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老舗ENERMAXの電源で作る省エネフロアライトPC!

2011年06月18日 06時00分更新

文● 藤山 哲人

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 アスキーメディアワークスが新宿から飯田橋に引っ越しをすることになった。おりしもASCII.jpと電撃系の編集部が同じ日に引っ越しするという。その情報をいち早く聞きつけた俺様は、その日の予定をすべてキャンセル。愛車のエスティマの後部座席をすべて跳ね上げ、後部座席を荷物仕様にし、マイ台車を積み込んで新宿のASCII.jp編集部に向かった。その目的とは……

アスキー・メディアワークスが社屋移転。西新宿のオフィスから荷物がどんどん運び出されていく

 編集部から出る萌えるゴミの回収である!

 編集部員にはゴミと思えるものでも、われわれにとっては超お宝グッズ。撮影で使用した抱き枕やフィギュア、そして編集部員が買ったマンガに雑誌の付録などなどだ。
 「ちーっす!萌えるゴミを回収に来ました~!」とASCII.jp編集部を訪れると、編集Kはこう告げた。

 やっぱ来ましたね! 萌え系グッズは、あそこにあるダンボールの中に入ってます。引っ越しの最中だから逐次、不要になった私物や破損品とかがあのダンボールに入れられるんですけど、新品同様のお宝は競争率が高くてなかなか手に入らないですよ。

引っ越しで出た萌えるゴミの数々。撮影で使用したものもあるが、そのほとんどが編集者の私物だ。写真は氷山の一角に過ぎない! ASCII.jpなのになんでPCパーツがないんだよ、こいつら仕事してんのか?

 ダンボールの山に視線を向けると、アレ?●刊アスキーのヲタク編集者が萌えるゴミの「出待ち」してるじゃネーかっ!っつーかお前ら仕事しろよ! と突っ込む俺様に編集Kが囁く。

 ここで取り引きと行きましょうやダンナ――。電源をフィーチャーするPCを作って記事を書いてくれるなら、回収の優先権をあげてもいいんですけどね……。週●スの連中が欲しいというグッズがあっても、その優先取得権はダンナにあるんです。いい話でしょ?

 もちろん俺様は速攻OK! なんせ萌えるゴミの回収に来たんだもん。ん? 待てよ? それって……

 萌えるゴミと仕事の抱き合わせ販売じゃねーかっ!

 名探偵コ●ンもビックリの心理トリックに引っかかっちまった!こうして昼はビジネス用PCとして、夜は光り輝く美しいフロアライトとして使えるPCの製作がはじまったのだ。

オーバークロッカーや3Dゲーム廃人じゃなければ
80PLUS(スタンダード)電源でもいいじゃん!

 肩を並べて編集Kと萌えるゴミ漁りをしながら、なぜ電源にフィーチャーしたPCを作るのか? っつーかそれって、PCじゃなくてただのスイッチング電源だろ? という謎のPCの企画意図を聞いてみた。

 これから夏に向かって節電しなきゃならないじゃないですか。だから必然的に80PLUS認証の電源の需要が伸びるんですよ。

 そりゃそーだ。ワットチェッカーで家のサーバーマシンの消費電力を測定してみたところ、ボロ電源だと114W(1次の100V側を24時間計測した平均値)だったのが、80PLUS Gold認証の電源に替えたら85Wにまで下がったからね。月の電気代に換算すると、1806円→1346円となり、1ヵ月で電気代が500~1000円安くなるって計算だもん。

 エネルギー効率のいい電源は、80PLUS Platinumですけどまだ流通していないしメッチャ高いじゃないですか。これだと手が出しにくいので、一番下のグレードになる無印80PLUS電源って選択肢もアリってのを読者に伝えたいんですよ。

 ではASCII.jpを普段から見ているパワーユーザーの兄貴たち放置しておき、今年大学に入学して論文のためにPCを買おうかな? 自作しちゃおうかな? という女子大生のため(※)に、お兄さんが80PLUS電源についてやさしく説明しておこう!

