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Y2×VOCALOID CAFEレポート

秋葉原と六本木が一つになる日は近い(のか?)

2011年03月04日 12時00分更新

文● 盛田諒/ASCII.jp編集部

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五線譜にできない新しい音の単位「sonote」

―― さて、sonote technologyなんですが、これは?

杉井 「オーディオデータの中から、グッとくる音を抽出する技術」です。そのグッとくる音が、sonote。iPhoneアプリ「Sonote Player」は、自分が好きな音楽から「グッとくる」部分を抽出し、類似した特徴を持つ音と入れ換えて、原曲とニュアンスの違う音楽として聴けるというものです。バスドラムの「ボウン!」という音があったとしたら、同じような系統で違う音に入れ換えられる。

―― 文字で説明すると難しい! そんな技術をなぜ作ったんですか?

杉井 デジタルオーディオが普及し、個人が持っているデータはどんどん増える一方で、それが大量にあるだけでは満足できない人たちがいることが分かりました。コンピューターのパフォーマンスも格段に上がってるのに、音楽はまったくそれを活かせてなかったと思うんですよ。今はせいぜいDTMソフト上の作業くらいじゃないですか? その高い計算能力をフル活用して、大量のオーディオをただ聴くだけじゃなく、もっと面白く使うことができる楽しむための技術を作りました。

Sonoteメイン画面。オレンジとブルーのバーが抽出された音色で、下のEQのようなボタンを押すと別の音に変わる。右の写真で言うと赤いところが操作される音声、緑のところが操作するボタン

―― ここでの発表はiPhoneアプリですが、sonoteという技術そのものが重要なんですね。

杉井 技術というか、音の「単位」ですね。これまでの音楽の、「音符」という単位をベースにした五線譜に書かれている世界とは違う世界にある音楽なんですよ。将来的にはうちの楽器にはすべて当たり前に入っている状態にしたいなと。

―― 「グッと来る」がコンセプトですが、開発のきっかけは何だったんでしょう?

杉井 「音楽って何がいいんだろうって考えると、グッとくる音があるからだよね」っていう話をしていたことがあったんですよ。入社1~2年目の新入社員と。「じゃあお前、そのグッとくるって何なんだ」ってことになって。その後さんざん研究を重ねた結果、その「グッとくる音」は、いくつかの種類に分けられるんじゃないかという結論になったんです。

 開発に協力してくれたミュージシャンが、「メロディには興味がない」と言っていたことがあって。メロディではなくて、音楽の質感に興味がある。(同じ曲でも)スーパーで流れている音楽とオリジナルの音楽は、全然違うわけじゃないですか?

 音楽というのは本来、ミュージシャンが目の前で演奏するものだったわけです。それを再現性があるように譜面にして、「それが音楽だ」と言われていた。でもsonoteならもっと面白いことになるんじゃないの? って話なんです。

デモライブではiPhone2台を並べてミキサーにつなぎエフェクターのように使っていた

―― なるほど。今回はiPhoneアプリでしたが、楽器としても出すことになるんでしょうか?

杉井 sonote technologyは、オーディオデータを音として扱うためのベーシックな技術ですから、さまざまな電子楽器に適用できます。たとえば、TENORI-ONもsonoteを使用した楽器として扱えます。オーディオデータを扱うというところは電子楽器なんですが、フィジカルな面白さも残したいと思っているので、そこが課題ですね。

(次のページに続く)

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