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旧ライセンスを有利な条件で新バージョンに交換できるプログラムも開始

個人端末を業務で使う「BYO」を推進するシトリックス

2011年02月28日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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2月25日、シトリックス・システムズ・ジャパン(以下、シトリックス)は、2011年の戦略発表会を開催した。同社の成長を下支えするデスクトップ仮想化をより推進し、個人所有の端末を業務利用するBYOのコンセプトをアピールしていく。

511%の急速な成長を遂げたデスクトップ仮想化事業

 発表会でシトリックス・システムズ・ジャパン代表取締役 マイケル・キング氏は、2010年のハイライトと2011年のビジョンについて説明した。

シトリックス・システムズ・ジャパン代表取締役 マイケル・キング氏

 まず2010年は、18億7000万ドルという過去最高の売上を達成したという。XenDesktopを中心にしたデスクトップ仮想化の分野においては、業界トップの地位を確立したという評価を受け、XenServerを中心としたクラウドやNetScalerなどのネットワーク分野でも確実に成長を遂げられたという。日本市場においては、国内顧客数が2万3000社を超え、特にXenDesktopは511%という急速な販売成長率を実現したとのこと。また、マイクロソフト、シスコシステムズ、そして富士通とのアライアンスを進めたほか、IIJ GIOやソフトバンクテレコムのホワイトクラウドなど幅広いクラウドサービスで採用されたという。

 2011年も同社は「どの端末でも、どこでも、同じ環境で」仕事ができる環境を追求する。たとえば、昨今は1人の人間が家庭用PC、会社のPC、タブレット、スマートフォンなど数多くの端末を使っている状況だ。シトリックス最新の調査によると、「平均で3台の端末を用いている」(キング氏)という。これに対しては、個人所有の端末を業務で利用する「BYO(Bring Your Own)」のコンセプトを強力にアピールし、シンクライアントやデスクトップハイパーバイザーであるCitrix Receiverの導入を進める。

1人3台の端末を持つBYO(Bring Your Own)の時代へ

 また、デスクトップ仮想化を推進するパートナープログラムを実践し、キャンペーンや新ライセンス形態、認定プログラムの提供などを推進していく。さらに同日、ユーザーが利用しているXenApp/XenDesktopなどの製品の最新版への移行を支援する「XenDesktop Trade-up」を発表した。ソフトウェア更新サービス(Subscription Advantage:SA)が失効したライセンスを交換する際にも割安な料金が適用される。

マーケティング&ビジネスディベロップメント本部 本部長 伊藤利昭氏

 続いて、マーケティング&ビジネスディベロップメント本部 本部長 伊藤利昭氏がこうした新しいワークスタイルを実現するための「Virtual Computing」の概念について解説した。Virtual Computingでは、ビジネスの変化に迅速に対応するための迅速性を提供するほか、いつでも、どこからでもというアクセス環境を支えるセキュリティとコントロール、そして前述したBYOを実現する。BYOに関しては、「これから若い世代は自分の気に入ったデバイスを業務で使いたいというニーズが高くなってくる。自分のデバイス用のアプリケーションとサポートをセルフサービスするという形が増えてくる」(伊藤氏)と述べる。

デスクトップ仮想化を包括的なソリューションとして展開

 具体的には、まずデスクトップの仮想化を最適化する包括的なソリューションの提案を進める。クライアント側のXenDesktopはもちろん、認証やアクセスを行なうAccess Gateway、あるいはWAN高速化やアプリケーション配信を実現するNetScaler、そしてサーバー仮想化のXenServerなどの製品を組み合わせて提供していく。また、クラウドの分野では、ベンダーの囲い込みのないオープンなクラウド環境を実現する「Citrix OpenCloudプラットフォーム」を推進するという。

 発表会の内容は、昨年後半からのメッセージを踏襲しており、同社の核であるデスクトップ仮想化への力の入れ方が伺えた。数万規模も出てきたユーザー事例の充実、Citrix Receiverのモバイルデバイスへの展開、あるいはデスクトップ配信サービスであるDaaSは、2011年の注力分野といえそうだ。一方で、仮想化・クラウド事業に関しては、XenServerのダウンロード数の伸び等やマイクロソフトとの提携などが説明されたものの、全体として言及が少なく、まだまだ投資分野であることが明らかになった。

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