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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第46回

NHKの本気!ボカロラジオ「エレうた」の高き志

2011年02月05日 12時00分更新

文● 四本淑三

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世代を超えた何かが音楽の世界にもあるに違いない

―― これは相当に注目度の高い番組になりそうですね。

川上 ラジオのフットワークの良さをフルに活用していきたいんです。ラジオに限らず、テレビも含めて、クロスメディアチックにやっていきたいな、とは思っていますけど。

橋浦 すでにTwitterではかなり話題になっていますよね。「NHKでボカロ専門番組やるのー! えー!」みたいな。

―― まさにそういう感じでわれわれもお邪魔しているわけです。ネット上にはボカロ専門のWebラジオはいくつもあるんですが、例えば「VOCALOID聴き専ラジオ」(関連記事)はご存知ですか?

「VOCALOID聴き専ラジオ」

橋浦 ええ、存じ上げております。あれは土曜午後11時の番組ですよね?

―― うまいタイムテーブルになっていると思いますね。

橋浦 だから我々の番組の後に聴いていただく感じですよね。こないだも某民放の番組のプロデューサーさんが出られてましたよね?

―― やはり聞かれているんですか?

橋浦 ええ、その辺は抜かりなく。自慢じゃないですが、最もVOCALOID楽曲を聴いているNHKのプロデューサーであると自負していますから。8月の特番で、Treowさんの「Blindness」をかけたんですよ。あの変拍子のヤツ。そしたらね、2ちゃんねるに「この番組のスタッフ分かってるな」という反応が返って来てて。もう、してやったりですよ。プロデューサー冥利につきます。

2ちゃんねるに「この番組のスタッフ分かってるな」という反応が返って来てて。もうしてやったりですよ(橋浦さん)

―― 聴取者的に言うとNHKはradikoに入っていないから、実際に電波の入るAMラジオを用意しなきゃなあ、という問題もありますよね。

橋浦 それは「すみません」としか言えません。すみません。視聴者の方がTwitterなんかで「radikoに入ってないよなあ」なんてつぶやいていたり、「ラジオは雑音多いよね」と言われているのは知っていますが、私が言えるのはそれだけです。

―― Podcast化の予定とかは?

橋浦 それも今のところなんとも言いようがないです。

―― 分かりました。では最後に、個人的にお好きなボカロPはいらっしゃいますか?

橋浦 ryoさん、kzさん、cosMo@暴走Pさんですとか、treowさん、DECO*27さん、sasakure.UKさん、ryuryuさん(びにゅP)ですね。あとはmojoPさんとか、たくさんいらっしゃいます。そこはごく一例ということです。

―― 普段どんなふうにボカロ曲をチェックしてます?

橋浦 私はJ-POPは聴かないんですけど、週刊ボーカロイドランキングは見ています。sippotan氏がやっているアレです。あの方もお仕事持ちながら大変だと思うんですよね。あと、MMDはできるだけ見るようにしてます。あれは、ある期間を経て優勝とか決まるじゃないですか。あれは神ですね。「ネ」で「申」の世界ですね。

「ネ」で「申」の世界ですね(橋浦さん)

MMD : MMD杯のこと。MikuMikuDanceを使ってテーマに沿った動画を制作し、ポイントを競い合う大会。

―― そういう「ボカロ曲がいま来てる」という実感はどの辺で?

橋浦 去年のオリコンでEXIT TUNESのアルバムが徳永英明さんを押さえてナンバーワンになったとか、ゲームセンターでミクのゲームに並んでいたりという、そういう現象ですね。私はいま53歳ですけど、私の心にさえ響く曲がある。ジミーサムPさんの「Starduster」とか。

 あれは、はやぶさが帰還するニコ生の中継が終わったときにかかった曲ですけど、それを聴いて、この人はまあ何てよくはやぶさのことを分かっているんだろうと。それを選曲するニコニコ動画のスタッフも素晴らしいし、あの曲を作った方も素晴らしい。そういう世代を超えた何かが音楽の世界にもあるに違いないと、私は信じています、今でも。

―― 同じメディアとしてニコニコ動画にジェラシーを感じたりしませんか?

橋浦 感じません。だって、我々のほうが追っかけているんですよ。当然向こうのほうが先輩格ですから。

―― じゃあ、負けられないぞと。

橋浦 いえいえ。最初から負けてますから。

―― そんなに下手に出ていいんですか?

橋浦 「志は高く、腰は低く」が私のモットーですから。いい音楽をみんなで楽しみたい。それが私の志です。



著者紹介――四本淑三

 1963年生まれ。高校時代にロッキング・オンで音楽ライターとしてデビューするも、音楽業界に疑問を感じてすぐ引退。現在はインターネット時代ならではの音楽シーンのあり方に興味を持ち、ガジェット音楽やボーカロイドシーンをフォローするフリーライター。

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