編注:著者が勝手に言ってるだけです。ASCII.jp読者層に女子大生なんて皆無です。悲しいことですが、事実です。従いまして「女子大生」は、「20~40歳台の男性で独身。6畳ワンルームで一人暮らし。趣味がPCのお前ら」と読み替えてください。読者の皆様にはご面倒をおかけいたします。

 今ショップで売っている電源のほとんどは、こんなマークが付いている。

左から80PLUS(スタンダード)、ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナ。右のマークほど省エネ電源となっている

 これは80PLUS認証というもので、どれだけ省エネの電源なのかを示す指針だ。クラスは5段階に分かれていて、次のようになっている。

80PLUS認証ランクと変換効率の違い
負荷率 80PLUS 80PLUS BRONZE 80PLUS SILVER 80PLUS GOLD 80PLUS PLATINUM
負荷20%のとき80%82%85%87%90%
負荷50%のとき80%85%88%90%92%
負荷100%のとき80%82%85%87%89%

 そもそもPCの電源というのは、コンセントの100Vの電気をPCの中で使う12Vや5Vの電気に変換する装置。つまり表の%は、100Vの電源を12Vや5Vにどれだけ効率よく変換できるかというものだ。
 たとえば80PLUS(以下、80PLUS無印)で見ると、負荷にかかわらず80%となっている。これは100Vの電気エネルギーの80%を12や5Vの電気に変換しているという意味だ。

 気になる残りの20%は、変換のためのエネルギーロスで、おもに熱エネルギーに変わってしまっている。

 これは家電のACアダプタなどでも同じこと。アダプタを触るとほのかに温かいのは、100Vの電気を100%ACアダプタの出力にできず、変換ロス分だけ熱に変わってしまっているためだ。とくに数年前の古くて重いACアダプタは、変換効率が悪いのでカイロのように温かい。しかし技術の進歩で携帯電話の充電器のようにあまり温かくならないものもある。これは変換効率がいいので、熱エネルギーにならないため。
 さて先の表に戻って話を進めよう。表には「負荷」が20%、50%、100%のときの変換効率が示されている。この負荷とは、PCにどれだけ重い処理をさせているか? 何台のHDDを搭載しているか? ゲーム用のビデオカードを差しているか否かの違いだ。

4枚のビデオカードを装着し、それぞれに2台のディスプレーをつないだ8ディスプレー環境。消費電力もハンパない

 負荷100%というのは、大量のHDDを内蔵し、高性能なビデオカードを2枚差して、日がな一日ゲームをプレイしてたり、PCの高速化を狙ってチマチマとオーバークロックしては、ベンチマークを走らせている廃人に向けた指標だ(うわ~、クレーム届きそうだな……)。

ビデオカードを複数枚差す、SLIやCrossFireX環境では電源への負荷も大きい

 負荷50%というのは、ASCII.jpの「アキバ」や「自作」カテゴリーに毎日目を通すユーザーへの指標だ。PC本体より高額なビデオカードは差してないけど、HDDや拡張カードはいくつか内蔵してる感じ。ときには処理の重い3Dゲームもやるけど、大半は2次元も萌え萌えゲーム。あとはムービー見たり、持ち帰った仕事や論文をWordやExcelで作ったりといった感じだろう。

ウチのメインマシン。安定して動くのが第一なので、ぜんぜん改造とかしていない。過去の仕事の原稿や写真は、サーバに保存しているのでHDDも少なめ

 負荷20%というのは、「女子大生」や会社で使っているPCだ。ネット見て、メール読んで、WordとExcelで仕事や提出物を書いて、ゲームはソリティアとマインスイーパーってな感じの人だ。

こんな感じで中がスカスカなマシンで、おもにネット端末としてWordやExcelを動かすために使っているのが20%ってとこだ

 表から分かるとおり、Silver認証以上の電源は確かに変換効率がいいが、電源だけで1万円以上も(高いのになると4万円以上なんてのも)払うのは、容量が増えたりベンチマークテストの結果が上がるようなパーツを購入するのに比べると、清水の舞台から飛び降りるより勇気がいる。
 となると、フツーの人がフツーのPCに入れる電源として残るのは、だいたい1万円程度で買えるBronze認証か無印(スタンダード認証)だ。でも変換効率は2~5%の違いしかなく、もう誤差レベルの問題と言ってもいいだろう。
 こうなると財布に負荷かけてBronze認証を買うより、安い80PLUS無印を買ってスシローで2回も腹一杯寿司を食った方がイイんじゃネ?というわけだ。

(次ページへ続く)

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