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柳谷智宣の「真似したくなるPC活用術」 第56回

災害時の情報収集や情報伝達にITを活用する技

2011年03月15日 12時00分更新

文● 柳谷智宣

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メールやTwitterでの情報伝達

 メールやTwitterも家族や知人とコンタクトを取る有力な手段だ。回線の混雑によりメール配信は遅れ気味ではあるものの、情報の伝達自体には問題ない。Twitterなら、多数の人に向けて同時に情報を発信できるのが便利だ。またTwitterは知人同士がフォロワーになっている場合が多いので、特定の人物の安否を伝達するのに役立っている。多数のフォロワーを持つ有名人のところには、専門家からの情報が集まり、有益な情報が提供されている。

 東日本の電力が不足するため、みんなで節電しようと「エヴァンゲリオン」のネタにちなんだ「ヤシマ作戦」のツイートは、ものすごい勢いで広がった。節電の方法や停電時の対処法なども伝わり、「浮いた電気代を寄付しよう」という前向きな意見も出ている。このあたりはTwitterのパワーを感じられるところ。

 ただ注意したいのが、デマや意味のない情報も同時に広まっている点だ。多くの人が今回の災害に関するチェーンメールやリツイートを目にしていると思う。そしてこうした情報を知人宛にメールしたり、TwitterでRTをしている人もいるだろう。本当に有用な情報ならいいのだが、デマもたくさん流されているので落ち着いて見極めてから、メールするなりリツイートする必要がある。

 例えば、千葉県市原市の製油所火災に絡めて、「有害物質が雨に含まれて落ちてくるのでレインコートを持参しよう」といった内容のツイートがあった。これは捏造で、火災の起きた製油所を運営していたコスモ石油は、「このような事実はありません」という内容のお知らせをウェブサイトに掲載した。

 東日本の電力不足に絡め、関西での節電を呼びかけるチェーンメールも出回っている。実際には送電能力の限界により、西日本での節電は不要なのだが、勢いよく広まっている状態だ。そのほかにも、有名人が亡くなっただの外国人の犯罪が起きていると煽るなど、悪意のあるデマも多い。現場から助けを求める悲痛なメッセージを偽造する輩もいる。しかも文面がよく練られているので、ネットに慣れていない人は簡単に信じてしまいがちだ。

 Twitterやメールの文面を拡散する前に、その情報を本当に自分が拡散する必要があるのかどうかを考えてほしい。また情報を収集する際も、一般ユーザーのツイートではなく、信頼性の高いソースを直接参照することをお勧めする。

災害情報を確認するのに適したTwitterアカウント
首相官邸(災害情報)
総務省消防庁
防災科学技術研究所
NHKニュース
気仙沼市危機管理課
岩手県広聴広報課

 地震発生後、Twitterやブログへの書き込みが元で炎上している人もいる。本名を公開しているユーザーや企業アカウントでの書き込みをする場合は、細心の注意が必要だ(これは平時でもだが)。個人でも、誕生日やホワイトデーなど、地震と関係ない書き込みをするだけで噛みつかれることがある。フォロワーやSNSの友人に向けて発信したつもり情報でも、ネットに投稿したら漏洩する可能性はあるので、発言には注意してほしい。

 例えばいくつかの企業では、数社の採用担当者などが誤解を招く情報発信を行なっている。今後の火消しに苦労することだろう。企業は被災者に最大限配慮した対応を取り、イメージを向上させたほうがいい。

 逆に一般のユーザーに伝えたいのは、被災地以外に住んでいる人たちは、通常の生活を営むことも大切ということだ。日本全体がネガティブになってはいけないし、経済を停滞させたり、防災グッズを根こそぎ買いあさる必要もない。他人の発言に過剰反応するよりは、自分ができることにポジティブに取り組むほうが建設的だ。

もちろんウェブサイトも貴重な情報源

 電力会社や交通機関、病院、省庁などのウェブサイトも信頼性の高い情報ソースとなる。GoogleやYahoo!は、これらのリンクに加えて、避難場所や最新ニュースなどをまとめたウェブサイトを設置している。幅広い情報が手に入るので、ポータルサイトとして利用しよう。

Facebook 東北・関東大地震情報交換コミュニティ

東北地方太平洋沖地震に関する情報サイト
Google 東北地方太平洋沖地震 関連情報まとめページ
Yahoo! 地震・津波災害に関する情報まとめページ
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