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基幹系システムとクラウド基盤を担うBladeSymphonyの最新機種

I/Oの柔軟性や長期サポートを深化させた日立「BS2000」

2011年03月28日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田 元

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日立製作所(以下、日立)のクラウド戦略のなかで特に重要な製品となっているのが、サーバー、ストレージ、ネットワークを統合したサービスプラットフォーム「BladeSymphony」だ。エンタープライズサーバ事業部の田村卓嗣氏にBladeSymphonyの最新機種、ハイエンドモデル「BS2000」の強みを聞いた。

コモディティだけじゃない!日立のx86サーバー

 日立のサーバーというと、基幹のハイエンド製品が強いというイメージがある。実際、日立製作所 情報・通信システム社 エンタープライズサーバ事業部ではメインフレームやテクニカルサーバー(スパコン)、UNIXサーバーなど幅広く手掛けており、ミッションクリティカルな現場で数多くの導入実績を誇っている。こうした実績を支えるため、製造工程においても、基板製造や部品搭載、はんだ付けなどの各工程で検査を盛り込んでいるほか、部品や装置レベルの過酷な試験も行なっており、高い品質・信頼性を確実に担保している。「日立グループ全体として、とにかく高信頼なモノづくりを目指しています。部品レベルからきちんと検査して、製品作りを行なっています」(田村氏)。この生産の現場については、以前紹介したとおりだ。

日立製作所 情報・通信システム社 エンタープライズサーバ事業部 事業企画本部 企画部 部長 田村卓嗣氏

 では、出荷台数の多いx86サーバーに関して、他社の後塵を拝しているかというと、もちろんそんなことはない。ブレードサーバーを中心とする統合サービスプラットフォーム「BladeSymphony」や汎用サーバー「HA8000シリーズ」は、数多くの先進的な技術を取り込み、既存のx86サーバーと異なる顧客を開拓しているという。田村氏はBladeSymphonyの誕生について「PCサーバーの市場が拡大してきた2002年頃、今後はサーバーだけではなく、ストレージやネットワーク、管理ソフトウェアまで垂直統合し、一体化しないとx86サーバーは基幹系システムに浸透しないと考えました。そこで、2004年に製品化したのがBladeSymphonyになります」(田村氏)と語る。

日立の基幹系ブレードサーバー「BS2000」

最大10年のサポートと独自の仮想化機構が売り

 このBladeSymphonyの製品群のうち、主力となるブレードサーバーのハイエンドモデル「BS2000」は、基幹系サーバーの技術をふんだんに取り入れた実に日立らしい製品に仕上がっている。

 BS2000は基幹系システム・高信頼なクラウド基盤向けに開発されたブレードサーバー。メインフレームやUNIXサーバーがカバーしてきた基幹系システムをオープンシステムで担うという役割で開発されたBS1000の後継機にあたる。基幹系システムの利用を前提とし、ItaniumからXeonプロセッサーへ移行したことで結果的に同じプラットフォームに載ってきた富士通の「PRIMEQUEST 1000」と似通った設計思想といえる。

 BS2000は10Uのシャーシに、Xeon 5600番台を搭載した標準サーバブレード、Xeon 7500番台を搭載した高性能サーバブレードを搭載できるモデル。複数のブレードをブレード間SMP(Symmetric Multi Processor)ボードを介して相互接続することで、最大8プロセッサー(64コア)、メモリ最大1TBのサーバーとして動作させることが可能だ。また、外付けのI/Oスロット拡張装置を用いることで、ブレードのI/Oも含めて最大72のI/Oカードを用意することができ、拡張性も高い。

ハイエンドサーバーBS2000のラインナップ

 基幹系システムを見据えた特徴として、最長10年のロングライフサポートが挙げられる。BS2000の標準モデルでは標準5年のハードウェア保守だが、ロングライフサポートサービスで7年まで延長できる。さらに「BS2000 Eタイプ」では標準で7年、ロングライフサポートサービスを用いることで、10年のハードウェア保守を実現した。これは保守部品の保存期間の延長やサポート要員の確保という施策だけではない。「気合いやオーバーホールでもたせるわけではなく、データを集めて部品への悪影響を低減するための熱設計を施しました」(田村氏)とのことで、部品レベルで長寿命を実現させるという取り組みを行なっている。具体的にはVapor Chamber構造という独自のヒートシンクを開発し、CPUの排気部の温度を均一化。これにより、部品温度が最大で4℃下がり、長寿命化が実現したという。

