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スイッチでデータセンターが変わる 第55回

10GbEの雄がデータセンター市場で再び暴れる

40GbEと低遅延で差別化!フォーステンのToRスイッチ

2011年02月18日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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2月17日、ネットワーク機器ベンダーのフォーステン・ネットワークス(以下、フォーステン)は、新製品および製品戦略を説明する発表会を行なった。10GbE製品が一般化してきた昨今、同社はいち早い40GbEへの対応やデータセンター向けのフューチャーで差別化を図る

さまざまなニーズのデータセンターに対応する

 発表会において、米フォーステン 最高マーケティング責任者のアーピット・ジョシブラ氏がグローバルのマーケットトレンドを、そしてアライアンス担当バイスプレジデント マイケル・オブライアン氏が会社概要と新製品の詳細について解説した。

米フォーステン 最高マーケティング責任者のアーピット・ジョシブラ氏

 フォーステンは10GbE(10 Gigabit Ethernet)の高密度スイッチをいち早く市場に投入したベンダーで、データセンター向けのEthernetスイッチにフォーカスしている。当初はシャーシ型スイッチを中心に投入していたが、昨今はToR(Top of Rack)と呼ばれるラックの一番上に置かれる高密度なボックス型スイッチも展開している。同社のスイッチはFTOSというOSで制御されており、昨年発表されたOpen Automation Frameworkにより、仮想マシンや仮想デバイスとの自動構成なども実現している。

 アーピット氏によると、こうした同社のデータセンター向けスイッチは、昨今の仮想化やクラウド、集約化、コスト削減などのトレンドに応えるという。フォーステンは集約型、HPCなどの特化型、仮想型、エンタープライズ、HPCからクラウド、サービスプロバイダーといった6つのニーズの異なるデータセンターをカバー。グリーンITに関してもいち早く取り組み、第三者機関によるテストでも競合製品に比べてもっとも低い電力消費量を実現しているとアピールする。

40GbE、大容量バッファ、超低遅延など特徴が満載

 今回新たに投入されるのは、Force10 Sシリーズというボックス型の1/10Gbpsスイッチの3機種。同社がコアスイッチとして置き換えを狙うToRスイッチである。

今回投入されるForce10 Sシリーズ

 S4810はハイパフォーマンスな1Uスイッチで、48ポートの10GbEポートのほか、40GbE QSFPを搭載する。また、インターフェイスの大容量化とともに1.28Tbpsというスイッチング容量も実現。700nsという超低レイテンシなスイッチングを実現するほか、複数のスイッチを束ねる仮想化技術もサポートする。さらに、信頼性の高いストア&フォワードと遅延の少ないカットスルーの転送モードをコマンドライン1行で切り替える「Alternated Store and Forward」を搭載する。

ストア&フォワードとカットスルーを切り替えるAltenated Store and Forward

 製品の詳細について解説した営業統括本部 システムエンジニアリング事業部 シニアシステムエンジニア 池田 豊氏は「同じキャパシティで比較すれば、シャーシ型のスイッチに比べて、スペースや消費電力が大幅に削減できます。シャーシ型スイッチの高い信頼性を否定するものではないですが、コアスイッチとしても十分使えると思います」と語る。具体的には複数のS4810をメッシュ状で接続し、ECMP(Equal Cost Multi Pass)を用いて、大容量クラウドバックボーンを構築できる。今後はTRILLのようなレイヤ2のマルチリンクもサポートする予定。

営業統括本部 システムエンジニアリング事業部 シニアシステムエンジニア 池田 豊氏

大容量のバッファを搭載し、パフォーマンスを向上するDeep Buffering

 S60は1Gbps対応の1Uスイッチで、44ポートの1Gbpsポート、4ポートのSFP、そして2スロットの拡張モジュールを持つ。最大の特徴は大容量のパケットバッファを持つこと。通常2M~10MB程度だが、1.25GBという容量を持つという。入力トラフィックが多く、出力帯域が小さくトラフィックがバーストする場合、あるいはサーバーでフローコントロールがオンになっているがために、スイッチ側でバッファリングする必要があるケースに効果を発揮するという。3機種目のS55は、S60から大容量パケットバッファをのぞいた1Gbps対応のスイッチで、ポート数等はS60と同じ。

 3機種ともIPv4/v6のルーティングに対応。サーバーと同じ前面吸気・背面排気を採用するほか、冗長電源モジュールを搭載可能。また、SFP/SFP+/QSFPのオプティックスに関しては低価格な他社製のメディアが使えるという。

発表会の会場に並んだ新しいToRスイッチ

 こうしたToRスイッチは他社も続々投入しているが、フォーステンではデータセンター向けの40GbEや実績の高いソフトウェア、グリーンで電力も低く、自動管理も可能なTCOという3つの観点で大きな差別化が図られている。「100Gbpsの要望もあるが、現状のデータセンターでは、40Gbpsのほうが使い勝手やコストがよいと思います」(池田氏)と述べている。とはいえ、100Gbps製品の開発も進められているほか、10GbEスイッチに関しては銅線を使った10GBASE-Tをサポートする製品の投入も予定されている。

フォーステン・ネットワークス代表取締役社長 林田直樹

 日本法人は2002年に設立されており、長らく営業活動を中心に行なってきたという。昨年、代表取締役社長に就任した林田直樹氏は「最初に10GbEの製品を出したということで記憶もある方も多いでしょうが、その後のマーケティング活動も活発とはいいがたかった。しかし、ここに来て需要にあう他社と差別化できる製品が出てきた」ということで、今後は2年間で3倍の売上を目指すという。

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