個人事業主やフリーランスとして働く際、とにかく面倒なのが確定申告である。
1年間の収入や支出を計算して所得を計算し、それを記載した申告書を税務署に提出するというもので、この内容によって所得税額が確定される。
この確定申告は基本的に翌年の3月15日(ただし休日にあたる場合は繰り下げられる)までが申告時期と定められており、たとえば2010年分であれば2011年の3月15日までに行なうことになる。
この確定申告で重要になってくるのが、白色申告と青色申告の選択である。
白色申告は記帳義務がなく(ただし300万円を超える場合は記帳義務が発生)、決算書はシンプルな収支内訳書でよいため、申告書類の作成の手間が少ないというメリットがある。
一方青色申告の場合、原則として仕訳帳や総勘定元帳、固定資産台帳、現金出納帳などといった帳簿を記帳する必要があるほか、損益計算書(P/L:Profit and Loss Statement)や貸借対照表(B/S:Balance Sheet)といった決算書を作成しなければならない。
これらの書類の作成には複式簿記の知識が求められる上、作成にも手間がかかる。
そのため白色申告を選ぶ個人事業主は多いが、青色申告をすればいくつかのメリットを得られるのだ。
具体的には、最高で65万円もの特別控除が受け入れられるほか、家族への給与を必要経費として処理することが可能、減価償却の特例が受け入れられる、そして赤字損失分を3年間繰り越せるというものである。
こうしたメリットの中でも特に大きいのは65万円の特別控除だろう。
所得税は収入から支出を差し引いた所得に対し、所得ごとによって定められた計算式(たとえば所得が195万円超330万円以下の場合、単純計算で所得×10%-9万7500円)が適用される。
もし所得が300万円だった場合、特別控除がなければ税額は25万7250円である。一方、65万円の特別控除を受けると19万2250円と、約6万円もの差が出るわけだ。
ただ、前述のとおり青色申告をしようとすると、さまざまな帳簿を作る必要があるためハードルが高い。
そこで活用したいのが青色申告に必要な書類の作成を手助けしてくれる、青色申告ソフトと呼ばれるアプリケーションだ。
現在さまざまな製品がリリースされているが、その1つとしてBSLシステム研究所からリリースされているのが「青色申告らくだ2011」である。
個人事業主向け会計ソフトとして必要な機能を網羅
青色申告らくだ2011は、白色申告と青色申告の両方に対応した、個人事業主やフリーランス向けの会計ソフトである。
青色申告で65万円の特別控除を受けるために必要な書類を作成することが可能なほか、NTTデータが提供している「電子申告の達人2011(個人納税者用)」が同梱されているのも特徴となっている。
では実際の利用の流れを見ていこう。インストールして起動した後、まずデータを保存するためのデータファイルを作成する。
初めての場合は「新規のデータファイルを作成する」を選び、事業者名や申告の種類(一般用、不動産用、一般不動産兼業用)、会計年度の設定などを行なっていく。
なお法人の場合は、決算月を自由に設定できるが、青色申告らくだ2011は個人事業者専用のため、決算月を変更することはできず、必ず1月1日から12月31日が会計期間となる。
続けて勘定科目や補助科目に割り当てる、検索コードとしてローマ字か数字のいずれかを指定する。
以前の会計ソフトは数字を勘定コードに割り当てるケースが多かったが、ローマ字の方が分かりやすければそちらを設定すればよい。
その後、消費税や課税方式、税区分の設定、経理方式、入力する年の1月1日時点での現金や預金、売掛金、買掛金の入力などを行なっていく。
さらに使い始める前に預金口座や得意先、仕入先を登録しておく必要がある。登録は科目台帳から登録する方法と、帳簿を開く際に登録する方法の2種類が用意されている。
記帳を行なう際に指定する、勘定科目の設定も必要だ。
メインメニューの「台帳」タブ内には「科目台帳」という項目があり、これを開くと科目台帳が表示される。
ここで画面下の「新規」ボタンを押し、小分類を入力すれば大分類や中分類が自動的に設定される。さらに名前とコード、貸借区分、税区分を指定すれば科目の登録は完了だ。
ここで補助科目を登録することもできる。
たとえば複数の口座を使っている場合、「普通預金」という勘定科目に対し、それぞれの銀行の補助科目を登録しておく。
これにより、銀行ごとの残高を管理するといったことが可能になるわけだ。