荻窪圭の“這いつくばって猫に近づけ” 第185回

世田谷の住宅街で生きる猫たち

空き家には猫がいっぱい!?

たくさん止まってる車の下や脇で2匹が日向ぼっこ中。安心してくつろげる場所らしい（2010年12月 ソニー NEX-5）

　「こっちにもいるわよ」とおばあさんが言うので行ってみると、自動車修理工場っぽいところで2匹の猫が日向ぼっこしていた。

　どうも、そこの人が猫好きで、追い出すでもなく好きにさせているらしい。だから猫も安心しているのだ。「車を動かすときはいつも猫がいないか最初に確認しているんです」とのこと。

　白黒猫の方はまだ若くて、人の姿を見つけるとごろごろ転がったり、伸びしたり、ストレッチしたり（前ページの冒頭写真）。

　やっぱ猫は見ているだけで面白い。

　後日の夕刻、偶然近くを通りがかったので歩を緩めて猫を探してうろうろすると、聞き覚えのある声がする。声の主を捜すと、くたびれた家の門の向こうにちょこんと座ってた。同じ猫だ。

くたびれた家の門の中でじっとこちらを見てる。門番の様でもあり、誰かがくるのを待ってるようでもあり。よく見ると耳が欠けてる（2011年1月 ソニー NEX-5）

　この家、表札は出ているのだけど、人の気配がしない。もしかしたら空き家なのかもしれない。先日、杉並や世田谷でも空き家が増えていて問題になっている、という記事を読んだばかりだから、そう思うだけかな。

　空き家は猫にとって格好の場所。遊べるし、人は入ってこないし。よく見ると左奥にも三毛っぽい猫が写ってる。

　この2匹だけか？ いやいやそんなはずはないのであった。狭い路地の角にこの家はあるのだが、横に回ると上の方にいるではないか。

　それも木の上。模様がそっくりなので、きっと兄弟だ。

同じ家で木登り兄弟発見。木を器用に伝って屋根に登ったり降りたりしていた（2011年1月 ソニー NEX-5）

　この猫たちは逃げるでもなく近づくでもなく、じっと様子を伺っている。試しに、鞄に入っていた猫おやつの袋を振って、かさかさと音を立ててみる。そしたら「何かもらえるかな」って顔で降りてきた。

何かもらえるかなと思ってそろりそろりとやってきた。この猫も耳が欠けてる。去勢された印だ（2011年1月 ソニー NEX-5）

　でも、物置の上ではあげられないので、地面に降りてもらおうとしゃがんで道路脇へ誘うと……なんとそこには別の猫が漁夫の利を得ようと待ち構えてるではないか。

おやつをもらえるなら、とちょこん。この子も去勢済みのようです（2011年1月 ソニー NEX-5）

　ああびっくりした。

　結局5～6匹は出てきたか。日が暮れて暗くなったので、これ以上は撮れなかったけど、猫って上手に隠れるものなのだなあ。

筆者紹介─荻窪圭

老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメのレビューをしている。趣味はネコと自転車で、天気がいい日は自転車で都内を走りながらネコを見つけては撮影する日々。最近の単行本は『デジカメ撮影のネタ帳 シーン別ベストショットの撮り方』（MdN）、『デジカメ撮影の知恵』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフが上手くなる本』（翔泳社。共著）、『東京古道散歩』（中経文庫。2010年4月27日発売）。Twitterアカウントはogikubokei。ときどき猫動画をアップするYouTubeのアカウントもogikubokei。

＊次回は2011年2月11日掲載予定