このほかに、現行バージョンの「Silverlight 4」でサポートされた「アウトオブブラウザー」機能も、Silverlight 5で拡張された。アウトオブブラウザー機能とは、ウェブブラウザーを使わなくてもSilverlightのアプリケーションを動かすことができる機能のことだ。「Adobe AIR」と似たようなものと言える。
Silverlight 5では、「信頼済みのアウトオブブラウザーアプリケーション」から、アンマネージのプログラム(.NETではないネイティブプログラム)や、Win32 APIが簡単に呼び出せるようになっている。ただし、この機能はセキュリティーとも関連するので、プログラムで使う際には慎重に利用する必要がある。Silverlightアプリケーションから、OSにフルアクセスも可能になるため、悪用されるとセキュリティーホールとなるからだ。
ほかにも、Silverlight 5ではIE9の新しいハードウェアアクセラレーション機能をサポートしているため、Silverlight+IE9ならば、Windows 7以外でもハードウェアアクセラレーションを利用することができる。GPUサポートだけでなく、Silverlight側のコードを見直すことで、性能も向上している。
さらに今までは、32bit版ウェブブラウザー上でしかSilverlightが動作しないという制限があったのだが、Silverlight 5からは、64bit版ブラウザー上でも動作するように改良されている。
Silverlight 5正式版のリリースは年内
Silverlight 5の新機能を見ていると、マイクロソフトはSilverlightを、アプリケーション開発のフレームワークとして積極的に利用してようと考えているようだ。なぜなら、Silverlightを使えばWindows 7だけでなく、Windows Phone 7やMacなどでも動作するアプリケーションを開発できるからだ(もちろんARM版Windowsでも)。もしかすると将来的には、Xbox 360やAndroidなどでもSilverlightが動作するようになるかもしれない。
さて肝心のリリーススケジュールだが、Silverlight 5は4月に米国ラスベガスで開催されるマイクロソフトのウェブ開発者向けのイベント「MIX11」でβ版がリリースされる予定だ。そして2011年内には、正式版が提供されるというスケジュールになっている。
この連載の記事
-
第50回
PC
次期IE「Internet Explorer 10」プレビュー版が公開 -
第49回
PC
RTM版も登場 Windows Home Server 2011の変更点とは -
第48回
PC
5秒で起動するSplashtop OSを自作パソコンで試す -
第47回
PC
ベンチで検証 Internet Explorer 9 RCの互換性と性能 -
第46回
PC
正式版の直前となるInternet Explorer 9 RC版が登場 -
第44回
PC
「Windows on ARM」が持つ意味と課題は何か? -
第43回
PC
GPUを利用できる仮想化ソフト XenClient 実践編 -
第42回
PC
複数のWindowsを使い分ける仮想化ソフト XenClient -
第41回
PC
3秒で起動しWindowsと共存するOS「Splashtop OS」 -
第40回
PC
最新版「PP7」に見るIE9の性能と互換性の高さ - この連載の一覧へ