで描かれたペン画に薄く溶いた水彩絵の具を重ねたようなイメージ。明晰な輪郭線は曖昧さがなく、対象を的確にとらえているが、その上に透明感のある絵具の色彩が乗る。色はヒンヤリとした寒色系のイメージ。
ボーカルの透明感ある響きはさすがという感じですが、そこにキリリとした硬さというか、独特のニュアンスが残るのは今まで聞いたDYNAUDIOの製品とは少し異なるところ。アンプのキャラクターのせいなのか、もしくは鳴らしこむうちにほぐれていくものかもしれないが、消え去る高域の響きには凛とした雰囲気があって興味深かった。
低域の量感も十分にあるので、ロックやポップス、ラテンなどメリハリの利いた音楽ソースには特に合いそうな印象を持った。ケイ酸マグネシウムポリマーはブリキではなくポリバケツを叩いたような鈍くて芯のハッキリした雰囲気があるが、太くしっかりとした中低域の表現はこうしたソースを安定して支えてくれるだろう。
ツイーターのEsotar 2は金属製ではなく、日本の湿気の多い空気にも良くなじむ材質。アルミ、マグネシウム、チタンなど硬い金属製ツィーターのような強調感はなく、適度な艶も残しつつ、ナチュラルな響き。
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