ごく普通のファンクフリークです
―― ところでサイモンガーさんは何者なんですか?
サイモンガー どこにでもいるごく普通の会社員です。
―― しかし察するに、音楽的な趣味は相当に濃いように思えます。やっぱりファンクは相当に聴き込んでますよね。
サイモンガー 最近の音楽ファンがうらやましいですよね。「へえ。キミ、このアルバム800円で買ったの。僕なんかその10倍出して聴いたもんね、ジャケットのスミを切ってあるヤツをね!」って思いますから。
―― カット盤※でもそんなにしたんですか!
※ カット盤 : 輸入LP盤でよく見られた投げ売り在庫放出品のこと。メーカーがジャケットにわざと穴を開け、通常流通品より価値を落として市場に流していた。
サイモンガー そうですよ。ちょうど、僕が聴き漁っていた1990年代の始めは、DJが流行ったりして、アナログレコードがブームになっていて、ファンクのマニアックな盤もそれなりの値段がしたんですよ。一番高い頃に買ったと思います。
―― それはご愁傷さまでした。音楽的なルーツはどの辺りですか?
Image from Amazon.co.jp |
P-Funk Earth Tour |
サイモンガー もっとたどると、YMOがシンセをいじるきっかけでした。そこにプリンスが現われ、スライ、JB(ジェームス・ブラウン)、P-FUNKという道筋で。
―― 1980年代の音楽体験としては、ある意味王道ですね。
サイモンガー でもファンクバンドを始めるまで、ずっと打ち込みをやっていたんですよ。最初は「PORTA ONE」※を使って、リズムマシンを入れて手弾きという。本格的に打ち込みを始めたのは、カワイの「Q-80」というシーケンサーを買って音源を揃えてからですけど。
※ PORTA ONE : 1984年に発売されたTEAC TASCAMの4トラックMTR(マルチトラックレコーダー)。メディアはカセットテープで片面走行で使用した。現在はiPadアプリとしてリバイバルしている。
―― それは意外です。最初からフィジカルな人だと思っていました。
サイモンガー ファンクも好き、YMOも好きというところで、その2つをつなぐものが今までずっとなかったんです。そこにKORG DS-10が出てきた。ファンクのような勇ましい音楽をやろうというとき、そのバックトラックがゲーム機なのは面白いんじゃないかと。それでウェブにアップしたら、そこそこ評判が。
(次ページに続く)
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