 もう1つの特徴は、「Virtage(バタージュ)」という日立独自のサーバ仮想化機構だ。「仮想化やエミュレーションというより、物理サーバーのリソースをハードウェアレベルで論理サーバー(LPAR)に分割し、間の壁を越えられないようにするパーティショニングという技術になります」と説明する。OSからハードウェアに直接アクセスしているパーティションの場合は、LPARとストレージ装置とのI/Oをスイッチングすることで、障害時のフェイルオーバーやマイグレーションを可能にしている。通常の仮想化やエミュレーションと異なり、物理サーバーと同等の処理性能が実現できるほか、システム設計も仮想化を意識しないで済むという特徴がある。ストレージ装置の高度な機能やHA、バックアップなどのシステム設計ノウハウをそのまま利用できる。

日立独自のサーバ仮想化機構「Virtage(バタージュ)」

 Virtageはハイエンドモデルの「BS2000」だけではなく、中規模向けの小型高集積モデル「BS320」でもサポートしている。BladeSymphonyの大きな差別化ポイントといえる。

 もちろん、VMwareやHyper-Vなどの仮想化ソフトウェアも利用できる。これらの仮想化技術では物理サーバーのハードウェアが異なっていても、その上の仮想サーバーでは違いを隠ぺいできるため、ハードウェアの障害時でも仮想サーバーを別の物理サーバー上で再起動させることが可能だ。

最大32サーバーで128のI/Oボードを組み合わせられる

 そして、BS2000の拡張性・柔軟性をさらに高めたのが、2010年7月に発売されたBS2000fxである。「ハイエンドのUNIXサーバーに対して、x86サーバーはI/Oの柔軟性が低いという不満がありました。これに対して、当初は外付けの拡張ボックスを直接つないでいたのですが、BS2000fxではこの接続をスイッチ化しました」(田村氏)。つまり、BS2000fxでは、これまでPCI Expressブリッジを用いて固定的に接続されていたシャーシとI/Oスロット拡張装置との接続をPCI Expressスイッチで行なう。この仕組みのおかげで、シャーシ4台で8台のI/Oスロット拡張装置を共有することが可能になった。最大32のサーバーと最大128のI/Oボードを柔軟に割り当られるという、既存のブレードサーバーを凌駕する高い拡張性を実現したのだ。

BS2000の拡張性・柔軟性をさらに高めたBS2000fx

 さらに1台のサーバーの障害時に自動的に予備機を立ち上げるN+1コールドスタンバイも進化し、異なるI/O構成のサーバー間でも予備機を共有できるようになった。「今までは同一I/O構成の予備機を用意する必要がありましたが、BS2000fxでは本番機に接続されていたI/Oを予備機に切り換えて立ちあげることができます」(田村氏)。また、異なる物理サーバー間でLPARを転送するI/O継承 LPARマイグレーションという機能もサポートされ、より柔軟なリソース活用が可能になった。

 ハイエンドのx86サーバーの市場が伸び悩んでいるという分析もあるが、「メインフレームやUNIXサーバーのオープン化への移行で、必ず市場は拡がると見ています」(田村氏)と力を込める。とはいえ、それなりに高価なブレードサーバーをいきなり導入するのは難しいということで、BS2000 Eタイプではあらかじめ搭載したCPUとメモリを必要に応じて有効化するCoD(Capacity On Demand)の取り組みも行なっている。x86ブレードサーバーでは珍しい試みだが、小さく始めて大きく育てることも可能になるという。

 基幹系システムのほかに、BS2000にはクラウド基盤を担うサーバーという役割も持っている。「実際、日立のHarmonious CloudでもBS2000が数多く動いています」(田村氏)とのことで、日立のクラウドを支えるまさに基盤となっている。

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