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Sandy Bridgeなら新MacBook Proを買え! 第5回

マイクロソフトが注力する「Office for Mac 2011」

2011年04月04日 12時00分更新

文● 海上忍

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起動が速い

 今度のOfficeは、起動速度が大幅に改善されている。初回起動時はフォント登録などの作業のため、十数秒ほどの時間を要するが、2回目以降は数秒もあればOK。Intel Core i5-2415M(2.3GHz)を採用した新13インチ MacBook Proの場合、ExcelとPowerPointはいずれも約3秒で起動した。

VBA(Visual Basic for Applications)マクロ

 特定のCPU向けに書かれたバイナリーコードを異種CPUアーキテクチャに対応することは、容易なことではない。PowerPCからIntelプラットフォームへの移行に伴い、移植が困難ということで見送られていたマクロ(Visual Basic for Applications、VBA)だが、ユーザーからの要望に応える形でついに復活を遂げた。Windows版との互換性も図られているため、会社のマクロ付き文書もMacで利用できるようになる。

Visual Basic for Applications(VBA)のサポートが復活、Windows版との互換性も確保されている

VBA復活のExcel 2011、簡単操作のOutlook 2011

 なんといっても、今度のExcel 2011において最大のニュースは「VBAサポートの復活」だろう。VBAのバージョンはExcel 2003/2007と同等の「6.5」、Windowsにおける最新版Excel 2010との互換性は100%ではないものの、アドイン(xla)など多くのVBA資産を利用できる。ここ数年でMacを使い出したユーザーにとってVBAを利用できないことは痛手だったはずで、その前提条件が満たされたことは大きな前進だ。

 ほかにも、セル内に小さなグラフを作成できる「スパークライン機能」、オンラインからのダウンロードにも対応した種類豊富なテンプレートなど、見るべき新機能は多い。

セル内に収まるグラフを作成できる「スパークライン」がサポートされた

豊富に用意されたテンプレートを利用すれば、請求書や見積書などのビジネス文書もスピーディーに作成できる

 復活を遂げたOutlookも、POP/IMAP対応メールクライアントとして、カレンダー/スケジュールとアドレス帳機能を持つPIMソフトとして、Office 2008のEntourageを大きく上回る機能を備えている。

 最大の変更点は、Microsoft Exchange Serverに使用されるプロトコル「Exchange Web Services」のサポートだ。EntourageもExchange Serverのクライアントとしての機能を備えてはいたが、カレンダーなどのデータ転送にはWebDAVが使用されていたため、一部機能が制限されていた。真のExchange Serverクライアントとなったことで、自宅でも会社でもMacBook Proという可能性が高まったともいえる。

 他のPIMソフトからの移行が考慮されていることもうれしい。Outlookデータファイル(Outlook 2003以降の「pst」に対応)やEntourageのデータをインポートできるほか、MobileMeのセットアップもメールアドレスとパスワードを入力するだけで完了する。Apple Mailやアドレスブック、iCalのデータのほか、CSVファイルを経由すればGoogleカレンダーやGmailの連絡先もインポートできるので、メインのPIMソフトとしてすぐに活用できることだろう。

Windows版Outlookのデータも直接インポートできる

シンクサービスを有効化すれば、iCalとアドレスブックのデータと同期できる(MobileMeアカウントが必要)

リボンが似合う「Word 2011」、
プレゼン上手の「PowerPoint 2011」

 Word 2011の目玉機能が「ダイナミックソート」だ。正確にいえば、Word 2011とPowerPoint 2011共通の新機能だが、Windows版Officeにない独自機能である点に注目したい。

 このダイナミックソートは、写真やテキストなどのオブジェクトがそれぞれレイヤーとなり、直感的な並べ替えを可能にしたもの。写真が多数貼りつけられた文書の場合、重ねる順序で混乱しがちだが、ダイナミックソートの機能を使えば問題は一気に解決する。

重なりあったオブジェクトの順序を把握し、整理できる「ダイナミックソート」

 画像編集機能も強化され、フォトレタッチソフトを起動せずに済ませられるレベルに達している。これまでは画像全体の明るさを調整する程度だったところが、「鉛筆」や「パッチワーク」、「パステル」など22種類のアート効果が追加され、表現力が向上した。

22種類のフィルター(アート効果)が用意され、ちょっとしたレタッチソフトとしても使えるように

 プレゼンテーションソフトの定番「PowerPoint 2011」は、リボンインターフェースの導入などOffice for Mac 2011共通の新機能以外にも、多くの点で強化が図られている。

 最大の変化は、インターネット経由でプレゼンテーションを配信できる「ブロードキャストスライドショー」の追加だ。PPTファイルを所定のサイトへアップロードしてURLを発行、そのURLにウェブブラウザー(Silverlightアドオンが必要)でアクセスしてもらいプレゼンテーションを行なうという流れが可能になる。スライドショーのページ遷移はPowerPoint 2011側(つまりプレゼンする側)から指示できるので、聴衆側はただウェブブラウザーの画面を見ていればいいのだ。

「ブロードキャストスライドショー」の利用には、Windows Live IDが必要

 MacBook Proでプレゼンする場合、VGAアダプターでプロジェクターにつなぎApple Remoteで操作して……というスタイルが一般的だが、このブロードキャストスライドショーではMacBook Proだけを持参すればいい。かなりスマートな使い方と思うが、どうだろう?

プロジェクターはもう古い? プレゼンテーションをウェブブラウザーで見せるのは大いに「アリ」だ


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