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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第93回

探検コムの「広く浅く」が深すぎる!

2011年05月11日 12時00分更新

文● 古田雄介(@yskfuruta

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目標は「世界を作ること」

―― では、今後の目標を教えてください。

探検コム この話するとワケ分からなくなるかもしれないけど……最終的には世界を構築したいんですよ。

 たとえば、日本史の教科書に「何年に○○があって、△△ができました」と書かれているけど、あれって誰かが勝手に歴史を構築しているわけですよ。何年に○○があったのは事実としても、それが△△につながったかは後世の人が判断しているだけで、俺はそのつながりに疑問を持っているわけ。作られた歴史だよなって。

 だから、作られた「つながり」を一旦解除するために、世界地図をX軸とY軸として、そこに時間軸としてZ軸を置く。すると、地球上で起こったすべてのことが「点」でマッピングできるわけ。


―― なるほど。事実をアドレス付きの点と捉えて、そのつながりを自分で作っていく。それが「世界の構築」というわけですね。

探検コム そうそう。そういう立体的なマップがあったら、自分で点を結んでいって新しい歴史が作れるんだよね。皆は教科書で習った歴史しか知らないけど、自分で新しいつながりを探していける。新たなつながりのパターンが見えたら、Z軸を未来に移動させて、将来のこともマッピングできるじゃない。

 そういう考えが根本にあるから、俺はサイトでもテーマ史みたいなものをよく書いているんだよね。例えば電力の歴史を辿る場合も、技術史の方向だけじゃなくて、政治闘争や文化史みたいな視点からも結んでみたり。


―― テーマ史はいわば、自作の歴史であり、世界ということですね。それが作れているということは、すでに最終目標の片鱗は掴んでいると。

探検コム それなりにはできているけど、極論をいえば「新しい歴史の教科書が作れる」ような、そこまでいきたいんだよね。

 それで重要なのはリンク機能なの。HTMLの本当に良いところで、俺は情報革命の本質はリンクなんだと思っていてね。リンクがあればX-Y-Z軸がバラバラでも、気にせずつなげられるでしょ。今サイトに上がっている記事にもいろいろなリンクを貼っているから、読者も興味がわいたページにすぐ飛べるじゃない。そして、飛ばす先は俺が指定している、つまり俺がつくったつながりなんだよね。そういうふうに、1本の道じゃない歴史……世界を構築したいんだよ。


―― その目標は「広く浅く」のスタンスとリンクしていますね。

探検コム そうそう。子供の頃、父親に「お前は飽きやすいから、ひとつのことを深くやれ」と言われたんだけど、俺は世界で最も広く浅い男を目指していてね。やっぱりいろいろなものを知らないと、見えるつながりも見えなくなるじゃん。ひとつひとつは浅くても広い知識があれば、関連が見えて深いところに突っ込んでいけるし。それが俺のいう「探検」でもあるんですよ。

インタビュー当日の朝まで出張先で取材していたという探検コム氏。校了を間近に控え、しかも夜20時に取材を開始したにも関わらず、3時間以上もじっくりと答えてくれた



古田雄介

筆者紹介──古田雄介


 元建設現場監督&元葬儀業者&現古銭マニア&毎週仕事で秋葉原と都内量販店に足繁く通う毎日を送る現デジタルライター。「古田雄介のブログ」ではみなさんのお勧めサイトを募集中です。ツイッターIDは@yskfuruta




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