鳥居一豊の「最新AVプロダクツ一刀両断」 第32回
新高画質エンジン搭載で画質も使いやすさもさらに向上
2D画質極まる!? 東芝「REGZA Z2」の実力に迫る
2011年04月06日 12時00分更新
動画で効果を実感「3次元フレーム超解像」
本機の画質調整機能は多岐に渡っており、しかも新機能も数多い。まさしくレグザエンジン CEVOの高性能を実感する部分だが、その目玉はやはり「3次元フレーム超解像」を採用した「レゾリューションプラス6」だろう。
これは、複数フレーム(前フレーム×2/表示フレーム/後フレームの合計4枚)の相関による精度を高めた超解像技術。一般には“複数枚超解像技術”に分類されるもので、参照フレーム数などに違いはあるが、ソニーの「BRAVIA HX920」シリーズなどの「X-Reality PRO」搭載モデルでも採用している技術だ。
ただし、同じ複数枚超解像技術と言っても、東芝の再構成型(高精細化した映像から元と同じ低解像度画像を再度生成し誤差を修正。これを繰り返して精度の高い高解像度画像として復元する仕組み)に対し、ソニーはデータベース照合型(データベースから似た画像を参照して復元する仕組み)と超解像処理の手法自体が違うので、まったく同様の技術ではない。
3次元という名称は3D映像と混同しそうだが、実はアナログ放送時代に必須だったY/C分離(輝度信号と色信号を分離する映像処理)の時代から、複数フレーム相関型の映像処理を“3次元処理”と呼んでいた。こちらの3次元は時間軸方向の情報を持つ、という意味になる。ちなみに、かつて3次元Y/C分離回路の搭載で一世を風靡したS-VHSデッキを発売したのも東芝だ。
これまでは表示フレーム1枚のみで処理を行なっていたものが4枚に増えるのだから、処理能力の負担も増えるし、映像の解析に必要なメモリーも増える。まさしく、高い処理能力がなければ実現できない機能だ。
一応、3次元フレーム超解像のオン/オフで画面撮影を行なってみたが、映像の違いはほとんど確認できなかった。それもそのはず、説明したように3次元処理は複数枚のフレームを参照して映像処理を行なうので、画面を静止させて撮影するといったやり方では画面に効果がほとんど現われないのだ。
また、従来からの超解像処理はデフォルトで適用されているようで、3次元フレーム超解像がオフでもかなり精細な映像となっていることも、静止画ではほとんど差が出なかった理由だろう。念のため言うと、使っている写真は再生側でSD画質相当にダウンコンバートしたものをレグザでアップコンバート表示したものである。
3次元フレーム超解像の真の威力は、今後登場すると思われる「4K2Kテレビ」のような、ハイビジョン解像度をさらにアップコンバートするような超高精細映像の時代になってようやく発揮される。では、本機における3次元フレーム超解像があまり意味がないのかと言うと、そうではない。
MPEG-2圧縮された地デジ映像は解像度が劣るだけでなく、動きの速いシーンでは情報の間引きによる劣化もある。こうした解像度の劣化を復元し、動画解像度をさらに高精細化するのが3次元フレーム超解像なのだ。
つまり、3次元フレーム超解像では動きの速いシーンなどで確認する必要があるというわけだ。こればかりは読者の方々には「自分の目で確認してほしい」と言わざるを得ないのが心苦しいが、確かに動きの速いシーンでの鮮明さが増し、チラチラと目障りに感じる輪郭部のノイズ感などが少ないすっきりとした映像になっていることがわかる。
動画解像度の向上については、バックライトの進化によるものも大きい。冒頭でも述べた通り、本機のエッジ型LEDバックライトは一般的な上下配置ではなく左右配置だ。横長画面は上下に配置した方が、1個あたりのLEDが光を届ける距離が短いので、画面の周辺と中央で明るさにムラができる“光ムラ”の解消には有利だ。
しかし、LEDバックライト搭載の高画質モデルが採用する、残像低減のためのLEDのスキャニングは、上部分と下部分の2分割でしか行なえず、人間の目(あるいは脳)に残る残像を効果的にリセットしにくいというデメリットがある。
Z2では左右にLEDを配置し、バックライトのスキャニングを5分割(42V/47V型では8分割)で行なうため、映像のリセット効果が高い。ちなみに、2Dモデルである本機の場合は、倍速(120Hz)表示のパネルとこのバックライトスキャニングを組み合わせた「アクティブスキャン240」となっている。
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