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目黒の住宅地にあるスパコン跡地に出現!

商店街を抜けると、そこは排熱型データセンターだった

2011年02月08日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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なぜこの住宅地にデータセンターがあるのか?

第1期のデータセンターの入っている建物

 とはいえ、なぜこの目黒の閑静な住宅地にデータセンターがあるのだろうか? 当然ながら理由がある。実は、この建物は以前、ある大学の教授が流体力学研究所として利用していた場所で、今回データセンターが設置された場所にはスーパーコンピュータが何台も設置されていたのだという。残念ながら、この研究所自体は移転してしまったが、敷地と建物を買い取った日本ラッドにより、データセンターとしてよみがえったというわけだ。こうした経緯から、電力面や耐震性などはまったく問題なく、データセンターとしての要件は満たしている。

日本ラッドの排熱型データセンターの内部概要図

 さて、実サービス用のデータセンターは図のとおりとなっている。外部に突き出たダクトから吸気し、逆側のダクトから排気するという構成は実験時と変わらないが、ラックは全部で3列分用意された。1列の場合は吸気と排気で2分割という構造でOKだが、3列ラックが並ぶと、吸気と排気をうまく考えないと、熱の逃げ場がなくなる。また、イチからの構築ではなく、既設の建物を改築して利用するため、おのずと構造が制限される。その結果、岡田氏曰く「苦肉の策」というやや複雑なエアーフローになっているわけだ。以下、写真で見ていこう。

一見すると普通のサーバーラック背面はこのように排熱用のファンが並んでおり、ダクトから排気している
中央の列の一部はまだラックが設置されていない状態
こちらのサーバーラックは右側から吸気される右側のダクトから吸気し、ファンで左側のサーバーラックに送り出す
左からサーバーラックと通路、ファンの付いた隔壁、吸気区画
Atom搭載のNECの「Express5800/E110b-M」など省エネサーバーを用意吸気側のファンのコントローラ。操作方法もシンプルそうだ
建物に備え付けられた吸気側のダクト。吸気側のフィルタは汚れるという反対側にある排気側のダクト。2基とも巨大だ

コスト削減時代の異端児が破る原価の壁

 3階は監視センターのほか、ネットワーク機器などが格納されている部屋が用意されている。ここでのサーバールームも吸気と排気とで区画が間仕切りされた構造になっている。

データセンターの上階にある監視センター
排気側に設置されたラックにはネットワーク機器が搭載されている隔壁の中へ外気を取り込みファンで送り込む

 スーパーコンピュータが設置されていたとはいえ、既存の建物を改造したため、なんとも手作り感が漂うデータセンターだ。もちろん、これを見て「チープ」と感じる人もいるだろう。確かに、耐震性やセキュリティに贅を尽くしたデータセンターも必要だ。しかし、今後起こるクラウド(特にインフラ部分)のコスト競争を考えれば、この「エコロジー&コモディティ」の形はありだと思う。完全外気冷却という技術面はもちろん、多くのデータセンター事業者が頭を悩ます「原価の壁」をブレイクするチャレンジとして、今後の同社の取り組みには注目していきたい。

初出時、流体力学研究所自体が閉鎖されてしまったと記述しましたが、移転して現在も活動を行なっている旨連絡をいただきましたので、お詫びして訂正させていただきます。本文は訂正済みです。(2011年6月23日)

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