ライブハウスの役割を負ったドキ生
―― ではレベルアップの目標を掲げた最終回はどんなイベントに?
にいとP まず1回目のドキ生に出ていただいた、藤山晃太郎さん※という手妻(てづま)師の方も出演されます。彼が「ダブルラリアット」に合わせて回るという動画を上げていて、アゴアニキ(ボカロP)率いるAGOBOTの演奏の横で手妻を披露してもらいました。今回もボカロ曲と絡んでの出演を快諾していただいてます。そういったバンドライブ以外の演出もあります。
※ 日本の古典奇術の正統な後継者。その彼が曲にあわせてくるくる回る映像がこちら
―― 1日目に出演の「et nu」はナノウさん(ボカロP)のバンドですよね?
にいとP et nuはドキ生で生まれたバンドなんです。ナノウさんとルシュカさん(Vo)は、渋谷のソングラインズというライブバーでやった最初のドキ生アコーティックに出てくれて。多分そのオファーをしたあたりだったと思うんですがバンドを組もうということになり、ルシュカさんの人脈を中心にメンバーを集めたんです。そして地味侍さん(Ba)、町屋さん(G)、安定型アンパンマン(Dr)の3人が集まった。町屋さんは都内からは遠方に住んでいる方なんですが。
―― ライブにはその遠方からいらっしゃるんですか?
にいとP 比較的遠くから来られる方はライブの予算から遠征費用を負担しています。このナノウさんとルシュカさんのバンドは第6回のドキ生に出演してもらったんですが、この回は「神回」と多くの人に絶賛いただいてます。「MEIKO」の音声ライブラリを担当している拝郷メイコさんにもバンドを率いて出演頂いて、古川さん(ボカロP)の「Alice」を演ってくれたりもしたんですよ。
―― それ、すごい話題になりましたよね。
にいとP ええ。そのつながりで、今度出る古川さんのアルバムで拝郷メイコさんが歌っているんです。この前のデPフェス!(関連記事)に出演したメンバーも、この第6回でトランタ☆デッドボールズとして出演したメンバーが中心になっていますしね。
―― 育っていたバンドが独り立ちするのを見守る、みたいな感じですか?
にいとP そういうのがあってほしいと、スタッフの皆が思っていたんです。今度、et nuはM3(イベント)でCDを出すんです。et nuのメンバーは手応えのあるバンドができたという感じがあるみたいで。そういうきっかけが作れたのがすごく嬉しいです。
―― ドキ生は80年代の半ばころまでの、古き良きライブハウスの役割を負っている感じですね。いい出演者を探してバンドを育てるという。
にいとP よくそう言っていただいています。レコード会社の人も観に来てくれるし、いいバンドがあったらプッシュしまくりますよ。何の得になるのかは解りませんが(笑)。
―― 前世紀のライブハウスと違って、ネットで生まれた人的流動性(音楽の参加メンバーが次々に変わる)を試す場所になっているのが面白い。
にいとP そうだと思いますね。うちのイベントの特徴は、核となる出演者が、自分の好きな演奏者を集めてくるということなんです。ネットのおかげで一人ひとりの交流範囲がものすごく広いし、ニコ動のおかげで、すごい奏者でも身近に感じられて誘いやすいんですよね。
―― そろそろパーマネント(一度ドキ生で組んだ)のメンバーで活動するバンドが現われてもいい頃かも知れないですね。
にいとP そう思います。イベントがあるということでバンドも組みやすいし、逆に解散もしやすい。手応えを感じれば同じメンバーでやればいいし、そうでなければやめればいい。今はいろんなライブイベントが出てきたし、自分とやれそうな奏者を探っている状態なんだと思います。
(次ページに続く)
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