机上の箱庭からリビングの王座まで、応用性の高さはピカイチ
ここまで読んで、KS-1HQMを「音質にこだわったパソコン用スピーカー」だと理解したあなた。それは正しいけれど、少し間違っている。
もちろんKS-1HQMは、USB経由でパソコンに保存した音源を取り出し、高音質に再生できるPCオーディオ向け製品ではあるのだが、パソコン“だけ”に使える製品ではないのだ。デスクトップにおいて使う「手軽」で「音がいい」アクティブスピーカーというのはひとつの顔に過ぎない。
特にコンパクトなサイズでありながら、CDを上回る高音質音源(96kHz/24bitのハイレゾ音源)に対応可能な点、ニアフィールド(近接試聴)にとどまらず部屋全体でも鳴らせる余裕あるアンプ出力、光デジタル入力端子を備えることによる多彩な機器との接続──といった部分は、実は大きな可能性を秘めているのだ。
画面のよさを音が殺している!?
さて薄型テレビである。少々の余談となるが、筆者は昨年同僚の編集者にそそのかされて昨年50インチオーバーの薄型テレビを購入した。「テレビを買うなら大画面にすべき、壁の空いているスペースはすべて埋めること」というのが彼の意見だった。
確かに中途半端に妥協するよりは、できる限りの大画面というのは理にかなった主張。ただし、ここで私は敢えて「画面の大きさだけでなく音こそがより深い感動を生む」のだと付け加えておこう。
人間というものは欲深いもので、大画面のテレビがリビングを占有した日の感動も時とともに少しずつ減退していく。そしてその代わりに、気が付くと毎日見ている映像にちょっとした物足りなさを感じるようになってきた。最近になってその理由が「音」によるものだと気付いた。カンタンに言えば、画面の鮮明さ・大型化が進む一方でテレビの音はとても貧弱になっているのだ。
これは薄型・大画面テレビの宿命とも言うべきものかもしれない。最近では額縁は極力小さくし(狭ベゼルで)、表示部分を広く取ったシンプルかつスタイリッシュなテレビが好まれるのでなおさらだ。見た目は確かにいいのだが、その代わりにスピーカーは狭い場所に追いやられ、小口径のユニットが背面あるいは下向きに配置されている。デジタル処理で低域の量感を確保したり、擬似的な広がりを出す機能を持った機種も存在するが、スペースという本質的な弱点を抱えているのでは詮ないこと。
だからこそ、テレビにはいいスピーカーの追加が必要だ。そして、そのための最上の選択肢はKS-1HQMであると言っておこう。