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【所長コラム】「0(ゼロ)グラム」へようこそ

誰がガラケーをやめてこれからスマートフォンを買うのか?

2011年04月15日 09時00分更新

文● 遠藤諭/アスキー総合研究所

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Smartphone

 情報家電、デジタル機器、ハイテク商品というのは、どんなときに買われるのだろうか? 購入を阻んでいるのは「値段が高い」ことや「習得の難しさ」だ。一方で購入する理由は、それによって得られる「利便性」や「満足感」だろう。これらの要素の心理的な距離が、時間の経過とともに接近してきて交差するあたりで、購買行動は起こる。

 心の中に“X”字形のグラフがあって(縦軸は心理的なもので、横軸は時間)、ピョンと跳び越えて早めに買ったり、ずっと我慢していたものをようやく買ったりしている(図1)。性能や使いやすさが年々向上して、お値段が相対的に下がってくるのがハイテク機器の特徴で、いわゆる「ムーアの法則」が独特の市場原理を作り出している。

図1 ハイテク商品購買の“X”字グラフ。時間とともに「価格」「習得の難しさ」は下がり、「実利」や「満足感」は上がってくる。その交差する付近が「旬」

 そんな機器の中でいま売れているのが、「スマートフォン」である。量販店の販売データを集計しているBCNによると、2010年12月には、携帯電話販売台数の48%がスマートフォンだったそうだ。2011年2月でも、スマートフォンが44%を占めたという。

 国内の携帯電話(PHSを含む)の契約数はざっと1億2300万台。年間の端末出荷台数は約3500万台である。そのうちの半数がスマートフォンという比率が今後続いたとしても、全体をひっくり返すには何年かかかる計算になる。だが、若い人たちの間では、2~3年でスマートフォンが“当たり前”になる可能性が高い。一部のユーザー層が、“X”字形のグラフの交差点付近に差し掛かってきている。

 「若い人たち」と書いたのは、いまの20代においては、メディアの利用スタイルが大きく変化してきているからだ。

 アスキー総研では、今年で2回目となる1万人調査「MCS(メディア&コンテンツ・サーベイ) 2011」の提供を開始している。これは、総務省の「通信利用動向調査」から割り出したインターネットユーザーの人口構成比・地域分布に沿うように抽出した1万人のパネルに対して、メディアの利用状況やコンテンツの消費状況を詳しく聞いたものだ。このMCSの集計結果で、我々の目を最も引いたのが、現在の20代のライフスタイルだったのだ。

 たとえば、地上波テレビを「視聴していない」と答えた人が、20代男性では13.5%もいる。1日の視聴時間を「5分未満」と答えた人も合わせれば19.4%と、実に5人に1人の割合となる。そもそもテレビを持っていないという話もあるから、当然とも思えるが。その分、ネット動画の視聴時間(図2)を調べると、20代男性は1日平均18.5分と、他世代より突出してネット動画を視聴している。これはネット動画を利用していない人も含めた平均値で、利用している20代男性のみに限定すると、実に1日平均62.8分もネット動画を見ている

図2 ネット動画の平均視聴時間。PCやスマートフォンなど、各種機器から1日に何分ネット動画を視聴しているのかを聞いたところ、20代男性は18.5分、20代女性も10.2分と、他の世代よりも長時間ネット動画に接していることがわかる

 また、MCSでは3Dゲーム機からハイブリッド自動車、太陽光発電機まで、約60品目について「今後1、2年以内に購入したいか?」について聞いているが、多くの品目で20代の購入意向は低く、昔ならローンを組んででも買ったような商品を欲しがってはいない。ただし、スマートフォンについては、他の年代と同様かそれ以上に、購入意向者の比率が高くなっている。

 若年層の「モノ離れ」と言われるとおりの結果だが、そんな中でも欲しいと思っているスマートフォンを、それでは20代はどう使っているのだろうか。

 スマートフォンで継続して利用している個別のアプリ名を世代別に集計すると(人気アプリから30本を選んで聞いた)、20代はSkypeで、30代は仕事系、40代は電子書籍など、世代によって利用アプリの傾向が大きく異なっていることがわかる(図3)。

図3 スマートフォンでの世代別利用アプリ。それぞれの世代に対して、スマートフォンで利用しているアプリ名を聞くと、ほとんどの年代で「産経新聞」や「ウェザーニュース タッチ」が上位となるが、20代は「Skype」が突出している

 20代はしっかりSkypeを活用していて、飲み会の後、コンビニでそれぞれお酒を買って帰って、自宅で「Skype二次会」なんて話もある。一方、30代で利用率が高い「BB2C」は、2ちゃんねるビューアだ。

 図4は、スマートフォンで利用しているアプリのジャンルを、世代別に見たものだ。他の世代と同様、ニュースや乗り換え案内の利用率が高いが、20代が最も利用しているのはゲームだ(10代も、ほかの用途に比べてゲームが突出していることにも注目したい)。また、他の世代に比べてSNSやTwitterの利用率も高くなっている。

図4 スマートフォンでの世代別利用アプリのジャンル。20代はニュース、乗り換え案内、そしてゲームの利用率が高いが、SNS/Twitterの利用率が他の世代に比べて高くなっている

 20代はコミュニケーションツールとして、あるいはメディアデバイスとしてスマートフォンを使っているわけだが、注目すべきはやはりソーシャルメディアとの関係だ。

図5 スマートフォン利用者の世代別Twitter/mixi利用率。20代のスマホユーザー約半数がTwitterやmixiを利用している

 図5は、スマートフォン利用者におけるmixiとTwitterの利用率を世代別に集計したものだ。20代のスマートフォン利用者の50.0%はmixiを、50.9%はTwitterを使っており、他の世代に比べてもその利用率は高くなっている。ちなみに、iPhone利用者とAndroid利用者では、わずかではあるが、後者のほうがソーシャルメディアの利用率が高い。

 このソーシャルメディアの利用率の高さは、大きな意味を持つのではないか? ソーシャルメディアは、利用者の意志決定や行動様式にまで強く影響してくるはずだからだ。


 (次ページ、「iPhone購入意向者よりAndroid購入意向者のほうが“普通”?」に続く)

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