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アキバで恥をかかないための最新パーツ事情2011 第1回

知ったかできるパーツ基礎知識【CPU/マザー/メモリ編】

2011年04月12日 12時00分更新

文● 池座 優里

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短命に終わった「LGA 1156」プラットフォーム

 約1年半と短命に終わったLGA 1156プラットフォーム。既にメインストリーム向けとしてLGA 1155が登場しているため、新規にPCを組む場合には選択するメリットはない。しかし、LGA 1155とLGA 1156ではCPUの性能に大きな違いはなく、まだ十分現役で使うことができるというのも事実。価格も下がり、手頃になっているため、既存環境のアップグレード用として購入するというならありだろう。

LGA 1156のソケット。LGA1155よりピンの数がひとつ多い

 LGA 1156のCPUにはGPU機能を内蔵しない4コア製品「Lynnfield」とGPUを統合した2コア製品「Clarkdale」の2種類がある。特にClarkdaleはIntelのデスクトップCPUとしては初めてGPUを統合したCPUということで、非常に大きな意味を持つ製品となった。現在の主なラインナップは以下の通りだ。

LGA1156 CPUスペック表
CPU Core i7-875K Core i7-870 Core i7-870S Core i5-760 Core i5-680 Core i5-661
開発コード Lynfield Lynfield Lynfield Lynfield Clarkdale Clarkdale
プロセスルール 45nm 45nm 45nm 45nm 32nm 32nm
コア数 4 4 4 4 2 2
Hyper-Threading -
論理CPU数 8 8 8 4 4 4
動作クロック 2.93GHz 2.93GHz 2.6GHz 2.8GHz 3.6GHz 3.46GHz
TurboCore時クロック 3.6GHz 3.6GHz 3.6GHz 3.33GHz 3.86GHz 3.73GHz
L2キャッシュ 256KB×4 256KB×4 256KB×4 256KB×4 256KB×2 256KB×2
L3キャッシュ 8MB 8MB 8MB 8MB 4MB 4MB
内蔵GPU - - - -
内蔵GPUクロック - - - - 733MHz 900MHz
TDP 95W 95W 82W 95W 73W 73W
CPU Core i5-655K Core i5-650 Core i3-560 Core i3-550 Core i3-540 Pentium G6950
開発コード Clarkdale Clarkdale Clarkdale Clarkdale Clarkdale Clarkdale
プロセスルール 32nm 32nm 32nm 32nm 32nm 32nm
コア数 2 2 2 2 2 2
Hyper-Threading -
論理CPU数 4 4 4 4 4 2
動作クロック 3.2GHz 3.2GHz 3.33GHz 3.2GHz 3.06GHz 2.8GHz
TurboCore時クロック 3.46GHz 3.46GHz - - - -
L2キャッシュ 256KB×2 256KB×2 256KB×2 256KB×2 256KB×2 256KB×2
L3キャッシュ 4MB 4MB 4MB 4MB 4MB 3MB
内蔵GPU
内蔵GPUクロック 733MHz 733MHz 733MHz 733MHz 733MHz 533MHz
TDP 73W 73W 73W 73W 73W 73W

 LGA 1156に対応するCPUは「Core i7」から「Pentium G」まで幅広いラインナップが用意されている。さらに、2010年6月には普及価格帯のIntel製CPUプロセッサとしては久しぶりに倍率固定が解除された「Core i7-875K」と「Core i5-655K」が発売された。

Clarkdaleコアの「Core i5-655K」(写真左)とLynnfieldコアの「Core i7-875K」(写真右)

倍率固定解除を示す「UNLOCKED」の文字がパッケージに印刷されている

 倍率変更によるオーバークロックはベースクロックを設定する方法に比べると簡単で、さらにCPU自体のオーバークロック耐性も高いため自作市場では人気の製品となった。ただし、これらの製品にはCPUクーラーは付属しないので、別途用意する必要がある。
 また、省電力向けとしてTDPが下げられた「Core i7-870S」も用意されているが、動作クロックが2.93GHzから2.66GHzへとダウンクロックされているので購入する際には注意してほしい。

LGA 1156対応マザーボード

 LGA 1156に対応するコンシューマ向けのチップセットは「Intel P55 Express」(以下、P55)、「Intel H57 Express」(以下、H57)と「Intel H55 Express」(以下、H55)の3種類。そのうち内蔵グラフィック機能に対応するのは「H57」と「H55」の2つ。

LGA1156 チップセット表
チップセット Intel P55 Express Intel H57 Express Intel H55 Express
メモリスロット 4スロット 4スロット 4スロット
USB 2.0 14ポート 14ポート 12ポート
SATA2 4ポート 4ポート 4ポート
RAID 0/1/5/10 0/1/5/10 -
内蔵GPU - 対応 対応

 P55を使う場合は別途ビデオカードが必須となる。いずれのチップセットもSATA3.0やUSB3.0には対応しないため、サードパーティ製の別チップによって対応させた製品が多く発売されている。ただし、チップセットの仕様によりPCI Expressの帯域が不足し、転送速度が制限されることがあるため注意が必要。別途ブリッジチップを搭載して帯域不足を解消した製品も存在するので、最新のインタフェースを使う場合はそちらを選択するといいだろう。
 また、ASRockからはLGA 1155用チップセットのP67を搭載した「B3 P67 Transformer」が発売されている。この製品を使えば帯域問題を気にする必要はない。

