いま求められているものだけに合わせない
―― さまざまな企業が「新しいものを作り出す」というところで苦心しています。今の“日本のものづくり”における課題と言えるかもしれません。ガイナックスが新しいものづくりに挑戦できているのは、どういった理由からだと思いますか。
高橋 うちも、新しいものがすべて成功しているわけではないのですが……。「自分たちが作りたいものを作る」ということが、「今いるファンだけに合わせ過ぎない」というところに繋がっているのかな、とは思います。
―― 今いるお客さんに合わせ過ぎない?
高橋 今回、GAINAX×SUBARUのアニメーションをネット配信し、普段のアニメ視聴者とは全く別の層の方々に見ていただいて、僕らが予想していなかった反応をたくさんいただけたのは、現場スタッフにとって喜ばしいことでもあって非常に参考にもなりました。
海外の方も大勢いて、そういったアニメーションを見慣れない方からの反応というのは、僕らからすると新鮮です。「俺はレガシィを見たいと思ってクリックしたら、車じゃなくて、なぜかピンク色の髪の人が出てきた」とか(笑)。
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(C)FUJI HEAVY INDUSTRIES / GAINAX / S×G アニメプロジェクト実行委員会
―― 予期しない反応が来てしまうと。
高橋 うちの作品を見て下さる方の中には、いわゆる“アンチ”の人もいます。でも、否定的な意見も含めて、僕らの糧になるんです。何も言われないというのは、視聴者が興味をなくしているときなんです。ですから、肯定的な感想と否定的な感想の両方を聞けるのがありがたいんです。
その上で、自分たちが作りたくて、視聴者が今まで見たことのないものを発信して、「なんか変なところもあったけど、もう一回観てみようか」というくらいの印象を残していかないといけないと思っています。お客さまの「良かった」だけで終わってしまったら、作品を見ていただく層を狭めてしまうことになります。
―― お客さんの違和感のある反応を恐れないということでしょうか。
高橋 そうですね。もともといるお客さんの層を分析して、この層に向けてこう作ったらこうなるだろうという方程式だけで作っていると、今存在しているお客さんからの「良かった」だけで終わってしまう。それではつまらないよねと。
―― ガイナックスは新しいことに挑戦していく集団、ということですね。
高橋 ずっと同じところを狙っていたら、同じ結果しか返ってこないし、維持にしかならない。維持だけを続けているといずれ退化に繋がっていってしまうので、それではだめなんです。
―― 維持は退化ですか。
高橋 ガイナックスが今もこの後も求め、考えていることは“新しいこと”です。維持だけを考えているといずれ退化してしまうと思います。維持というのは会社としてすごく重要で大変なことでもあるのですが、それを目的化すると、真新しさがなくなってしまう。ファンというのは、いつも新しいものを求めているものなので、新しいものがなくなったら離れていってしまうんです。だから、維持ではなく、常に新しいものを作っていくための箱が、ガイナックスなんだと考えているんですよ。
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(C)FUJI HEAVY INDUSTRIES / GAINAX / S×G アニメプロジェクト実行委員会
■著者経歴――渡辺由美子(わたなべ・ゆみこ)
1967年、愛知県生まれ。椙山女学園大学を卒業後、映画会社勤務を経てフリーライターに。アニメをフィールドにするカルチャー系ライターで、作品と受け手の関係に焦点を当てた記事を書く。日経ビジネスオンラインにて「アニメから見る時代の欲望」連載。著書に「ワタシの夫は理系クン」(NTT出版)ほか。
「放課後のプレアデス」公開記念キャンペーン
シネマコンプレックス、ユナイテッド・シネマでは、「放課後のプレアデス」公開を記念したキャンペーンを実施。6月4日から7月1日までプレアデスのマナームービーを上映するほか、オリジナルグッズも販売する。豊洲劇場ではアニメをイメージしたカフェスペースも6月4日から19日までの期間限定でオープン。詳しくは公式サイトで。
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