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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第89回

ネットは「使う側」に立つのが面白い――IT戦士のスタンス

2011年03月08日 12時00分更新

文● 古田雄介(@yskfuruta

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入社1年目に「クリスマスの人」として大ブレイク


―― そして2003年からITmedia Newsで記者活動に入ったわけですが、いきなり2003年末に書いたクリスマス記事で大ブレイクしましたね。

岡田 当時、普段の仕事が本当に何もできなくて。どうしたらちゃんとできるかと悩む中で、上司の小林伸也からあの仕事の指示が来たんですよ。真面目な記事は全然ダメだけど、こういうネタなら少しは評価されるかなと思って書きました。苦し紛れ以外の何物でもなかったんですが、反響があってホッとしたのを覚えています。でも、感覚的にはマイナスからゼロに戻れたかもというくらいでしたね。ほんの少し会社に貢献できたかなと。

2003年12月25日アップの「やっぱりキミは来なかった 「線メリ」と過ごすひとりきりのXmas」。イーレッツのUSBトイ「線上のメリークリスマスIII」を自虐的にレビューして、岡田氏の名前をネット界隈に知らしめた


―― 大ブレイクの反動で、何を書いても「クリスマス記事のIT戦士」的な見方をされるようなことはありました?

岡田 確かに、年に1回くらいしかああいう記事を書いていないのに「クリスマスの人」みたいになっちゃいましたからね(笑)。でも、毎日上司から「この記事書け」と指示されるので仕事が偏ることもなかったですし、そう見られるのも全然嫌ではなかったです。とくに当時は本業に自信がありませんでしたから、余計に。ただ、私としては「キャラクター記者」として個性を発揮しよう、生きていこうと思ったことは一度もなくて、普段の仕事の休憩的な気持ちで書いています。本当、土日に書いたりしていましたし。

 

―― キャラクター記者になったのは、上司の意向が強そうですね。

岡田 かもしれません。ちょうど私が入社する前に、中村琢磨さんというキャラクター記者の方が退社されたので、新卒の若い女性はちょうど新たなキャラとしてよかったのかもしれません。

 やはりインターネットメディアは男性人口が多いから、若い女性というだけで注目度が急上昇するんですよ。ちょっといじられて、何かあっても女の子だから許される的な。そういう意味では女で得したとは思いますね。実力だけだったら、絶対いまの評価はされていなかったですから。


―― 記者活動を続けるうちに、「本業」の活動でも岡田さんのカラーが光る部分が見られるようになってきました。個人的に印象に残っているのは2つあるます。ひとつは、2006年7月のインタビュー記事「ブログでも2chでもない「市民新聞」とは――オーマイニュース鳥越編集長に聞く」で記事の表現の誤りを指摘する鳥越氏の主張に、取材テープの内容を公開して真っ向から反論したこと。もうひとつは、業界全体でSecondLifeプッシュが続いた2007年7月に「Second Life「不」人気、7つの理由」という記事をアップしたことです。これらは岡田さんの意志で行なったんですか?

岡田 あまり昔のことは覚えていません(笑)……ですが、確かに自分の考えを汲んでもらって、いつも自由に活動させてもらったと思います。おそらく企業体の社風以上に、上司の小林の存在が大きかったですね。「全部俺が責任取ってやる」的な雰囲気の中でやらせてもらいましたから。それに、私単独署名の記事でも、小林と一緒に練ったり、小林が大幅に加筆・修正をしてくれたものも多いんですよ。SecondLifeの記事はまさにそれですね。

(次のページに続きます)

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