USB3.0およびSATA3.0が標準搭載となるASUSTek製マザーボード「P7P55D-E Premium」。帯域ボトルネックを解消するためにブリッジチップを別途を搭載する

P67を搭載しつつLGA 1156に対応した、いわゆる“変態マザー”ASRock製「B3 P67 Transformer」。こちらなら帯域制限を気にする必要はない

いまだだに発売され続けるLGA 775

 2004年の「Pentium4」から脈々と続くLGA 775は、「Pentium」や「Celeron」といった1万円以下の廉価版CPUという市場において、いまだ新製品が販売されつづける息の長いプラットフォームだ。秋葉原での入手性もまだまだ良い状態が続いているため、今回はあえて紹介することにした。現在の主なラインナップは以下のとおり。

LGA775 CPUスペック表
CPU Core 2 Quad Q9650 Core 2 Quad Q9550 Core 2 Quad Q8400 Core 2 Duo E8500 Core 2 Duo E8400 Core 2 Duo E7600 Core 2 Duo E7500
プロセスルール 45nm
コア数 4 4 4 2 2 2 2
動作クロック 3GHz 2.8GHz 2.5GHz 3.16GHz 3GHz 3.06GHz 2.93GHz
FSB 1333MHz 1333MHz 1333MHz 1333MHz 1333MHz 1066MHz 1066MHz
L2キャッシュ 6MB×2 6MB×2 3MB×2 6MB 6MB 3MB 3MB
TDP 95W 95W 95W 65W 65W 65W 65W
CPU Pentium E6700 Pentium E6500 Pentium E5800 Pentium E5400 Celeron E3500 Celeron E3400
プロセスルール 45nm
コア数 2
動作クロック 3.2GHz 2.93GHz 3.2GHz 2.7GHz 2.7GHz 2.6GHz
FSB 1066MHz 1066MHz 800MHz 800MHz 800MHz 800MHz
L2キャッシュ 2MB 2MB 2MB 2MB 1MB 1MB
TDP 65W

 既に2世代前のプラットフォームとなるため、将来性を考えると新規PCとしてはまずおすすめできない。さらに「Core 2 Quad」や「Core 2 Duo」の上位モデルは値段があまり下がっていないため、アップグレードするならプラットフォームごとの乗り換えを考えたほうがいい。
 一方で、「Pentium」は6000円前後から、「Celeron」なら4000円前後から購入可能となっており、とにかくIntel製CPUで安く組みたい場合やマシン入れ替えで余ったパーツを使って2ndマシンを組む場合などには候補とするのもありかもしれない。

いまだに発売されるLGA 775の新CPU。昨年8月に販売された「Pentium E6800」(写真左)と、昨年12月に発売された「Pentium E5800」(写真右)

LGA 775対応マザーボード

 現在入手できるLGA 775対応マザーボードは、ビデオ機能が統合されたチップセット「G41」や「G31」を搭載した製品が主流で、5000円~6000円前後と安価なものがほとんどだ。使用可能なメモリはマザーボードによって異なるがDDR2またはDDR3で、メモリスロットは2枚までの製品が多い。

G31を採用したZotac製「G31MAT-A-E」。実売価格も5000円前後と安価な製品だ

こちらはG41を採用しDDR2メモリに対応したZotac製「G41MAT-A-E」とDDR3メモリに対応した「G41MAT-B-E」。「G41MAT-A-E」の実売価格は6000円前後、「G41MAT-B-E」は6500円前後となっている

小型/省電力向けプラットフォーム向け「Atom」プロセッサ

 小型/省電力向けの「Atom」プロセッサだが、デスクトップ向けの製品も用意されているため自作が可能だ。現在発売されているAtomはCPUとGPUが同一ダイに統合されており、第一世代から大きく消費電力が削減されている。

小型/省電力向けの「Atom」は、マザーボードに直付けされているため、CPU交換ができない

 省電力を重視した設計のため性能は同クロックのデスクトップCPUと比較しても低いものの、TDPはデュアルコアで13W、シングルコアでは10Wと大きく削減されている。また、CPUの性能を補うために「Hyper-Threading」を搭載し、マルチタスク環境での性能を向上させているのも特徴だ。

Atom スペック表
CPU Atom D410 Atom D425KT Atom D510 Atom D525
プロセスルール 45nm
コア数 1 1 2 2
Hyper-Threading
動作クロック 1.66GHz 1.8GHz 1.66GHz 1.8GHz
L2キャッシュ 512KB 512KB 512KB×2 512KB×2
対応メモリ DDR2-667/800 DDR3-1066/800 DDR2-667/800 DDR3-1066/800
TDP 10W 10W 13W 13W

 Atomプロセッサは単体販売されていないため、マザーボードに組み込まれた状態で購入することになる。現在市場にあるほとんどの製品がMini-ITXサイズで、小型かつ省電力マシンを構築したい場合には良い選択肢となるだろう。また、Atomプロセッサのグラフィック機能を強化するため、NVIDIA製「ION2」を搭載した製品も発売されている。

「Atom D525」を搭載したインテル純正のMini-ITXマザーボード「D525MW」。Intel純正ながら7000円前後と安価な製品だ

VGA機能にnVIDIAの「ION2」を採用したASUSTek製「AT5IONT-I」。実売価格は1万6980円前後

(次ページへ続く)

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