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西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第71回

Let'snote Jが誇るパナソニック・チューニングの実力

2011年06月09日 12時00分更新

文● 西田 宗千佳

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チューニングで他社の「1年先を行く」モデル

 J10は高速なパソコンだが、他方で操作性については、サイズの制約を大きく感じる部分もある。

 キーボードは同社が「リーフ型キーボード」と呼ぶ独自のスタイルで、縦方向に若干狭い。タッチは決して悪くないし、隣のキーとのミスタッチも少ないのだが、少々窮屈に感じる。慣れるまでは最下段がタイプしづらく感じた。伝統の円形タッチパッドも同様で、スクロール操作がしやすいという大きな利点はあるが、実作業エリアが小さめなのでやはり窮屈だ。

J10の「リーフ型キーボード」。縦方向が小さい独特のサイズ。円形タッチパッドはLet'snoteでは定番だが、このサイズではいささか小さい

 Jシリーズは、コンパクトなボディにジャケットを付け、「カジュアルに持ち歩けるビジネスノート」を狙った商品なのだろう。だからこそ、他のモデルより若干安く、サイズも実用性を損なわない程度に小さく……という作りになっていると考えられる。

 「レッツノートというブランドへのこだわり」がチューニング部分に現れているとすれば、ジャケットを中心としたデザイン面は「新しいレッツノート像の創出」を担っている、ということになる。

 だが、これは前回J9をレビューした時にも思ったことだが、ジャケットという提案は必ずしも成功しているとは思えない。カジュアルに持ち歩ける一方、もっと軽く・薄くできるのに、ジャケットのせいで「大柄」に見える製品になってしまっている。ジャケットに強いメリットを感じるならいいが、筆者には、そこまでのメリットが感じられない。特に鞄の中での収まりの悪さが気になる。

 上位モデルの快適さを体感すると、「やはりパナソニックのこだわりは相当なものだ」と評価したくなる。他方で、インテルは今後「UltraBook」のブランドで、起動速度や復帰速度が速く、薄型化された本体を実現できるモバイルノート・プラットフォームを展開すると発表している(関連記事)。それらが実現される2012年になると、パナソニック以外のメーカーも、J10が持っている快適さに近いものを手に入れはじめる可能性は高い。

 そういう意味でいえば、J10は「今後来るモバイルノートの快適さ」を先取りしている製品と言っていい。逆に言えば、他社が同じ快適さを手に入れはじめた時に、パナソニックは何を狙うのか。そこが気になる。

お勧めする人
・起動にイライラしないモバイルノートが欲しい人
・ラフに使えるモバイルノートを探している人
Let'snote J(CF-J10SYBHR)の主な仕様
CPU Core i5-2410M(2.30GHz)
メモリー 2GB
グラフィックス CPU内蔵
ディスプレー 10.1型ワイド 1366×768ドット
ストレージ SSD 128GB
無線通信機能 IEEE 802.11a/b/g/n、WiMAX
インターフェース USB 3.0×1、USB 2.0×2、HDMI出力、アナログRGB出力、10/100/1000BASE-T LANなど
サイズ
(ジャケット装着時)
幅259×奥行き185×高さ39~48mm
質量
(ジャケット装着時)
約1.205kg
バッテリー駆動時間 約13時間
OS Windows 7 Professional 32bit版
予想実売価格 18万円前後

筆者紹介─西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、PCfan、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「iPhone仕事術!」(朝日新聞出版)、「iPad vs.キンドル」(エンターブレイン)、「メイドインジャパンとiPad、どこが違う? 世界で勝てるデジタル家電」(朝日新聞出版)、「知らないとヤバイ! クラウドとプラットフォームでいま何が起きているのか?」(共著、徳間書店)。「電子書籍革命の真実 未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)。最新刊「災害時ケータイ&ネット活用BOOK」(共著、朝日新聞出版)が発売予定。

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