RASとCASを使ってアドレスを通知
図1にある「RAS」と「CAS」とは、RASは「Row Address Strobe」、CASは「Column Address Strobe」の略で、アドレス線からどのタイミングでRow/Columnアドレスを取得するかを指示する信号である。
図2は実際の信号の流れを時系列で示したものだ。時間は左から右に流れている。図2と図1を合わせて、時系列でどういった手順でメモリーからデータが読み込まれるかを見ていこう。
- ①CPUがアドレス線にRowアドレスを渡す。
- ②CPUはRASを「Low」にして、Rowアドレスを渡したことをDRAMに通知する。
- ③DRAMはRASがLowになったことを検出。Row Address Bufferがアドレス線からアドレスを取得し、RowアドレスとみなしてRow Decoderに渡す。
- ④CPUがアドレス線にColumnアドレスを渡す。
- ⑤CPUはCASをLowにして、Columnアドレスを渡したことをDRAMに通知する。
- ⑥DRAMはCASがLowになったことを検出。Column Address Bufferがアドレス線からアドレスを取得し、ColumnアドレスとみなしてColumn Decoderに渡す。
- ⑦CASをLowにしてから一定時間後に、DRAMからデータがデータ線に渡される。CPUはこれを取得する。
もっとも、これはかなり端折った説明である。下の画像は実際のDRAMのリードサイクルの一例だが、「tAA」から「tWPZ」まで21ものタイミングパラメータが示されている。これをきちんと守らないと、正しく読み書きできない。
図2をよく見るとわかるが、このやり方ではDRAMをアクセスする効率は、あまりよくない。なにしろアクセスのたびにRow/Columnをそれぞれ送り、それから初めてデータが出てくるからだ。しかも上の画像のように、本当は図2よりももっと細かくディレイが入っているので、実際のメモリー読み込みはかなり遅くなる。
連続した同じRowを一度で済ます
Fast Page Mode
これを解決する方法として最初に実装されたのが、「Fast Page Mode」である。DRAMセルアレイの1Row分(ページ、横方向の並び)をまとめてアクセスするという方法だ(図3)。
一般的にCPUは、メモリーを「完全にランダムでアクセスする」ことは少なく、「連続したメモリーアドレスを順に読み出す」というパターンが多い。例えば最初に「0x100000H」をアクセスすると、次は「0x100001H」「0x100002H」という具合に連続してアクセスするわけだ。この場合、以下のように変化するのはColumnだけで、Rowは変化していない。
アドレス | Row | Column |
---|---|---|
0x100000 | 0x100 | 0x000 |
0x100001 | 0x100 | 0x001 |
0x100002 | 0x100 | 0x002 |
0x100003 | 0x100 | 0x003 |
「そうであるなら、Rowを与えるのは1回でいいじゃないか」という発想が出てくるのは当然である。そこで、例えば図3の赤枠のように、1ページ内のセルを順にアクセスする場合は、図4のようなアクセスを可能としたのが、Fast Page Modeとなる。見ての通り、Rowアドレスを指定するのが1回だけで済むようになった分、読み込みの頻度が上がっている。
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